「3時のおやつは仕事を効率化する」と論理的に主張できれば、上司から叱られずにお菓子を美味しく食べられますよね? 事実、生体リズムの観点では午後3時に甘いものを食べるのは仕事の効率アップにつながるのです。また「朝型人間は仕事ができる」という説は、多くの人に認知されつつあります。今回はもう一段階掘り下げて、朝型人間+生体リズムにあった仕事スケジュールを作って仕事のパフォーマンスがもっとあげる方法を紹介します

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 人間の生体リズムが1日25時間だと知っている方は多いと思います。生体リズムには3種類あり、25時間周期で働くのをサーカディアンリズムと呼びます。約12時間周期で繰り返されるものをサーカセミディアンリズム、約90分周期で眠気と覚醒が交互に訪れるものをウルトラディアンリズムと呼びます。

朝型人間は、午前中にスッキリとした頭で仕事ができます。レム睡眠とノンレム睡眠が90分周期(ウルトラディアンリズム)の繰り返しで、睡眠中に関係があるのはもはや定説です。「ウルトラディアンリズム」は睡眠中だけではなく覚醒時にも働いています。仕事をする日中でも、眠気と覚醒は90分単位で繰り返し発生しているのです。

ウルトラディアンリズムに関係のある興味深いデータがあります。それは、居眠り事故の発生時です。居眠り事故については、しばしば「食事後に血液が胃腸に集まるため眠くなる」という説明がなされますが、それだと午後8時~10時に事故のピークがあるはずです。しかし、実際は夜中の午前2時に大きなピークを迎え、朝にかけて事故の発生率は低下します。午後2時にもう一度ピークがあります。

「ウルトラディアンリズム」をうまく使って、仕事の効率をあげるスケジュールを考えてみましょう。アメリカの認知心理学者は、知的作業のピークは朝9時にくると発表しています。そして午後2時にもう一度ピークがきます。つまり午後2時のピークは創造能力のピークなのです。精神的活動の中でも、「冷静な判断能力」と「情動的な創作能力」のピークは異なるのだとか。以上のことから、午前中は冷静な判断能力の必要な作業を、午後にはなるべく創造的な作業をもってくると良いといえます

それでは、具体的な一日のスケジュールを立ててみましょう。

出社直後の朝9時は、前日のメールチェックがよい

夜書いた文章と朝書いた文章を比較すると、明らかに朝書いた文章のほうが冷静ではありませんか? 午前中は判断能力に優れているために感情的でなく冷静な文章が書けます。朝の目覚めに脳の準備運動替わりのメール処理は効果的です。


朝10時は、決定事項を決めたり、会議をするのがよい

出社してから1時間仕事をすれば、かなり頭も冴えてきています。冷静な判断能力のピークをむかえる時間は、一日の中でいちばん判断ミスの少ない作業ができる時間です。


11時からは資料整理など、小さい判断を多くするのに適した時間に


13時には、単純作業で腹ごなしがよい


14時からは創造能力が発揮されるので、企画発案にピッタリ

14時頃になると、昼食のエネルギーが脳に使われ始めます。午後は創造能力があがるので、14時は創造的仕事のパフォーマンスを最大限発揮できます。


15時は「おやつのじかん」

食事後1時間半から2時間は、腸から吸収された脳にブドウ糖がたくさん送られる時間です。脳のエネルギー源のブドウ糖があると作業効率があがります。脳をフル回転させるために、食事から2時間以上経った15時ごろに甘いものを食べると残りの仕事時間も脳が活発に動いてくれるのです。


おやつの後は、前日までに残っている仕事をさくさく


16時以降は、人との情報交換に最適

仕事の終わり時間も見えてくる16時頃は、創造能力も高まり、気分もおおらかになりやすいです。情報交換をする際には、多くの情報を得ることによって新しいアイデアをみつけたり、考えたりするのに重要な時間になります。


午後のプチ昼寝が仕事の能力をアップするのも、生体リズムに当てはまります。身体のリズムを整えることで、「できる人」になりましょう!

参考文献:体内時計を調節する技術(平澤栄次・著)

(大山奏)