飽食の時代、食事のバランスが崩れてサプリメントで栄養素を補う人も多いのでは?
かつて戦国時代の乱世を生き抜いた武将たちの「食」へのこだわりは並大抵ではありませんでした。合戦のときの食料問題に武将たちは保存の効く食べ物を作り、「陣中食」として用いていたのです。ということで今回は、武将たちに学ぶ「食の工夫」をご紹介します。
Photo by Thinkstock/Getty Images.■縄としても使える一石二鳥の「芋茎(ずいき)」
芋茎とは里芋の茎を帯のように長く編み、味噌・酒・かつお節で煮込んだ後に乾燥させたもの。移動時には縄として使ったり兵士が腰に巻いて持ち歩いて、いざというときには非常食にもなりました。食べ方は、スルメのようにかじったり必要な長さ分だけちぎり、逆さまに吊るした陣笠へ投入して、水をたっぷり入れて下から火で加熱し即席味噌汁にしていたといいます。茎から炭水化物やミネラルなどの栄養素がとれ、大豆と魚のたんぱく質をアミノ酸の状態で摂取できるというスグレモノです。乾燥品のため長期保存ができます。
■武士の定番の行動食「兵糧丸」兵糧丸の名前に聞き覚えがある人も多いかもしれません。材料は土地柄などによって異なりますが、基本的には次のような構成でできています。
- 穀物を粉にしたもの
- 栄養価の高い薬草や山菜を粉やペースト状にしたもの
- かつお節や甘草
この1、2、3をお酒に浸して練り、蒸した後に干して完成です。
兵糧丸は、穀物からエネルギー源の炭水化物、薬草や山菜からミネラル・ビタミン・食物繊維・たんぱく質・ビタミンB1・ビタミンD、かつお節から必須アミノ酸のトリプトファンを一口で食べられる、驚きの栄養だんごなのです。
芋茎と兵糧丸は携帯性・保存性に長けた武士用サプリメントと言っても過言ではありません。戦国時代の平均寿命が37~38歳だという中、多くの戦国武将が70歳~80歳まで生きたのは死と隣り合わせの毎日を支える「食」が関係しているといえます。
最後に、現代風にアレンジした兵糧丸を紹介します。
今回の参考文献『武士のメシ』(宝島社)に載っている材料は、白玉粉・小麦粉・そば粉・きな粉・すりごま・砂糖・お酒。粉類は全部同じ量で砂糖は好みの分量にしてすべての材料と水を一緒にして、しっかりこねます。生地ができたら、直径5センチほどの団子にし、30分ぐらい蒸し器で蒸し、表面にきな粉をまぶして完成です。
これらのサプリメント、「戦国武将の気分になって食べたい一品(?)」になるかもしれませんよ!
(大山奏)