連休中は「ScanSnap」で蔵書の圧縮に取り組むFP山崎(@yam_syun)です。仕事の紙データも、年200冊以上のペースで増えるコミックの山も、これで一掃したいところです。

さて、新時代のマネー本「お金の知恵は45歳までに身につけなさい」 発売記念タイアップ企画のオンラインマネー講座「GWに始める!初めての資産運用とお金の「知恵」講座」最終回(全3回)です。今回は運用について考えてみます

過去何度かライフハッカー[日本版]オリジナル記事として運用に関するマネーハック記事を掲載してきましたが、そうした内容も踏まえて「運用で大事なお金の知恵」をまとめて紹介してみたいと思います

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 GW講座の第一回でも述べましたが、運用で大事なことは「お金の知識」ではなく「お金の知恵」です。資産運用にチャレンジする場合にもそこは変わりません。それでは考えてみましょう。

■運用で大事なこと1:大きく勝つことを考える以上に、大きく負けない工夫をする

運用で大事なことはいくつかあります。しかしそれは相場を読む能力でも、デイトレードで株を何度も売り買いする勇気でもありません(もちろんあったほうがいいが)。

最初に大事なことは「大きく勝つこと」だけでなく「大きく負けない」ことを考えるアタマです。私たちはつい、大きく勝つテクニックばかり考えてしまいますが、これは大きく損失を被る投資手法であることがほとんどです。しかし、意に沿わず大きく負けてしまうと取り戻すことはきわめて困難になります。

100万円を年-10~+20%の範囲で運用するのと、年-30~+50%の範囲で運用するのとは、平均値では同じ(+10%)であってもずいぶん違います。両極端な数字が順番に続いたと仮定すると、10年後の結果は147万円と128万円になり大差がつきます。

発想を転換して、大きく勝つことよりも、大きく負けない工夫を凝らすことが運用においては重要なのです。

■運用で大事なこと2:売り買いで儲けるより、追加入金をする

大きく負けない運用の工夫を凝らすと、一瞬にして大きく儲ける可能性は狭まります。資産運用といえば、何度も売り買いをしてお金を倍々ゲームで増やしていくイメージがありますが、そういう運用チャレンジを避ける戦略も考えることになります

たとえば、毎回10%の利益をあげて、売買だけでお金を増やす方法を考えます。10万円からスタートしてゴールを1000万円と仮定すると、73回の連続成功が必要です。もちろん失敗すれば売買回数は増えていきます。10%より利益が少なくてもゴールは遠ざかります。しかも、10万円から100万円まで増やすためにそのうち25回も売り買いが必要です。

個人がお金を増やしていきたいと考えるのであれば、「運用×追加入金」の合わせ技を前提としたほうが効果的です。先ほどの例でも、10万円から100万円まで増やすのを運用だけに頼らず、毎月1万円の追加入金をしていけばいいのです。

運用は売り買いのみ、というルールはどこにもありません。無理なく資産を増やし、資産を増やしていくために、追加入金を考えることが重要です。

■運用で大事なこと3:自信過剰になるより、謙虚に運用を考える

運用において個人が忘れてはいけないことのひとつに「自信過剰にならない」ことがあります

運用をする人は必ずと言っていいほど自信過剰という病気にかかります。はしかのように治ればいいのですが、そのときに財産をほとんど無くしていては遅すぎます。

株式市場や為替相場においては、あなたより何年も経験がある人たちがたくさんいます。初心者向けのプレイロビーはありませんし、ハンディキャップもありません。金額も経験も関係なく、同じ土俵で勝負しなければならないのです。

行動ファイナンスの研究では、自信過剰で何度も売り買いする人と自信がないためか売り買いをあまりしなかった人では自信家のほうが負けていたという調査があるほどです。

人は自分だけ才能があると思いたくなるものですが、運用においてはむしろ自分の能力を謙虚に判断し、過小評価するくらいがいいのです。

■運用で大事なこと4:理想を求めてやらないより、普通にできることを実行する

最後に大事なことがあります。それは「理屈より実行」です。少しばかり下手な運用方法であっても、「スタートして」「続ける」ことのほうが大事です

ライフハックでは、作業を自動化して挫折しない工夫を考えたりしますが、運用も同様です。無理なく確実に続けられる方法を考えればいいのです。

たとえば、証券口座を開設して積立投資信託の申し込みをします。これで「定期的に引き落としして自動購入」という仕組みが作れます。定期的に購入する商品は、インデックス型の投資信託にしておけば、分散投資でリスクは抑え、「大きく負けない運用」が行えます。あとはほったらかしにしてもいいくらいです。

ここまでに必要な作業は簡単な書類のやりとりだけ(1. ネットで証券口座の開設申し込み、2. 郵送で書類返送)ですが、これをやるかやらないかの差が数年後には何十万円の資産格差となってきます。

いきなりスーパーデイトレーダーになることを目指す必要はありません。むしろ普通にできることをしっかり実行するほうが効果があるのです。

■まとめ:GWに資産形成の第一歩を!

3回にわけて「GWに始める!初めての資産運用とお金の知恵講座」を開催してきました。ひとつでも、お金と運用に関する気づきのヒントがあればと思います。

しかし、どんな発見も実行がなければ意味がありません。「Dropboxって便利そう!」と思っていても何もスタートしません。実際にアカウントを取って、アプリをインストールしてこそ意味があるわけです(もちろん何かファイルをクラウドにあげてみて、その価値が本当にわかるわけですが)。

GWに少し時間があって、このコラムを最後まで読み終えた人は、資産形成の大きな転換点に立っているのかもしれません。これを「コラムを読んだだけ」で終わらせるか、「一歩実行に踏み出す日」にするかはあなた次第です

「お金の知恵」があなたの未来を明るく照らしてくれますように!

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(山崎俊輔)