世界的な不況が長引く現在、常にいろんな事件が起こっています。原因は何であれ、もしかしたら、あなたも推理小説に登場する脇役のように誘拐されてしまうかもしれません。そういった事件が実際に自分の身に起きてしまった場合、どのような知識を持っていれば役に立つでしょうか? そして、どのようなライフハックを使えば自分の身を守ることができるでしょうか?

 一般的な誘拐方法(映画などでもよく見かける形)といえば、なんといっても車のトランクに無理矢理入れてしまうやり方です。こちらの方法は、すばやく実行可能でコストも最小限、誘拐された人の方向感覚を狂わす効果もあり、せまい所へ閉じ込めてそのままの状態で運べるため、かなり効率的。誘拐する側からするとメリットが多いです。なお今回の記事は、決して効率よく誘拐するためのTipsを紹介するものではありません。

2002年以降に製造された車であれば、トランク内にハンドルが取り付けられているので脱出するのは簡単です。よって、優秀な誘拐犯であれば、この手のハンドルが取り付けられている車は恐らく使わないと予想できます。

ここからは、トランクに閉じ込められた際の一般的な脱出方法をご紹介します。筆者はあらゆる車でこの方法を実行し、ことあるごとにそのやり方を教えてきました。コツをつかんでしまえば誰でも簡単にできるはずなので、この記事を読んだら一度試してみることをオススメします。ただし、失敗して出られないという場合を想定し、知人・友人が近くにいる状態で試してください。また、後部座席とトランクがつながっている車種であれば、座席を下げて脱出ルートをあらかじめ確保しましょう。

トランクに放り込まれた際に備えて最初に知っておくべきことは、トランクの中では窒息することはないということ。人が窒素してしまうほど小さなトランクのある車はありません。次に顔と手を車の後ろへ向けます。暗くて目が見えない状態でも問題はありません。また、車のトランクは頑丈に作られているので、突然中に何かが入ってきたり、突然放り出されたりということは絶対にありません。

トランクロックの仕組み

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ほとんどの車には内部からのトランクリリースがあります。迅速な脱出を試みるには、これがカギとなります。これらのシステムにはあまりバリエーションがなく、メーカー側もオリジナルのトランクロックをわざわざ開発するメリットがあまりないので、大抵のものは同じ仕組みです。「トランクのロックの仕組みで車を選ぶ人はいない」と断言してしまっても良いでしょう。

ロックは「フックアンドポスト」という原理のシンプルなものです。トランクのふたにロッドやポストというものがあり、車体の方に取り付けられたフックがそれと噛みあって、トランクが閉じた状態を維持しています(ポストやラッチの場所が逆だったりもしますが、原理は同じ)。トランクリリースを引いたり、カギをカギ穴に差し込んで回すとフックが回転し、ポストとの噛み込みが外れてトランクが開きます。トランクリリースは、フックにつながっている長いケーブルを引っ張ってポストから外します。パワーシステムも、ソレノイドを使うかどうかという点以外は基本的には同じです。


脱出への道のり

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気持ちが落ち着いたら、トランクの内部を手で触ってみます。後部の蝶つがいあたりから始めるのが良いかと思います。そこに固いケーブルがあるはずです。この手で触れる部分は、実際には中のケーブルを保護するケースなのですが、これを車の前方向に引っ張るとロックが解除される場合も多いです。

カーペットを移動させたり、カードボードパネルを外したりする必要があるかもしれませんが、蝶つがいから顔を覗かせるリリースケーブルはトランクの端にあり、トランクのふたの中央あたりに位置しているロック機構へと続いています。カギの構造部分とつながっているふたの中央あたりの方が握りやすいかもしれません。外側の外板部分と内側の鉄部分の間の、トランクのふたの中にあるケーブルを運転席の方向へ引っ張ると、大抵の場合ロックは解除されます。解除されたらふたを押し上げ、トランクを開きます。


うまくいかない場合

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上の方法でトランクから脱出ができない場合、または誘拐犯たちの車にトランクリリースのケーブルがない場合、ロックシリンダーを見つけ出すことで、掛け金を外すことが可能です。ロックシリンダーはトランクの後面の中央、またはいずれかの端にあります。ロックシリンダーと掛け金構造とは、ロッドまたはそれに似たデバイスによって接続されています。ロックシリンダーを掴み、ロッドがどちらの方向にロックを引っ張っているかを確認して、掛け金を外しましょう。


自由を我に!

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基本的に知っておくべきことはこのくらいです。トランクが開くとダッシュライトが点灯する可能性が高いので、まずはいろんな部分を触って確認し、車が停止したことを確認してから実行してください。トランクが開いたら、すぐに逃げましょう。車が通れる道を極力避け、フォレスト・ガンプのように走り続けてください。迅速かつ静かに、この一連の手順を実行し、トランクを閉めることに成功すれば、脱走したことに気付かれずに脱出できる可能性は十分あります。


トランクに閉じ込められた際には、この記事の内容をよく思い出してみてください。

Jason Torchinsky(原文/訳:まいるす・ゑびす)