新年には誰もが「誓い」を立てます。しかし残念ながら、誓いを守り続ける人はあまりいません。実際、81%の誓いが2年以内に破られているそうです。そこで今回は、誓いを確実に叶えるための基本法則をご紹介します。続いて、一般的な5つの誓いについて、その法則を当てはめてみましょう。
人が立てる新年の誓いはだいたい似通っています。よくあるのは「体重を減らす」、「ストレスを減らす」、「借金をなくす」、「禁煙する」、「新しいスキルを身につける」などです。結局は個人がそれぞれがんばるしかないのですが、取り組みを始める前に「誓いの立て方」や「スケジューリング」、「トラッキング」の方法を学び、スムーズなスタートを切りましょう。
■フォーカス、計画、トラッキング誓いを守れなくなる要因は大きくわけて3つあります。「ゴールが不明確である」、「自己管理が甘い」、「進捗管理をしない」です。これらの課題をカバーし、誓いを確実に実行するための次の3ステップのプロセスをきっちり押さえておきましょう。

どんな誓いであれ「フォーカス」することが大切です。誓いはできるだけ具体的なものにします。例えば、「健康になる」はすばらしい目標ですがまだ具体的ではありません。これを具体的にするために、健康になるには何が必要かを考えてみます。「体重を減らす」、「運動をする」、「食生活を変える」などが挙げられるでしょう。もしブラッシュアップするのに苦労しているなら、次の質問に答えてみてください。
- 私はなぜこれをしたいのか?
- 毎日の習慣で変えなければならないことは何か?
- それは私を幸せにするか?
- 小さいことから始められるか?
- 誓いを実現するためにどのような年間計画が立てられるか?
最終的には、1~2行で書ける具体的なアイデアにまとめます。健康のために具体的にできることは何でしょうか? もし週3回、30分歩くということを思いついたなら、あなたの誓いは「毎週の月・水・金曜日に近所を30分歩く」というものになるかもしれません。
2. ゴールを決め年間計画を立てる具体的な誓いが決まったら、今度はそれを達成するための計画を立てます。前述の「毎週3日歩く」を例にとれば、歩く日をカレンダーにマークしていきます。
ポイントは、あなたが普段使っているカレンダーを使うことです。そうすれば、誓いのための時間を確実に確保でき、また誓いを忘れることがなくなります。最初はやる気が先走って野心的な計画を立てたくなるかもしれませんが、現実的でない無理な計画を立てないように気をつけてください。カレンダーで実際にスケジュールしてみることで、その計画が実現可能なものかどうか見分けがつくでしょう。いったんスケジュールを決めたなら、それを自分に課した義務だと考え、何があっても死守しましょう。仕事のスケジュールと同じくらいの重要度を与えてください。 設定した目標が達成可能なものかどうか自信がもてない場合は、半年ごとにプランの見直しの日を定め、カレンダーにマークしておくとよいでしょう。 3. 成果と失敗をトラッキング(進捗管理)する自己管理の欠如は誓いを破ってしまう最大の原因のひとつです。誓いを守れているかどうか、しっかりトラッキング(進捗管理)しましょう。トラッキングするときは、成果だけでなく失敗にも目を配るようにします。失敗したときはどこが間違っていたかを分析し、計画や行動に修正を加えるようにします。また、成果をトラッキングすることで成功しやすくなるという効果もあります。「Psychology Today」によると、小さな成果に対しても褒美を与えることで心理的な強化が行われ、目標を達成しやすくなるそうです。短期目標を決め、達成したときには自分に褒美を与えましょう。例えば今月のダイエットの目標を達成したのなら、おいしいディナーを食べにいくのも良いでしょう。
テクノロジーのおかげで、自分の行動をトラッキングをすることは容易になりました。「Daytum」や「Quantter」などのウェブアプリを使えば、たいていの誓いのトラッキングは可能です。もしあなたの誓いが特殊なものなら、それにあわせたツールを使えばよいでしょう。
成果のトラッキングと微調整を繰り返すことで、あなたの計画はより練り上げられ、達成しやすいものなっていきます。
例えば、筆者のゴールは「The Best Programming Guide Ever」というプログラミングの本を1週間に1章分ずつ読み進めながら、プログラミングを習得することです。もちろんカレンダーで成果をトラッキングしています。最終的な目標は、自分のウェブサイトにHTML5で作った自作ゲームを公開することです。
■よくある5つの誓いに、基本法則を当てはめるここまで、誓いを守るための基本法則をご説明しました。今度はこの基本法則を自分の誓いに適用してみることです。ここからは、基本法則を一般的な5つの誓いである「ダイエット」、「ストレス・マネジメント」、「お金の管理」、「禁酒・禁煙」、「スキルの習得」に適用してみます。
1. 食生活を改善し、体を鍛え、体重を減らす
アメリカ人の33%が病的な肥満で、残りのうち34%が太りすぎだそうです。このような統計情報を見ると、いかに多くの人がダイエットや食生活の改善を目標に掲げるのがわかります。
まずは、目標を達成するために何が必要で実際に何ができるのかをよく考え、具体的な行動計画にブレークダウンしていきます。以下に例を挙げておきます。
- 週に4回は野菜中心の食事にする。
- 毎週水曜と日曜にジョギングする。
- 12月1日までに体重を20ポンド減らすために、トランス脂肪の摂取を控え、毎日30分歩く。
食生活改善のプランをつくるには、USDAの「SuperTracker」が便利です。このサイトに毎日の食事を入力すると、食生活の改善についてのヒントを得ることができます。何が必要かがわかったら、具体的な計画を立てましょう。いきなり長期の計画は無理でしょうから、まずは1ヶ月分の計画を立ててみてください。野菜中心の食生活をすると決めたなら、まずカレンダーにその日に食べる予定の野菜を書き込みます。そして、その野菜を中心に献立を考えます。
健康にはエクササイズも欠かせません。「ライフハッカー・ワークアウト」は、シンプルでよく考えられたエクササイズですので、ここからスタートするのもよいでしょう。基本となるスケジュールも提供していますので取り組みやすく、また、自分の進捗に合わせて内容を調整することもできます。もっと自分独自のエクササイズ・プランを作りたいと言う人は「gymless workout」が参考になります。
「ダイエット」は新年の誓いの中でも困難な方ですが、スケジューリングが重要なカギを握るものでもあります。まず、現実的な目標を立ててください。多くとも1週間に500g~1kgの減量目標に抑えるべきです。医学的見地から言えば、まずは現体重の5~10%の減量を目標とすべきでしょう。次に「weight loss calculator」に自分の情報を入力します。現在の身長、体重、運動量、目標減量値などを入力すると、1日に摂るべきカロリー量が算出されます。上に書いたSuperTrackerとあわせて利用するとより効果的です。まずは月ごとの目標減量値を決め、食事の計画やエクササイズの計画とあわせてカレンダーに書き込みましょう。これでダイエットのためのフルスケジュールが完成です。
食生活の改善、エクササイズ、減量はどれも簡単にトラッキングできます。スマートフォンなどから毎日の食事、運動、体重の記録を入力し観察すればいいのです。iOSのカロリー記録アプリ『Lose It』(英語版のみ)や、運動量をトラッキングできる『RunKeeper』は優れたアプリです。Androidなら『FastSecret Calorie Counter』や『CardioTrainer』がオススメです。ウェブアプリなら「Fitocracy」や「Fleetly」が運動量の管理に最適です。これらのツールを組みあわせて、毎日の食事や運動量、体重をトラッキングできます。また、体重の変化を見て、どの食事やエクササイズが効果があったのかを分析することも重要です。
2. ストレス・マネジメント

ストレス源を特定し、計画を立てます。例えば、次のようなプランが考えられます。
- 2ヶ月に1度、一日中映画を見る日をつくる。
- 毎週月・水曜は、夕方6時からのヨガクラスに通う。
- 毎週日曜に2時間、重要な問題について考える時間を確保する。
残念なことに、ストレスマネジメントはスケジュールしにくいです。しかし、ストレスを軽減させる活動でカレンダーを埋めることはできます。ストレス軽減のためには、趣味の時間をとることです。そのためには、まずカレンダーで「遊ぶ日」を確保しましょう。例えば、2ヶ月ごとに休暇を使ってプライベートの日をつくり、趣味のための時間を確保するのです。この日に長期休暇のプランを練るのもいいですね。特にすることが思いつかなくても、とりあえずプライベートの日をカレンダーに確保しておくようにしてください。また、週に1度「思い悩む日」をつくっておき、日々の心配事を考えたり、ストレス軽減のための「自分リニューアル計画」を立てるのもよいでしょう。
ストレスマネジメントに魔法の方法はありませんが、日々の進歩をトラッキングすることはメリットがあります。普段使っているカレンダーを使いましょう。まず、リラックスタイムのための「プチ休憩」がスケジュールされていることを確認します。次に、ストレスを感じた日があったらカレンダーにマークし、ストレスを感じた理由も書き込んでおきます。ストレスに関する自分の「傾向」を把握するのです。例えば、どうやら月曜日は遅くまで残業してしまいがちで、ランチも職場のデスクでとっていることが多い、ということがわかるかもしれません。それが毎週続くようなら、生活習慣を見直すとよいでしょう。
3. 負債を整理し、お金を貯める

借金生活から抜け出しお金を貯めるには、次のような誓いを立てることになるでしょう。
- スタバ通いをやめ、クレジットカード負債の毎月の返済を今より20%増やします。
- 月・水・金は弁当を持参し、毎月120ドルを定期預金に積み立てます。
- 隔週で休日出勤をし、毎月150ドル積み立てます。そして8月までにカード負債をすべて返済します。
負債を整理しお金を貯めるという目標は、スケジュールしやすいです。現在の財務状況を分析し、毎月すべきことを決めて書き出してみます。もし借金の返済が目標なら、毎月いくら返済するかを検討します。お金を貯めることが目標なら、同じく毎月貯金する金額を決め、自動積立定期預金にしましょう。家計の管理方法については、以前ご紹介した記事(英文)が役に立つでしょう。
おさらいすると、負債をなくしお金を貯めるには、自分の財務状況をよく見極めた上で、毎月の返済額や貯金額を決め、カレンダーに計画を書き込むようにします。
家計簿のつけ方はいろいろありますが、iOSの会計簿アプリ『Jumsoft Money』はスグレモノです。AndroidやPCなら『Mint』がオススメ。Mintなら「米Lifehackerが作った簡単なガイド」(英文)も参考に。どんなアプリを使おうとも、その目的は毎日の出費を監視し、目標とする貯金額や返済額をキープすることだということを忘れないでください。
4. 禁煙、お酒を減らす

アメリカ人の50%以上が日常的に飲酒をしており、20%が喫煙の習慣があるそうです。飲酒、喫煙に関する誓いをどうすれば守れるか、ライフハッカーでも考えてみます。
禁煙する具体的な日にちを決めます。飲酒に関しては、お酒を飲む日を減らします。誓いは以下のようにシンプルなものになるはずです。
- 2月3日から禁煙する(日にちを具体的に)。
- お酒を飲むのは金曜と土曜の夜8時以降だけにする。
飲酒に関するアプリなら、iOSの『NHS Drinks Tracker』や、Androidの『AlcoDroid』があります。どちらも毎日の飲酒量をトラッキングして、アルコールの血中濃度を推量することができます。また、前述の家計簿アプリを活用する手もあります。バーや酒屋に行かないことで、どれほどのお金が節約できるかをぜひ体験してください。
5. 新しいスキルを身につける

新しいスキルや手仕事、趣味を覚えることは楽しいものです。人材としての市場価値を高めるだけでなくDIY(日曜大工)の能力も高まり、お金の節約にもなるでしょう。
まずどんなスキルを身につけたいか考えます。また、そのスキルで最終的に何を叶えたいのかを決めるとよいでしょう。例えば、「週に一度カンフーを習って、12月までにジャッキーチェンの映画のエキストラに応募します」という具合です。
どんなスキルを身につけたいかが決まっても、何から始めたらいいか迷うかもしれません。そんなときは、関連する本を探すことから始めてみましょう。本を教科書代わりにしてスキル習得計画を立ててみてください。1~2週間で1章ずつ読み進めるようにすれば無理なくスタートが切れるでしょう。プログラミングやPhotoshopのスキルを身につけたいなら、毎週1日を実習の日と決めてもよいでしょう。また、期限を設けて目標を決めるのもいいですね。例えばPhotoshopなら、最初の目標は「1月2日までにすべての家族写真の赤目を修正する」などにし、もう少し実習が進んでいるなら「ビリーの写真を使って、彼が竜にまたがって剣をふりかざしてる画像をつくる」ことを目指してみるのもよいでしょう。PCの自作やウェブサイト構築、プログラミングなどに興味があれば、ぜひ「Lifehacker Night School」(英文)を覗いてみてください。
スキルや趣味習得のためのトラッキングは簡単です。特別なアプリは不要でしょう。予定通りに実習が進んでいるかをカレンダーで確認するだけでOK。進行が遅れているなら、翌週は1章余分に進めるようにするか、計画全体を見直してください。建築やアートのスキルを習得するなら、プロジェクトの成果を世の中に発表することを考えてみましょう。また、DIYのプロジェクトを終えたなら「Instructables」や「WonderHowTo」といったサイトであなたの成果をシェアしてみるのもいいですね。アート関係なら「Deviant Art」に投稿すれば、よいフィードバックを得られます。音楽関係なら「Soundcloud」がいいでしょう。もしプロジェクトの成果を世の中に発表する予定があるなら、はじめから習得過程を記録しておき、将来発表するための準備をしておきましょう。また、習得過程を記録しておけば、あなたがこの1年でどれほど進歩したか、どれほどのスキルを身につけたかを後で振り返ることもできますね。
新年の誓いをたてる上で(もしくは人生の決断をする上で)覚えておかなければならない重要なことは、「決して簡単なことではなく、失敗することもあるだろう」ということです。現実的な目標を定め、よく計画を練って取り組めば、失敗の数も減ることでしょう。毎月の目標を決めていない場合でも、大枠の目標やアウトラインを守るようにし、つねに成果をトラッキングするようにします。そうすれば、ゴールに向かう途中のプロセスにおいても小さな達成感を積み上げていけるでしょう。幸運を祈ります。
Thorin Klosowski(原文/訳:伊藤貴之)