本当の栄養学というのは複雑で、まるで科学のようです。万能薬のような栄養はなく、食品同士がさまざまな方法で補い合って、時に栄養価が最高の状態で体内に摂り入れられます。今回は、一度の食事で2つの食品の栄養を「最高の状態で」食べられる方法をご紹介しましょう。
Photo by torbakhopper.例えば、ブロッコリーは体にとても良いものですが、火を通すと得られなくなる栄養も出てきます。そこでブロッコリーにマスタードを合わせてみましょう。そうすれば、健康に必要な酵素(高温で加熱することで損なわれてしまいます)を最大限に摂取できます。
半信半疑の人もいるかもしれませんが、これには科学的な根拠もあります。ブロッコリーをはじめとする緑黄色野菜には、ガンや糖尿病を抑制すると言われているスルフォラファンが多く入っています。ブロッコリーを調理すると、スルフォラファンを十分に吸収するのに必要なミロシナーゼと呼ばれる酵素が破壊されてしまいます(植物自身が食べられまいとする防御の一部です)。
2011年の「British Journal of Nutrition」(イギリス栄養学ジャーナル)に載っていた研究によると、ブロッコリーを調理して食べる時には、マスタードを合わせると香辛料にミロシナーゼが多く含まれているので、ブロッコリーの栄養を十分身体に摂りこみやすいとありました。
雑誌「Eating Well」には、一般的ではないですが栄養価的には素晴らしい食品の組み合わせがいくつか載っていました。「BMC Cancer」の研究によると、鮭とターメリック(ウコン)は、特定のガンに対する体の免疫力を高める働きがあるそうです。豆類と緑の葉もの野菜の組み合わせは、豆類に鉄分が豊富で葉もの野菜には鉄分を体に吸収しやすくさせるビタミンCが豊富です。
ほかにも、抗酸化作用を高める小豆とラズベリー、鉄分と亜鉛の吸収をよくする玉ねぎとニンニクと全粒粉、トマトに含まれるリコピンの吸収をよくするにはトマトとオリーブオイルなど、互いを補い合う食品の組み合わせが挙げられていました。このような知識があると、料理をする時にこれを組み合わせればグッと食事の栄養価が高まりますので、覚えておくと良いのではないでしょうか。
Foods That Are Healthier Together | Eating Well
Alan Henry(原文/抄訳:的野裕子)