ToDoリストが1キロくらいありそうな、超多忙な日々を送っている人もいるかもしれません。悲しいかな、ToDoリストに新しいタスクが追加されても、それはタスクがひとつ終わったという意味ではないことも多々あります。仕事場でも家でも、ToDoリストを目の前にしてやることが山ほどあるのを見せつけられるのはあまり気分がいいものではありません。

そこで、毎日奴隷のように働くのではなく、もっと賢く働くにはどうすればいいのか少し考えてみませんか? やり方は簡単です。週ごとの「ウィークリーレビュー」をスケジュールに反映するだけでいいのです。

 ■ウィークリーレビューとは何か?

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単純に週に1~2時間、その週を振り返るウィークリーレビューをする時間を設けます。この時間で、来週に向けてやるべきことを整理したり、何か大事なことが抜け落ちたりしていないか確認します。ウィークリーレビューでは、仕事がどれくらい遅れているかも分かりますが、個人的なワークライフの方針を決め、仕事を管理し、フォローすべき人のリストを作り、優先順位を変更するための時間だということを忘れずに。そうすることで、大事な仕事をきちんとこなすことができます。

Photo by David Chico Pham.

また、実際の仕事時間にレビューをしないようにしましょう。レビューは、一歩引いて自分の仕事を見たり、自分の仕事を結びつたりして、会社の経営者のように自分の仕事を見る時間です。レビューをしている間は、近視眼的に考えるのではなく「良い経営者」のように考えて優先順位を決めることが重要です

生産性を向上させる技術として有名なGTDを生み出したDavid Allen氏は、ウィークリーレビューをするように提唱しています。彼はまた、「ウィークリーレビューをしていないのであれば、本当の意味でGTDををやっているとは言えない」とも言っています。もちろん、ウィークリーレビューの恩恵に預かるためにGTDをしなければならないというわけではありません。自分のワークライフバランスをより良く管理したいと思っている人にすすめています。

ウィークリーレビューは、仕事を「明確」にし「最新」にし「クリエイティブ」にするための手助けをしてくれるのです

明確にする

仕事場やデスクを片付け、メールの受信箱を空にする時間を設けましょう。それから、仕事などプロジェクトのレビューをします。一番重要なことはどれか? 来週のマイルストーンとなる重要な出来事は何か? それらを優先順位や緊急度で整理しておけば、来週の週初めからいちいち考えずにすんなりと仕事に入っていけます


最新にする

カレンダーを見ましょう。例えば、来週はソフトウェアのアップグレードに関する上司との重要な会議があるとします。しかし、詳細についてベンダーに確認するのを忘れていました。そこで、来週のカレンダーに「連絡する」と入れて、上司との会議に備えて十分に準備をする時間を取りましょう。最後にメールをチェックして、来週の予定やメモの確認をします。


クリエイティブにする

常々やりたいと思っている仕事やプロジェクトを確認します。自分の個人ウェブサイトを作り直したいなら、できる範囲でその仕事の一部をスケジュールに組み込めないか考えます。どうすればもっと効率的に仕事ができるかを考えるのです。たとえばシステム管理者であれば、週ごとにサーバにパッチを送る時間を節約できる、新しいツールを導入するというようなことです。自分の生活や人生において障害となっているものを、ただ指をくわえて見るのではなく、積極的に取り除くことに時間を使いましょう


■ウィークリーレビューの予定をカレンダーに入れる

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いの一番にすることは、ウィークリーレビューをする日を決めること。週の終わりでなくても別に構いません。毎週大きなイベントがあるのであれば、仕事の都合に合わせてその翌日にしてもいいです。とにかく一日の終わりにウィークリーレビューをする日を決めて、カレンダーに予定を入れましょう。ウィークリーレビューをいつやるか決めてしまえば、後は毎週その日にすればいいので二度と予定を立てずに済みます。理想としては、その日にやることをすべて終えてから、1~2時間ウィークリーレビューの時間を取るのがおすすめです

Photo by Joe Lanman.

筆者は、毎週金曜の午後5時からがウィークリーレビューの時間です。終わって会社を出るのが7時くらいになることもあります。やる時間が長いと思われるかもしれませんが、始めてから終わるまでじっくりと時間を取る必要があるのです。ウィークリーレビューを何度もやっていくうちに、30分くらいで済むようになるかもしれません。できないことではないです。早く終わらせれば、その分早く家に帰ることができます。ともかく、まず最初にすることはウィークリーレビューの予定をカレンダーに入れ、後は毎週その時間にやるだけです

■チェックリストを作る

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ウィークリーレビューのチェックリストは、前述のウィークリーレビューの3つの柱を確実に実行するために欠かせないツールです。「GTD Times」より、ウィークリーレビューの基本のチェックリストをご紹介しましょう。

Photo by Karuka (Shutterstock).

明確にする

  • 紙類や資料を整理する。
  • メールの受信箱を空にする。
  • 頭の中も空っぽにする。


最新にする

  • アクションリスト」を見直す。
  • その日までのカレンダー情報を見直す。
  • その日以降のカレンダー情報を見直す。
  • 待っているモノ(人)リストを見直す。
  • プロジェクト(など大きな業績)リストを見直す。
  • 関連するチェックリストを見直す。


クリエイティブにする

  • いつかやりたい(そのうちやりたい)ことについて考える。
  • もっとクリエイティブに勇気を持ってやる。


これについてもっと詳しく知りたい場合は、David Allen氏のサイトにチェックリストのテンプレートがあります(登録が必要ですが無料ダウンロードできます)。GTDの掲示板では、自分のチェックリストを共有しているユーザーも何人かいました。テンプレートを使っても自分で一から作ってでもいいので、「レビューしたいこと」と「しなくてもいいもの」が確認できるものを準備しましょう。ウィークリーレビューをしている間は、仕事をしないようにすることをお忘れなく。その時間は、ただレビューをするだめだけの時間です。

筆者のチェックリストは、自分の活動に合わせてかなりカスタマイズされています。最初はテンプレートから始めてもいいと思いますが、そのうちカスタマイズしましょう。例えば、仕事で紙を使わないのであれば、毎週机の上の紙類や資料を整理する必要はないでしょう。また、ウィークリーレビューには自分の個人的な活動も、忘れずに入れましょう。家を改装中だったり、アパートの塗り替えを検討していたりするのであれば、それも仕事と同様チェックリストに入れて、進捗を確認するのを忘れないようにしましょう。

■トリガーリストを作ってみる

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チェックリストを作るのが難しい場合は、週ごとに思い出すように働きかける「トリガーリスト」を使ってもいいかもしれません。トリガーリストとは、ウィークリーレビューの時に忘れないようにするための、ただの長いアイテムリストです。これは記憶を呼び起こすためのもので、忘れやすいものを思い出させてくれます。学校や個人のプロジェクトで、トリガーリストをどのように使うか、米LHでは以前説明したことがあります。生産性の師匠Merlin Mann氏は、何年も前に専門家のプロジェクト用に「43Folders」でこの方法を紹介しました。

自分のトリガーリストを作るには、テンプレートをコピー&ペーストし、必要のないものを削除し、プロジェクトや生活でフォローする必要があるものを考えます。思いついたらトリガーリストに追加するだけです。チェックリストと同じように、PTAや地域の会合や家族の行事など、自分の個人的な生活に関することも追加するのをお忘れなく。最終的な目標は、仕事の時間の効率を上げて個人的なことに時間を使うことです。会社の経営者のように分析するには、自分の仕事だけでなく、生活や人生全体のCEOのように、見渡して考える必要があります。同じ会社でも異なる部署に分かれていても、どこかが失敗すれば全体が失敗するものです。

■ウィークリーレビューをする

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いよいよウィークリーレビューを始めるにあたって、その気にもなってきたところで、自分のデスクの周りや仕事場を少し歩いてみてください。コーヒーを飲みに行くもよし、ボトルに水をくんで来るもよし。今週からレビューを始める決意を確認し、幸せな状況になるのだということを想像してください! デスクに戻ったらヘッドフォンを装着し、気が散るものを無くしてお気に入りの曲やプレイリストを流し(実際、GTDの掲示板には「ウィークリーレビューのテーマソング」を持っているユーザーがたくさんいます)、そしておもむろにレビューを始めます。

Photo by Dan Foy.

前述の3つの柱である「明確」、「最新」、「クリエイティブ」を頭に刻みながら、チェックリストを作ります。今やるべきことはとてもシンプルです。メールの受信箱を整理します。効率のいいやり方が分からない場合は、「大量のメールに悩まされているアナタに贈る10のメール整理術」などの過去記事も参考にしてください。

すぐにやらなければならないことやアポイントがあれば、カレンダーに追加します。ToDoアプリを使い、すでに完了した仕事を外したり、新しいToDoが思い浮かんだら追加します。最後に、チェックリストのクリエイティブの項目をレビューして仕上げに入りましょう。何か調べたり、他の人から聞きたいことがあれば話したりしてもいいですし、ただじっと座って紅茶を飲みながら、どのように働けばもっとラクに効率よくできるかとじっと考えてもいいのです。

■レビューするかしないかを決める

ウィークリーレビューをしようとする時に、レビューよりも他のことに時間を取られすぎる、という罠に陥りがちです。時々、そこまで仕事が無いのにウィークリーレビューをやっているという人がいたり、ウィークリーレビューに何時間もかけているという人がいます。ソフトウェアベンダーに電話をかけなおす、というスケジュールを予定に入れるくらいなら、実際にその場で電話をかけた方が早いです。策士が策に溺れることがないよう、今すぐやった方が早いことはToDoリストに入れないようにしてください。しかし、一番大事なルールは、2分以上かかるようなタスクなら、それをするのを止めてToDoリストに入れましょう

■実際にどのようにウィークリーレビューしているか

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筆者は、チェックリストやトリガーリストを使って、毎週金曜の午後にウィークリーレビューをしています。タイムゾーンの違う人とチームで働いている時は、その時間にレビューをするのが難しいこともありますが、大事なのはウィークリーレビューを予定に入れて、気が散ることもなく、邪魔も入らずその時間をウィークリーレビューに使おうとすることです。今では筆者のウィークリーレビューは大体1時間くらいです。どのようにしているかを参考に書き出してみましょう。

Photo by Lisa Yarost.

0~15分:紙ものの資料やメールの片付け

メモを調べ、新しい名刺や連絡先を追加し、連絡を取り続けたい人のものはすべてファイルします。返信し忘れているメールを見つけたら、1~2分で返信できるものはその場でします。それ以上時間のかかるものはしません。


15~45分:アイデア、プロジェクト、カレンダーの予定などの見直し

一番まとまった時間を使うところです。自分の貯め込んだアイデアを眺めて(筆者は『Wunderlist』に貯めています)、要らないものは捨て、新しいアイデアを追加して、できればそれを実施する日を入れます。ToDoアプリを開き(『ReQall』を使っています)、古いタスクや完了したタスクは排除し、新しいタスクやカレンダー、予定やトリガーリストを元にタスクを追加します。


45~60分:ブレインストーミング

一人ブレストをします。たまったアイデアを頭の中で反すうし、書きたいものや、もっと勉強したいこと、深く掘り下げる価値のありそうな新しいタスク、もっと注力したい個人的なプロジェクトなどのことを考えます。


■レビューをするメリット

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筆者のウィークリーレビューの予定は1時間ですが、実際にかかる時間は大体45分程度で、あとはコーヒーを飲んでいます。以前プロジェクトマネージャーだった時は、2時間くらいかかっていました。慣れるには時間がかかります。しかし、一歩引いて見られるようになったり、「やらなければならないこと」や「なぜそれをやらなければならないか」について時間がかかっていたりする時は、本当に大事なことや、本当に時間をかけるべきこと、助けが必要なものが何かを、理解し始めている時なのだと分かってきました。上司が「それでどうなってるのかな?」などと聞いてきても、適当にごまかさずに答えることができるようになります。そして、次の週末にはプロジェクト全体を見渡して、周りの人を助けるのに自分が時間が取れるかどうかが分かります。

Photo by wetwebwork.

ウィークリーレビューを始めるのは難しいと思っている人も多いかもしれませんが、そうである必要はありません。一度始めて習慣にしてしまえば少しラクになりますし、生活や人生でメリットがあることが分かります。ラクに管理できるようになれば、「何かやり忘れたことはないだろうか」とか「やらなければならないことはないだろうか」と思うこともなくなって、大事なことを忘れる心配もなくなります。そして、すべてを自分が把握できるようになり、何か変化が起こっても臨機応変に対応ができるようになります。

あなたはウィークリーレビューをやったことはありますか? ご意見、ご感想などコメント欄もしくはFacebookページでお待ちしております。

Alan Henry(原文/訳:的野裕子)