「成功するための洋服選び」や「なりたい自分になるための服を着る」などといったフレーズは、できるビジネスマンのための雑誌の見出しにありますよね。成功するためには服装も重要だと分かっていても、実際にそれを実行するのは難しいものです。そこで今回は、新しい服を買ったりオーダーするのに失敗する前に、「服装の科学」について細かく解説していきたいと思います。
Photo by bark.洋服のカット、スタイル、フィット感も重要ですが、まず最初にほとんどの人の目がいくのは「色」です。色はその人物がどのように見えるのか、心理学的にも影響を与えるものなので、どのように見られたいかによって身につける色を変えられるように、基本的な知識を押さえておきましょう。
■色の認識の仕方が見た目に影響を与えている色彩学は正確には科学ではありませんが、目に映る色が人に影響を与えることがある、ということはご存知でしょう。これは洋服に限ったことではありませんが、認知効果を洋服の色選びに適用することはできます。色は、誰かのあなたに対する認識だけでなく、自分自身の認識にも影響を及ぼします。ある色を身につければ間違いなく成功できる、というようなことはありませんが、自分にそのように感じさせることはできます。
赤が「止まる」、「興奮」、「危険」などを表現するのは万国共通ですが、人を少し怯えさせる色だとする研究もあります。また、赤は「不安にさせる」、「気が散る」、「自己没入」の色だという説もあります。
去年の調査によると、いわゆる社長は、他の色よりも赤系の色を好む(英文記事)そうです。同僚を怖がらせたりしたくはない人がほとんどでしょうから、最初のうちは鮮やかな赤やマゼンタは避けるようにした方がいいでしょう。
青は、一般的に穏やかになる効果のある色です。これは洋服でも同じことが言えます。青は人をクリエイティブな気分にする効果がある、と言っている研究もあり、理論的には、青を身につけると、同僚のクリエイティビティにいい影響を与えるということになります。
黒、紺、グレー、茶色のような暗い色は、きちんとしている印象を与えると一般的に言われています。暗い色の洋服を着ると、周りの人にそのような影響を与え、自分のしていることが分かっているというように思われます。
アースカラー、パステルカラー、黄色のような明るい色は、親しみやすい印象を与えると一般的に言われています。これは悪いことではありません。優しく、気さくで、とっつきやすい人だと思われるということです。明るい色合いの服がワードローブにあると、雰囲気が変わって便利だと思います。
サングラスの色でも、人からの見方が変わることがあります。台湾の国立成功大学の研究では、フレームの色でも意味合いが変わってくるとありました。例えば、緑のフレームは低俗な印象を与え、黒のフレームは安定している印象があるそうです。
■スタイルにも影響力はある色が重要だからと言って、スタイルが重要でないわけではありません。実際、「the Journal of Applied Psychology(応用心理学ジャーナル・英文)」の中の研究で、自己認識によって言葉も変わるということが分かったそうです。
フォーマルな格好をした被験者は、カジュアルな格好をした被験者よりも、よりきちんとした形容詞を使うという結果が出ました。さらに、フォーマルな格好をした被験者は、カジュアルな形容詞よりも、フォーマルな形容詞の方が早く反応しました。一方で、カジュアルな格好をした被験者ではまったく逆でした。
カジュアルとフォーマルをどのように定義しているかによって、影響力は変わってきます。普段Tシャツとジーンズをよく着ているようなタイプの人は、ポロシャツを着るだけでもきちんとしている感じに見えるでしょう。たとえ、フォーマルの一般的な定義とは違っても、ポロシャツを着て言動が変わったことで、周囲の人もより気付きやすくなります。
大企業の多くでは、服装に関して保守的なものが好まれる、とほとんどの調査で分かっています。「ハーバードビジネスレビュー」(英文記事)では、男性の37%は、自分の上司と同じような部分がないと、リーダー的な役割を担えるようにならないと信じていると指摘しています。どんな仕事でも、自分の環境を基準にしたり、周りの人がどんな服装をする傾向にあるか理解することはいいことですが、それは見た目を少しも向上させないという意味ではありません。
Photo by Ace Armstrong. ■色彩学をさりげなくワードローブに取り入れる方法ここまで読んだら、真っ赤なブレザーを買いに走って、次の日から会社に着ていくようなことはおそらくないでしょう。注目を集めず、少しだけ見た目を良くする方法が知りたくなると思います。服装は、少しだけ自信を与えてくれるものではありますが、同僚や友だちに陰口を言われる可能性もあります。
科学を用いるのであれば、服装はスタイルからではなく、色から徐々に変えるといいでしょう。例えば、普段着ないようなきちんとしたシャツを着たいけど、注目は浴びたくない...という場合は、明るい中間色にするところから始めてみましょう。これはパンツや靴でも同じです。イメージコンサルタントのCrystal Gardner氏は、以下のように提案しています。
何かの見た目のイメージを変える時は、些細なところを変えるのが一番簡単で安全です。色やアクセサリーで遊ぶのがいいと思います。色の場合は、重ね着するシャツやセーター、ストッキングやスカーフなど、ワードローブに取り入れやすいです。今は大胆な配色が大きなトレンドですが、考えて色を足していきましょう。最近の流行色である、ネオンカラーや濃い青、紫、赤、緑、オレンジは、季節的なものもあります。
アクセサリーも、イメージを変えるのに大きく役立ちます。コスチュームジュエリーは優雅で洗練された雰囲気に、レトロなデザインのアイウェアは流行の明るい感じに、ベルトはウェストを強調して違う見た目になりますし、靴は見た目を印象的に変える偉大なアイテムです。個人的には、今年はオックスフォードフラット(ウィングチップ)が、色も柄も豊富に出ていて好きです。クラシックな中に、新しいひねりが効いています。服装の一部を変えるのはとても経済的ですし、完全にワードローブを買い直さなくて済みます。
些細なところや一部だけを変える方法だけではありません。「Milena Distinctive Image Consulting」のイメージコンサルタントであるMilena Joy氏は、もう少し積極的な方法を提案しています。
Photo by DaveBleasdale.CEOや偉大なリーダーというのは、壁の花のように地味ではなく、堂々と目立つ格好をしています。見た目を変えることと周囲の人のリアクションというのは、すべて一貫性があります。服装を一気に磨き上げて洗練させれば、それに関してあれこれ言われる時間が短くなります。最初は同僚や周囲の人のリアクションが気になるかもしれませんが、1日くらい我慢すれば、大抵すぐに新しい見た目が普通になります。
新しい服装に徐々に慣れさせようとすると、それぞれのアイテムや変わった点で、誰かが何かしらコメントします。ですから一気に変えて、落ち着かない状態は1日だけにするといいです。もう二度と後戻りせずにイメチェンを成功させるためにも、両足一気に新しい服装に変えてみることを(もちろんパンツを新調するという意味も含めて)おすすめします。
新年ですから、心機一転服装からイメージチェンジしてみるのもいいのではないでしょうか。色から取り入れるもよし、全身一気に変えるもよし。うまくいった方からのコメントのご報告、お待ちしております!
Thorin Klosowski(原文/訳:的野裕子)