編集委員のひらたです。気がつけばもう5月。なんとも時が経つのは早いものですね。暑くも寒くもなくてとても過ごしやすい日々なのですが、あまり続いてくれたりしないのは残念です。どこかに「常春の国」はないものでしょうか。

最近(といってもこの一年弱ですが)、仕事がまたすっかりエンジニアモードになって、日々システムの設計やプログラムを書いたりと、机にかじりついて一日を過ごすことが増えてしまいました。個人的にはあまり椅子に座りつづけるのは好きではないですが、仕事とあってはそうもいきません。しかし、長く椅子にすわったままでいると、どうしても肩コリなど身体に変調がおきてきます。うーん。

ということで、こんなこともあろうかと、10年以上前に購入しておいたオライリー本をひっぱりだしてみましたのでご紹介します。

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 その本とはJoan Stiglianiさん著の「コンピュータユーザのための健康サバイバルガイド」。1997年の発売です。300ページを越える大著なのですが、エンジニアだけでなくコンピュータと日々向き合って仕事をする人、コンピュータ作業者一般のために書かれた健康ガイドです

当時、出たばかりのときに購入して折りに触れて実践してきました。1997年というと、まだまだオフィスでもコンピュータが一人一台というのが当たり前ではない世界でした。当時とはコンピュータの装置もかなり違います。でも、人間のほうはたぶん10年ちょっとではそんなに変わっていないでしょうから、いまでも役に立つこともあるかと思います。本に載っていることはどれもこれもいま読んでも興味深いものばかりなのですが、今回は「椅子の調整のしかた」についてちょっと紹介してみたいと思います

本によると、椅子の基本的な調整の仕方は次の通り。

  1. 床に足がまっすぐつくまでシートを上下して調整する。
  2. おしりをぴったりとシートにつけ、背中の真ん中から下のほうが背もたれにつくように座る。
  3. 背もたれの高さを調整して、背もたれの曲線が背中に合うようにする。
  4. シートの傾斜と背もたれの角度を調整して、太股と上半身を中立姿勢にする。
  5. 力を抜いて背もたれに寄りかかり、上半身の重さを椅子に載せる。
  6. 肩の力を抜いて、頭部の中立姿勢を見つける。

実際、オフィスのシートを毎日調整している人はそんなにいませんし、どんな機能がついているかも、あまり関心がない方が多いような気もするのですが、それはわたしの気のせいでしょうか。実際、椅子を調整してから座ると疲れ方が随分違うような気がします。

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この説明にでてくる「中立姿勢」というのは、重要なポイントだと思います。力が入らず、リラックスしている状態のことを中立姿勢といいます。個人差もあり、また身体の部位によっても違うのですが、腰や肘、膝の曲がっている角度が、だいたい115~145度がその角度だそうです。また頭部の場合には、のけぞった状態と顎をひいて下を向いた状態のちょうど中間くらいが中立姿勢とのこと。椅子にすわった状態でこの角度が維持できるよう、キーボードやディスプレイなどを配置すると、体に無理なストレスのない状態で仕事ができる、というわけです。あ、ストレスが少ないから長く働けるというのでは意味がないので、適度な休憩も忘れずに。

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ただ、実際のオフィスでは机の高さは調整できないことが多いですし、机の高さにあわせて椅子を調整すると体に合わないこともしばしばでしょう。わたしの場合、以前はまず椅子をあわせて、机のほうが低かったときにはキーボードとディスプレイの下に本などをおいて、高さを調整していました。逆に机が高すぎて足が床に届かないときには、足元に足置きをおいて調整するといいです。このあたり、うまく調整して体に合うようにするといいでしょう。

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このサバイバルガイドには、当然椅子と体の話だけでなくいわゆる腱鞘炎対策や眼と照明の話、また実際に体が痛くなってしまったときの対処方法やストレス対策などいろいろ書かれています。一方この10年を振り返ると、よい椅子がたくさん発売されて調整がしやすくなっていたり、ディスプレイも当時はCRTしかなかったですが、いまでは液晶が一般化してスペースを取りやすくなりました。またLEDバックライトのものだと、ちらつきも以前より少なくなっていると思います。

ちなみにいくつかの会社でオフィスの椅子を選ぶ場にいたのですが、毎回椅子はケチらないでいいものを使ったほうが、長期的にはスタッフが元気で健康に働いてリターンがあると主張してきました。実際に投資対効果を比べたことはないので実際に効果があったのかはわかりませんが、健康に長く働きたいものです。はい。

ライフハッカー[日本版]編集委員・平田大治)