常に勝つことを求められる存在。その活躍がチームの命運を決める、華やかなるエースピッチャー。マウンドに立つその姿はいかにも堂々としているように見えますが、決して葛藤と無縁ではないのです。
先日、1本のドキュメンタリー映画が公開されました。巨人軍のエース、内海哲也投手を追った短編フィルムです。
内海選手は今年30歳。野球選手としては、決して若過ぎない年齢もあるかもしれません、チームを率いる責任やライバルの存在などプレッシャーに立ち向かう姿には、大いに共感させられました。内容から一部、彼の言葉を引用して紹介します。
「周りを見ると、僕より優っている選手はいっぱいいて。それでも僕が一軍でやらせてもらっているの(を支える)には、練習しかない。それを止めてしまうと、終わってしまう。(そういう)危機感をもってやっています」
「(高校生のとき、)同学年には3年生になったらエースになるだろうという選手がいました。決められた練習が終わると、(彼以外の)僕ら普通の部員は皆お風呂場に行くんです。
(風呂場の)隣にはトレーニングルームがあって、そこで、そのエースになるだろうといわれている選手は汗を流しながら、まだトレーニングをやっているんです。その姿を見て、エースになる、頼られるようになる選手というのは、陰の努力を当たり前にやっているんだと感じて。そいつより練習量をこなして、自分の自信につなげるということを覚えました」
「補欠の期間を味わっているので、そういう人たちが這い上がってきたときの強さって恐ろしいものがある。いま上(の立場)でやれていることに満足するのではなく、もっと上を目指してやっていかないと」
「プレッシャーを跳ね除けるには、努力あるのみ」というメッセージは、あまりにも優等生過ぎるように感じられるでしょうか。ただ、その有言実行する姿に背筋が伸びる思いがするのは、確かです。
ちなみに、『映画GIANTS』は東京ドームを映画館にして上映するというかなり異質な映画でした。
しかも、公開はたったの3日間。ただ、本映画を製作したアディダスのホームページでは、30分に満たないフィルムが全編公開されています。
映画GIANTS|adidas×GIANTS
(年吉聡太)