何かを思い出そうとする時、上の方やどこか遠くを見たり、時には目を閉じることがあるでしょう。知らず知らずのうちにやっていることなので、特に意味はないように思うかもしれません。しかし、心理学系ブログ「Psychology Today」では、認知科学者のArt Markman氏が、視界を遮断することは、実際に頭の中で情報を掘り下げようとする時にとても助けになると説明しています。
Photo by D. Sharon Pruitt思い出そうとする時に目を閉じるのはなぜなのでしょうか? 脳は常に大量の情報を処理しており、見ることは大量の情報のインプットです。目に写るものすべてを解析しようとするのは、脳の処理能力をかなり使うことになるので、空や天井、まぶたの影のような情報の少ないところを見ると、考える領域をより多く取れることになります。よって、視覚的な記憶を思い出そうとする時には、特に目を閉じた方がいいのです。
頭の後ろで手を組んだ時に、手に覆われている部分のほとんどは、目から入ってくる情報の解析に使われている脳の量を表しています。そこには、それまでに見てきた視覚的な記憶もあります。つまり、視覚的な情報を思い出すために視界を遮断することは、視覚に使っている部分の脳を再利用するという意味で、理に適っているのです。
同様の考え方は、他の感覚器官にも言えることです。音に関することや誰かの声を思い出そうとしている時は、要らない雑音があると情報の処理が複雑になってしまいます。例えば、誰かが話している時に文章を書くのは骨が折れます。文章を打ちながら頭の中の声を聞いていると、周りで話している文章を脳が解析しながら、何か別のものを書くことになるので、とても難しいわけです。
基本的に、何かを思い出す必要があるなら、それに関係する器官は閉じましょう。そうすることで集中しやすくなり、探している情報を見つけやすくなりますよ。Why Do You Close Your Eyes to Remember? | Psychology Today
Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)