例年に増して寒さの厳しかった冬を越え、ついに春がやってきました。春といえば待ち遠しいのが桜の開花ですが、今年は例年より少し遅めのようです。平年より5日遅く、3月31日(土)に東京都の桜の開花が発表されました。日本気象協会によると、東京都内の桜の満開予想は4月7日(土)だそうです。
ランナーにとっても、暖かくなり景色の綺麗なこの時期は、走るのが楽しくなるものです。そこで今回は、ランナーの皆さんに都内イチオシの「お花見ランスポット」を聞いてみました。絶対外せない王道から、「えっ、そんなところ?」といった少し意外な回答までたくさんありましたが、その中から選りすぐりの10選を紹介します。
Photo by Thinkstock/Getty Images.
1. 千鳥が淵(千代田区)
言わずと知れたランナーの聖地、皇居。やはり最も多くの票が入ったのが、この千鳥が淵でした。皇居のお濠沿いに約700m続く千鳥ケ淵緑道では、約260本の桜が咲き乱れます。
千代田区のホームページによると、「『千鳥が羽根を広げた形』に由来するとされるお濠の、緩やかにカーブした水面に映る桜並木の風景が、一番の見所」だそうです。お花見の期間は夜22時までライトアップもしているので、夜桜も楽しめます。ただし、普段からランナーで溢れている皇居。この時期はお花見客も集まり、ランニングどころではないかもしれません......。
2. 駒沢オリンピック公園(世田谷区)
昭和39年、東京オリンピックの第2会場として整備された駒沢公園。約220本もの桜がランニングコースの両側でランナーたちを囲んでくれます。1周約2キロで大変走りやすいコースなので、初心者ランナーにもオススメです。
3. 隅田公園(台東区)
江戸時代、8代将軍・徳川吉宗が江戸の民衆にも花見ができるように開放したと言われる隅田公園。この公園内の桜すべてをカウントすると、なんと1000本にも及ぶそうです。見どころは、桜橋から吾妻橋まで続く桜のトンネル。そして、スカイツリーと桜のコラボレーションは、贅沢なまでの絶景であること間違いなしです。
4. 飛鳥山公園~石神井川(北区)
こちらも徳川吉宗ゆかりの地です。今から約280年前、同じく江戸の民衆にお花見を楽しんでもらうため、1270本ものヤマザクラを植えたといわれる飛鳥山公園。京浜東北線王子駅から出発して、この飛鳥山公園の桜を楽しんだ後、北区では「音無川」の名称でも親しまれている石神井川沿いを走るのがオススメのコース。また、ここは都電荒川線の上りと下りが交差しており、鉄道好きなランナーは電車を見ることも楽しめるスポットです。
5. 目黒川(目黒区)
都内のお花見スポットとして外せないのが目黒川です。川にかかる大橋から太鼓橋付近まで全長3.8kmのコースに、約830本のソメイヨシノが美しい桜並木をつくっています。五反田から目黒川沿いを中目黒まで走るコースはいかがでしょうか。特に人の少ない早朝は快適に走ることができます。
6. 多摩湖(東大和市)
ランニングスポットとしてランナーからの人気も高い多摩湖。ベテランランナーが「湖に映る桜、堤防の見晴らしが絶景」だと豪語するこの多摩湖周辺には、実に4万本もの桜が咲き乱れます。特に湖東端の狭山公園の桜は美しく、毎年多くのお花見客で賑わっています。多摩湖一周の自転車道は約12キロなので、少し長めに走りたい人にオススメです。
7. 谷中霊園(台東区)
話を聞いたときは、「えっ、墓地でお花見?」と思ったのですが、徳川家ともゆかりの深いこの谷中霊園は「凄み」のあるお花見スポットです。約150本ものソメイヨシノが見事なトンネルを作っており、思いのほか人出も多く楽しく走ることができます。日暮里をスタートして谷中霊園を通り、上野公園まで走ってだいたい10キロ。上野公園の桜まで楽しめて、ちょっと欲張りなコースです。
8. 靖国神社(千代田区)
東京都の桜の開花宣言は、この靖国神社の桜が基準になっているのをご存じですか? 境内にある3本のソメイヨシノがその標準木に認定されています。1870年に木戸孝允が植えたといわれる桜は、現在約800本。また、植えられた桜の種類が多彩であることも靖国神社の特徴で、満開になる時期に幅があるため、長い期間お花見を楽しむことができます。皇居ランから少しだけ足を伸ばして、靖国神社の桜を愛でるのも楽しいのではないでしょうか。
9. 砧公園(世田谷区)
大きな桜が地面近くまで枝を広げ、「目の高さ」で桜を楽しむことができる砧公園。1周2キロほどのランニングコースは高低差が少なく、とても走りやすいコースです。約930本もの桜が公園のいたるところで咲いていますが、特に園内を流れる多摩川の支流、谷戸川沿いは絶景のお花見スポットになっています。
10. 新宿御苑(新宿区)
約65種、1300本もの桜を誇る新宿御苑は、その種類の多様さから、4月下旬までお花見を楽しむことができます。4月下旬、最後を飾るのが約470本の八重桜です。御苑のランニングコースは、1周3.7キロ。西新宿のビル群に向かって走る反時計回りが人気のようです。
番外編:京都鴨川
最後に東京都内ではありませんが、「大好きなランニングコース」としてこんな場所を挙げてくれたランナーもいました。それは、京都鴨川。三条あたりから賀茂川(西側)沿いに上っていくと、断続的に桜並木がやってきます。南から走ると最初は葉桜、もう少し上って満開の桜、そして北はまだ8分咲きと、開花の移ろいが見られるそうです。観光もかねて、春の京都に出かけてみるのも楽しいかもしれませんね。
(尾越まり恵)