10代、20代の若かりし頃に比べると、歳をとるにつれて外国語を身につけるのはなかなか難しいもの。年齢を重ねると時間的な制約が増えることもさることながら、アタマが硬くなり、新しい情報がすんなりと入りにくくなってしまいます。とはいえ、あきらめるのはまだ早い! こちらでは、それほど労力もお金もかけずに、自然と外国語が身につくちょっとしたコツをご紹介しましょう。
Photo remixed with ~nostalgic-stock.能動的学習は外国語の習得に役立ちますが、受動的学習も同様の学習効果が認められています(こちらの英文記事参照)。ポイントは、日常の身の回りの環境を「外国」仕様にすること。身の回りの日常的な環境を母国語から外国語に変え、その環境に自分を順応させていくことで、語や意味を徐々に理解していきましょう。たとえ、新しい言語の習得までには至らなかったり、思ったほど流暢にならないにしても、言語の理解力は進みます。複雑な語や時制を学ばなくとも、言語への理解力は大幅に向上させられるのです。
歳をとった犬が新しい技をなかなか覚えないように、「自分ももう遅いのではないか?」と悲観的になる必要はありません。ある研究結果(英文記事参照)によると、大人が第二外国語を学ぶのは意外に簡単であることが明らかになっています。大学受験以来10年、まともにスペイン語を勉強していないとしても、知識のいくらかはアタマの中に残っているはずですし、地の利を生かして、すでに地元に溶け込んでいる言語を学ぶのも一法です。
たとえば、米国南西部はスペイン語のスーパーやレストランが点在しているので、自然とスペイン語に囲まれた環境に身をおくことができます。同様に、チャイナタウンやリトルトウキョウなど、地域ごとにプチ外国を経験できるエリアはあります(日本にも同じようなプチ外国がありますよね)。
それでは、身の回りを「外国仕様」にする具体的な方法についてご紹介しましょう。
■コンピュータを外国語化にする一日中コンピュータに向かっているなら、インターフェイスの言語やブラウザの拡張機能などの設定を変更するだけで、外国語の一般的なフレーズを理解しやすくなります。もしプログラムに慣れていれば、ナビゲーションに困ることはないでしょうし、一方で徐々に言葉を覚えることができます。
- ブラウザ拡張機能
ブラウザの拡張機能は、ブラウザの言語をサクっと変更するためのシンプルな手段。外国語の読解力を身につける上でニュース記事を読むのは、非常に有効な定番の方法です。自分になじみのある内容なら、ブラウザ内で言語を変更するといいでしょう。一日1~2記事程度別の言語で読み続ければ、語学力向上に役立ちます。
- OS
ブラウザ同様、OSの言語を変更しましょう。基本的なユーザインターフェイスが、新しい言語で表示できます。OSの使い方がわかっていれば、メニューのナビゲーションにはそれほど苦労しないでしょうし、一般的な語を少しづつ学ぶことができます。Windows/Macにおける言語変更のための操作手順は次のとおり。メニューやタスクバー、設定画面の言語のみ変更するので、日々の基本的な作業には影響しません。
- スマートフォン
スマートフォンでも同様の設定ができます。ほとんどの電話では設定から言語が選択できます。デスクトップのOSと同じように、ブラウザ上のキーボードやテキストには影響しません。Android/iPhoneでは、次のような手順で言語を変更できます。
- スマホアプリ
スマホアプリは、それぞれ対応する言語も、設定方法も異なります。中には言語変更の操作をすると、突然何かをダウンロードし始めるアプリもあるので、気をつけてください。以下のアプリは、複数の言語に対応しています。
- ゲーム
アタマの体操には、複雑なゲームとシンプルなゲームを組み合わせるのも一法です。以下に列挙したスマホ向けゲームは複数の言語に対応。テトリスのようにゲームのルールがわかっているものは、手始めにいいでしょう。
ちなみに、iOS向けゲームアプリは、iTunesで対応言語が明示されている一方、Android向けアプリは明示されていません。これはつまり、Google公式アプリには一般的な言語設定機能が搭載されているということでもあります。もちろん、これにあてはまらないものもあるかもしれませんが、まずは試してみてはいかがでしょう。
また、コンソールゲームやPCゲームでも、同様の方法が使えます。多くのコンソールゲームでは、メニュー画面やゲームで言語設定が可能です。
「Auto-Translate」は、ウェブサイトの言語変更に便利な拡張機能。また、Google公式の「Google Translate」も、ポップアップ表示されるという点は異なるものの、基本的には同様の機能です。これらの拡張機能は、Chromeにビルトインされている翻訳機能に比べ、どのページでも翻訳できるという点で便利です。
拡張機能「TranslateMenu」は、右クリックでブラウザの言語を変更できるツール。翻訳前と翻訳後のテキストをカンタンに行き来できます。一方、拡張機能「Foxlingo」は、Firefoxにまつわるすべての翻訳を一手に引き受けてくれるツール。言語データベースが大きく、文法チェックや自動翻訳など、機能も満載です。
残念ながら、Safariにはそれほど選択肢はありません。しかし、Google翻訳を使った拡張機能「Translate」があります。
スタート>コントロールパネル>時計、言語、および地域>地域と言語>キーボードと言語
「システムプレファレンス>言語とテキスト」で、「言語タブ」から変更したい言語をドラッグ。
■スマートフォンやスマホアプリをバイリンガル仕様にする
設定>言語と文字入力>言語・地域選択
設定>一般>言語環境>言語
■自宅を「外国」にしてしまう

言語を習得するための原始的な方法として、鏡やテレビ、ドア、食材など、家にあるものの名前をポストイットでメモ書きして、目につきやすいところに貼り付けるのも効果的です。
台所は新しい言語を学ぶ上で、うってつけの場所になります。外国語で料理を教えてもらえば、外国語もレシピも学べて一石二鳥。料理番組から探してみると、自分に合ったものが見つかるかもしれません。たとえば、スペイン語のレシピ動画サイト「El Gourmet」は、料理の作り方をスペイン語で理解するのにいい「教材」です。
睡眠学習の信憑性については、長年懐疑的なものが多かったのですが、一部の研究結果(英文記事参照)によると、睡眠中は情報を脳の中で整理するので、睡眠によって知識が定着するということが明らかになったそうです。BGMっぽくポッドキャストを流すだけでも少しは効果がありますが、物理的な自分の動作と連携させたいなら、たとえば歯を磨くときや洗濯するとき、これらの動作に関連した洗面所系ワードが入ったフレーズを使うといいかもしれません。
外国語の音楽を聴くのも、効果的な語学習得法です。完璧に翻訳できなくても、語の意味をとらえやすくなります。たとえば、スペイン語でカバーされているビートルズの曲はたくさんあります。
チャイニーズスーパーなど、自分が学んでいる言語のスーパーや小売店があったら、立ち寄ってみましょう。チラシなどを読むだけで語学の勉強になります。万一、買い物に困ることがあったら、『Word Lens』のような翻訳アプリに助けてもらいましょう。
いずれの方法も、設定変更など、ちょっとした手間をかけるだけ。ほとんどお金はかからないので、やってみる価値アリですね。グローバルなこの時代、英語はもとより、スペイン語や中国語、ロシア語など、少しでも馴染みがあったり、理解できる言語が増えるほど、キャリアの幅も人生の幅も広がりますよ。
効果的な英語学習に関しては、Night Schoolの「英語週間」も参照してみてください。
Thorin Klosowski(原文/訳:松岡由希子)