こんにちは、和食料理人の箱石昇平です。
本日より僭越ながら、料理、特に和食を中心とした情報をお届けしたいと思います。第一回は、私が修業時代を過ごした「東京吉兆」の名物、「鯛茶漬け」をご家庭で簡単に作れるオリジナルレシピを紹介します。
今でこそ高級料亭として名高い「吉兆グループ」ですが、創始者である湯木貞一(大御主人)が裸一貫で始めた大阪の小さなカウンターだけのお店が「鯛茶漬け」の専門店「御鯛茶処吉兆」だったことはあまり知られていません。茶懐石の影響を強く受けている現在の吉兆でも、お祝い事やお正月の献立に取り入れられるほどの定番で、「吉兆名物鯛茶漬け」と謳われているのには、このような理由があるのです。
実際に料亭で出される鯛茶漬けの味を完全に再現しようとすると、大変な労力と時間を要しますが、今回のレシピは非常にシンプルで簡単なので、ご安心ください。
■名店風・鯛茶漬けレシピ
材料(4人分)
- 鯛の切り身20切れ
- ゴマだれ
└ゴマペースト大さじ3杯
└濃い口醤油大さじ2杯
└みりん小さじ1杯
└酒小さじ1杯(煮切酒なら、なお良い) - 白米茶碗4杯
- わさび
- 焼きのり
- 煎茶、またはほうじ茶(ぶぶあられがあると、なお良い)
作り方
- まずはゴマだれを作ります。ゴマペーストの中に濃い口醤油、みりん、酒を少しずつ混ぜ合わせるだけです。作ったゴマだれは日持ちするので、余分に作り置きしても良いでしょう。
- 鯛の切り身にゴマだれを絡めます。鯛の身とゴマだれがなじむように合わせてから、少し時間を置くと良いです。すぐに食べるのであれば、醤油で鯛の身を下洗いしてからゴマだれに絡めれば、味がなじみやすくなります。使用する鯛の切り身はとびきりの上物でなくても構いません、前日に食べきれなかったお刺身の残りを使っても、そこまで味に影響はないでしょう。ヒラメやイサキなどの白身のお魚の切り身でも代用できます。
- 熱々の白御飯に、ゴマだれと合わせた鯛の切り身を乗せ、お茶を注ぎます。
- わさび、のりを乗せて完成です! あれば、ぶぶあられを乗せるとより本格的になります。
ポイント
- 鯛茶漬けの味の決め手はゴマだれです。ゴマペーストは、少なくとも純度100%の物をオススメします。風味は好みでお選びください。
- ゴマだれに使用する濃い口醤油を、刺身醤油にするとさらに旨みが増し、美味しくいただけます。
- 煎茶やほうじ茶ではなく、お吸い物くらいのカツオ出汁をかければ、さらに本格的な料亭の味になります。
一般的な家庭のお茶漬けとは全く違う、ゴマだれの濃厚なスープと香りが、鯛の身に丁度良く、お茶の熱でホロホロとほぐれていく触感が美味です。
仕事でクタクタに疲れて帰った夜や、急な来客や友人との宅飲みの締めにも、お刺身などの材料さえ揃っていれば、5分もかからずにできる超簡単メニューです。しかし、出来栄えは高級感漂う本格鯛茶漬けなので、ぜひお試しください!
(箱石昇平)