鍵が見つからないとき、あなたは「ツイてない」と思うでしょう。でも、あなたの友人は「不注意な人だな」と思うかもしれません。これを心理学用語でいうと「根本的な帰属の誤り(fundamental attribution error)」と呼びます。
つまり、ある人の行動について、誤った部分に原因を当てはめる傾向のことです。イギリス「BBC」では、次のように説明しています。
Photo by Thinkstock/Getty Images.私たちは周りの人の行動を理解しようとするときに、その人の置かれた状況よりも、その人の性格を重視してしまう傾向があります。「妻はそそっかしい人だから鍵をなくす」、「彼は運動神経がよくないからすぐ転びそうになってしまう」、「彼には政治的な思惑があるからすぐ議論したがる」というように。
しかし、逆の立場になると、私たちは行動を状況のせいだと思い込みます。「運が悪くて鍵をなくした」、「でっぱりが見えなかったから転びそうになった」、「電車が遅れたから面接でうまくいかなかった」となり、自分とは関係ない原因が結果を招いたと考えがちです。
この考えのゆがみを直す唯一の方法は、私たちの脳がこのように働く傾向があると認識することなのだそうです。再び「BBC」の解説です。
日常のある一コマを例に取ります。自分が鍵を見つけられないのは運が悪いせいだけれど、妻に同じことが起きるのは彼女がそそっかしいからだ、と思う。つまり、世の中のさまざまな現象を観察しつつ、「自分に起こる悪いことは不運からきたもの」で、「相手に対してはその人の性格が起こしたものだと思い込む自分」には、心理学的なマジックが起きていることを認識するのです。
あなたの周りには「うっかりさん」がいますか? でも、もしかしたらそれは、あなたがその人の置かれた状況を見ていないせいなのかもしれません。もしくは、ビジネスの場で「あいつは仕事ができない」と思った時、同様に「根本的な帰属の誤り」が働いている可能性がある、ということです。
Why I am always unlucky but you are always careless | BBC
Thorin Klosowski(原文/訳:山内純子)