以前から在宅勤務の有効性の研究はありましたが、あまり科学的とは言えないものばかりでした。今回、スタンフォード大学が従業員12,000人以上の中国の旅行会社を使って行った調査によると、在宅勤務が明らかに生産性を向上させる、という結果が出たそうです。
996人の従業員のうち、508人が調査のために登録され、2つのグループに分けられました。1つのグループは適切な環境を整えた上で在宅勤務を行い、別のグループは従来通りオフィスに通勤しました。早くも数週間後には、在宅組のほうが生産性が高いという結果が出たそうです。在宅組のほうがより多くの電話をとり、より長時間働き、全体的な生産性も高かったとのこと。また、在宅組は通勤組に比べより幸福感を味わっており、退職者も少なかったとか。
この結果を見て、この旅行会社はより多くの人が在宅勤務ができるように就業規則を変更しました。しかし、中には自ら在宅勤務を選ばない従業員もいたそうです。「Slate」の指摘によると、彼らは同僚たちと共に過ごす時間に価値を置いているとのこと。もう何年も家で仕事をしている筆者は、どちらの気持ちもわかるようです。
しかし、筆者の個人的な意見では、この調査結果は少々在宅勤務の有効性を高く評価しすぎている気がするとか。なぜなら、グループ分けのときに在宅組か通勤組のどちらを選ぶかを自由に選択できるようにしているからです。当然、在宅勤務を選んだ人たちはそもそも在宅勤務に向いている人たちだったと考えられます。しかし、それはそれほど問題ではありません。在宅勤務を望まない人にとって、この調査結果はどのみち関係ないことだからです。
この調査結果の意義は、在宅勤務で生産性が向上することが科学的に証明されたんですよ、と言えるようになったこと。在宅勤務を望んでいる人にとって、上司を説得する良い材料になるでしょう。
Examining Telecommuting the Scientific Way
| Smithsonian Mag via GigaomJason Chen(原文/訳:伊藤貴之)