「始めること」ほど難しいことはありません。

人は、ゴールのあまりの遠さに怖じ気づいてしまい、始めの一歩がなかなか踏み出せなくなるものです。筆者もこのことをよく知ってます。

彼は、自分の本を書いているとき、一日の大半を「始めること」との苦しい戦いに費やしていたそうです。

しかし、幸運にも彼は「始めること」への素晴らしいハックを発見しました。それは「10分ハック」と呼ばれるものです。

10分ハックなら「始めることができる」

筆者は毎朝、起きてすぐの朝食やシャワー、メールチェックを行う前に、タスクを1つ選んでiPhoneのタイマーを10分間にセットし、ノンストップで取りかかります(ただし瞑想の後で)。

10分間でも驚くほど仕事ができるそうです。しかし、ポイントはここではありません。

ポイントは「始めることができた」というところにあります。10分間が永遠のように感じられることもあるようですが、実際にはタスクが10分で終わることはまれです。

10分が45分に、1時間に、2時間になり、ともすると、ひとつのプロジェクトを終えるまで続けられることもあるとのこと。

10分ハックの美しさ(メリット)とは

「10分ハック」の美しさの1つは、とにかく始めてしまえば道が残っていくということです。

強固なためらいも流動性の中の歩みに道を譲ります。始めるために足かせとなっていた無用な批判精神も、動き出してしまった可能性の前で沈黙するのです。

また、この10分間は一日の残りの時間にも影響を与えます。もちろん、早くメールをチェックしたいですし、お茶を飲んだりTwitterをチェックしたいと思うものですが、「とりあえず10分だけこれをやればいいのだ」と自分に言い聞かせるようにしましょう。

これを続けていくと、「些事をしたい」という衝動を抑えるための神経回路(おそらく前頭前野にある)が、だんだん強化されていくような気がします。

10分ハックのもう1つの美しさは、誰も失敗できないということです。もし取りかかった仕事を10分間すら続けられなかったら、自分を負け犬だと感じてしまうことでしょう。しかし、10分間なら誰だってできます。失敗するほうが難しいくらいです。

モチベーションの柔道

前述の2番目の美しさがあればこそ、1番目の美しさもキマってきます。

この「モチベーションの柔道」こそが10分ハックの作る偉大な作品なのです。たとえフロー状態(高度に集中している状態)に入れなくても問題ありません。

最初の10分間が経ったなら、自分に他の事をするのを許可していいのです。もしかすると、その後でフローに入れるかもしれません。もしフローに入れたら、それは素晴らしいことです。

一日の始まりに2時間、集中して仕事ができたら、その日は一日中気分が良いでしょう。

まじめな話、朝に2時間集中したほうが、8時間ダラダラやるよりも多くの仕事をこなすことができます。

このテクニックは他にも様々な応用が可能です。また、必ずしも10分である必要はありません。

瞑想を始めたい?

それならタイマーを2分にセットしてください。もしたった2分間の瞑想ができないのなら、あなたの問題は「忙しさ」ではないです。瞑想が気に入ったなら、もっと時間を延ばしてみましょう。

朝、ストレッチを始めたい?

シンプルなものから始めてください。ただ床に座わって足を伸ばしてみます。座って足を伸ばすのは簡単です。そして、ストレッチが気持ちいいと感じたら、他の姿勢も試してみればいいでしょう。

ワークアウト・プログラムを始めたい?

30分間の有酸素運動などのシンプルなものを選び、1週間毎日続けることに挑戦してください。1週間だけなら難しくはありません。そして、それが良い感じだったら、さらに継続すればいいのです。

いかがでしたか? 皆さんも是非「10分ハック」を実践してみてください。

Source: The 10-Minute Hack | Kadavy {Dot Net}

David Kadavy(原文/訳:伊藤貴之)