こんにちは、「失業経験有り人事担当」の田中二郎三郎です。ある大手人材紹介会社の調査によれば、今年は転職市場の状況は良好ですが、来年は下り坂になるそうです。
ところで、世の中には100点満点の会社はありません。人は、物理的都合による退職を除いて、何かしらの不満を会社に感じて新たなる会社に転職するのですが、辞める前に考えておかなければならないことがあります。今回は主に収入面を中心にまとめてみました。
Photo by Thinkstock/Getty Images.(1)転職活動はやむを得ない事情がある場合を除いて在職中に実施する
異論反論ありますが、転職活動は物理的都合を除いて、在職中にやるべきです。たとえどんなに現職に不満を感じて毎日にストレスを感じていたとしても、退職してからの転職活動は以下のデメリットがあります。
- 生活の基盤となる収入が無くなるため、万が一失業期間が長引くと焦りが短慮となって、冷静であれば本来希望しないであろう会社に就職を決めてしまう。
- 失業期間がブランクと見なされ、悪印象を持たれてしまう。
- 新しい会社での年収について、前職給を考慮されなくなってしまう可能性が高い(在職中であれば、在職会社の年収より低い提示をすると、自分の会社に来ないのではないかと人事が考えるため)。
(2)会社に不満を感じて転職する場合は、在職会社でその不満を解消できないか考え、できるようなら解消に努めてみる
転職活動で、必ず聞かれる質問は退職理由。この退職理由はどうしてもネガティブな回答になってしまうところを、いかにポジティブな理由に言い換えるかがポイントになっています。「○○ができないので退職しようと決意しました」と答えられると、人事は「○○ができるように何か手はなかったのですか?」と質問を返してきます。
どうせ質問されるなら、本当に自分が不満に思っていることを解消できないかを在職中に実施してみましょう。案外簡単に解消してしまい転職の理由がなくなって、現職に留まる決断をした人を何人も見てきています。がんばっても残念ながら解消できなかった場合でも、それが人事の質問に対する「明確な答え」になるので必ず実施すべきです。ただあまりやりすぎて転職時期を逃してしまわないように...。
(3)自分の市場価値を正確に把握する(1)と同様ですが、会社を飛び出してしまってから自分の転職市場での価値がほとんど無いことに気づき、不本意な再就職をする人は数多くいます。再就職しても年収が大幅減になってしまったら、経済的には転職失敗となってしまいます。またそもそも再就職ができることが幸運で、活動してもまったく再就職先が見つからず、生活保護受給に陥ってしまった例も多数あります。
そのため、自分の市場価値を退職する前に正確に把握しておくことは非常に重要なファクターなのです。自分では評価されると思っていたスキルが、実際はまったく市場では価値がないものであったりすることはザラであり、逆に自分ではまったく評価していなかったスキルが実は希有なスキルであったりします。ただ、それを客観的に判断することは難しいので、人材紹介会社に複数登録して、「自分のスキルが売れるかどうか」、「売れるとしたらいくらで売れるのか」を客観的に模擬判断してもらいましょう。
(4)人材紹介会社は複数登録して、求人案件は可能な限り増やす正社員での転職の場合、転職サイトに登録・応募することはもちろんですが、人材紹介会社を利用して転職することはもはや当たり前になりつつあります。転職サイトの場合、大手のサイトに登録しておけば問題はありませんが、人材紹介会社の場合、紹介会社の規模に関わらず複数登録するべきです。
確かに大手人材紹介会社は、求人案件が被ることはありますが案件自体は多いです。しかし、書類選考を企業に求める際のプッシュが機械的であったり、登録者が多いため1つの案件に応募の意思を示した被推薦者を何十人も同時に書類選考に出してしまったりすることもあります。そうすると企業側はどうしても全員に会うことができず、書類選考通過率が悪くなってしまいます。
反面、小さな紹介会社や専門的職種に特化した紹介会社は、応募者を推薦する際に企業人事担当者に直接会って「一度会ってみてください」とプッシュしたりして書類選考を通過させたりと小回りの良さがあるので、一概に案件数の多い大手人材紹介会社が良いとは言えません。
この2つを使い分けて、うまく書類選考を通過して面接にこぎ着けないと意味がありませんから、やはり人材紹介会社は複数登録すべきです。登録(無論無料)にかかる手間・時間を惜しむべきではありません。なお書類選考通過率は高くて10%程度であることは覚悟すべきです。落ちても落ち込まないように。
このように、単純に収入面を中心に考えただけでも、いろいろなポイントがあります。転職は一大決意ですので、じっくり慎重かつ果断速攻という矛盾を抱えながら実施することになりますが、ぜひがんばってください!
(田中二郎三郎)