SONYブルーレイレコーダーとPSVitaの連携機能により、毎期10本のアニメを消化するFP山崎(@yam_syun)です。今期アニメは『しろくまカフェ』がいいですよ。
ただいま好評発売中の新刊『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』発売記念タイアップ企画のオンラインマネー講座「GWに始める!初めての資産運用とお金の知恵講座」2回目です。今回は、「残りの人生のお金」のことをざっくり考えてみます。
Photo by Thinkstock/Getty Images.私たちはお金のことはあまり考えず、「今月の稼ぎで今月の生活」というようなやりくりをしてしまいがちです。なぜなら、お金のことと向き合うのは「自分の能力と向きあう」のとほぼ同義だからです。
年収というのは自分の能力に貼られた対外的評価です。加えて、ほしい物を年収以上買うことはできません(年収以上の買い物をすれば自己破産になるということです)。運用だって、その結果の善し悪しに自分の運用能力が現れるような気がします(実は運用の結果はマーケット次第のところが大きく、個人の運用能力で決まらない部分のほうが大きいのですが)。
仕事において、GTD(Getting Thngs Done)をやっているライフハッカーは多いと思います。しかしプライベート、特にお金の問題についてGTDをしている人は少ないのではないでしょうか。それはなかなかしんどいことだからです。しかし、無視していいことではありません。
そこで、できるだけシンプルに「自分の未来予想図」を考えてみましょう。
■自分の残りの人生の「未来予想図Ⅰ」(定年まで)お金の未来予想図は、2枚の地図が必要です。ひとつは「定年までの働き方やお金のやりくり」で、もうひとつは「定年以降の生き方とお金のやりくり」です。
読者の皆さんの年齢にもよりますが、30歳を過ぎて40歳も近づけば、自分の人生の「お金の未来予想図」は考えておくべき時期です。残りの人生で「いつまで働けるか(働くか)」、「どれだけ稼げるか」、「どれだけ残せるか」、「どれだけ資産として残すことができるか」をそれぞれざっくりでいいので考えてみましょう。
現状は65歳まで働きそれ以降が年金生活になりますが、「年金をもらえるまでは働く」のが前提です。今の30代が年金がもらえる年齢はおそらく70歳に近づくでしょうから、働く時間は延びることになります(その分稼げる金額は多くなる)。一度、自分はあと何年働くのか考えてみることが必要です。
(今の年収)×(これから働く年数)を考えてみれば、自分の生涯収入の未来予想図が見えてきます。仮に400万円×30年なら1億2000万円です。実は仕事で稼げる金額はけっこう大きいものですが、あまり自覚していません。自分で得たお金は、自分の今と将来の生活の基盤です。一度、残りの人生でいくら稼げるのか考えてみるといいでしょう。
次に肝心なのは稼いだお金を残す、という感覚です。
1億円あるいは2億円稼いでも、そのまま残せる人はいません。しかし同じ年収で貯金ゼロの人がいれば20%は貯められる人もいます。先の例で考えても、20%貯めておけば2,400万円です。これなら老後の生活の安定が確保できる財産になります。「どれだけ残せるか」は「どれだけ使っているか」とセットです。一度、自分の家計を考えてみてください。
貯めたお金はそのままにしておくわけではなく、銀行に預けて金利を得たり、投資信託や株式を通じて運用益を得ることができます。先の例の2400万円も30年の間に年3%のリターンがあれば、3,885万円に育ちます。ウソみたいですが運用って結構大事なのです。運用については第3回でまた触れたいと思います。
上で指摘した4点についてざっくり考えてみることで、ぼんやりと不安を覚えていたこれからの人生(特にお金の問題)について気づきや発見があると思います。GTDの一歩目でしかありませんが、一度考えてみてほしいテーマです。
たとえば「いつまでも働けるわけではないこと」、「稼げるお金には限りのあること」、「買い物次第で残せる資産が変わってくること」、「お金の管理によって最終的な資産がまったく変わること」など、意識を持てばお金について考えるアタマができてきます。なんとなく株の本を読むのではなく、自分の「未来予想図」を考えながら投資を学び、実行していくことが大事なのです。
なお、こういう話をすると「夢をなくすな」とか「一生不幸なだけだ」という人がいますが、ちょうどよく働いてちょうどよくお金を使えるようになれば、どんな年収でも自分なりの幸せを見つけることはできます。「お金がたくさん=たくさん買い物する」だけが人生の幸福ではないのですから。
■自分の残りの人生の「未来予想図Ⅱ」(定年後)ところで、「未来予想図Ⅱ」を描いてみることも必要です(ドリカム的に)。こちらは定年した後の人生です。遠い話のようですが、未来予想図Ⅱをいま描いてみることが必要です。
なぜなら、定年後の生活はなかなか大変だからです。何が一番大変かというと「長い」ということ。今の寿命で考えても20年は平均値になっています。今後のことを考えれば25年あるいは30年も珍しくありません。生きている限りお金はかかりますから、老後の幸せはお金の確保にかかってきます。
老後の生活のベースは国の年金です。破綻はしないものの、給付減はほぼ確実です(30年払うような保障を考えれば毎月の金額は減らさざるを得ない)。それでも、国の年金は死ぬまでずっと30年でも40年でももらえるので、金融商品としても価値が高いものがあります。
貴重な収入源ですが、日常生活費をまかなうくらい、というのが国の年金の基本的な役割になるでしょう。
そうなると、自力で備えた経済的努力の差が老後の人生のゆとりを生みます。しかも、老後の長さを考えると数百万円程度では足りません(仮に200万円しかなければ、20年の老後に毎年10万円しか取り崩せない)。毎月5万円取り崩すとしても、20年なら1200万円です。基本的には3000万円くらいを目指す必要があります。
この準備は現役時代にしなければなりません。年金生活に入って、年金収入から貯金する余裕はないからです。そして、「未来予想図Ⅱ」を考えて「未来予想図Ⅰ」にフィードバックさせていくことが必要なのです。「未来予想図Ⅰ」では目の前の住宅ローンや子どもの教育費だけではなく、自分の老後に備えていくことが課題なのです。最終回は、未来予想図Ⅱを絶望の色に塗らないためにも、必要となる「老後のためのお金の準備」、「資産運用」を今スタートさせるヒントをお伝えしていきます。
(山崎俊輔)