「意志の力には限界がある」という説や、「精神力や集中力は自分次第で何とでもなる」という説など、ライフハッカーではこれまでにも意志力について諸説ご紹介してきました。今回は、意志がどのくらい強いかに関わらず、簡単な脳のトレーニングをするだけで、意志を強くできるかもしれないという説をご紹介します。
意志力を高めたり発揮したりするには、作業記憶の強さが大事になってきます。これは、注意を払うこと、計画を立てること、記憶すること、行動を起こしたり妨げたりする能力に当たります。
「Psychology Today」のSian Beilock博士の記事によると、心理学の雑誌に載っていた最近の研究では、作業記憶が人間の意志の強さにおいて、いかに大きな役割を占めているかが明らかにされているそうです。この研究では、お酒をよく飲む人たち(週に30杯くらい)を2つのグループに分けて、いくつかの実験をしています。
最初のグループは作業記憶の運動をしました。例えば、画面に表示された文字を見て、それを覚えてもらいます。一連の文字が完ぺきに覚えられたら、今度は逆からそれを覚えてもらいます。この実験では、覚える文字列は徐々に難しくなっていきます。2番目のグループにも同じような実験をしますが、そちらには一貫して同じ難易度のものが与えられます。その結果、当然のように、最初のグループの方が脳の能力が高められました。
最初のグループは、それまで実験していない意志力を必要とするような他のタスクにおいても、成長が見られました。驚くべきは、最初のグループの被験者は、実験前に飲んでいた酒量に比べて約10杯も、摂取するアルコール量が減ったのです(アルコールを一番飲んでいた人が一番アルコール量が減っていました)。2番目のグループでは、アルコール摂取に関してそのような変化は見られませんでした。
長期間に渡ってこの結果が持続するのかどうかは分かりませんが、実験をしている間は、簡単な作業記憶の運動がアルコール摂取量を減らしていたようです。定期的にこのような脳の運動をし、徐々に難しくしていくと、作業記憶の能力が強化され、意志の力も強くなっていきます。
意志の力を高める方法をもっと詳しく知りたい方は、以下のリンク先(英文)もチェックしてみてください。だらしない自分を変えたい、自己管理できるようになりたいという人は、脳の運動をしてみてはいかがでしょうか。
Training the Brain to Avoid Temptation | Psychology Today
Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)