交渉をする時には、自分の提案がいかに正当なものかを推した方がいい、と思っている人もいるでしょう。実際、その考えは正しいのかもしれませんが、それでチャンスをダメにする可能性もあります

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 「Psychology Today」に書いているArt Markman氏は、「Journal of Personality and Social Psychology(性格と社会心理学の雑誌)」において、交渉時の説得力ある議論の役割についての研究結果を述べています。

例えば、家を買おうかと思っている時に、売り手が「最近改装したばかりでいい学校の近くにあるから、35万ドルでどうか」と提案してきたとします。

人間は、最初にどんなにそれが素晴らしいかを説明された(正当化された)提案を聞くと、その反論を考えてしまう(あら探しをしてしまう)という研究結果があります。

しかも、その反論は最初の提案からかなりかけ離れたものになりがちです。家を見てまわった挙げ句、まだ改装が必要な場所を見つけたり、他の家の方が良い学校や街に近いと思ったりして、もっと安い金額を提案してきます。

また研究では、最初の提案はその交渉の基準となりうるので、重要だとも言っています。単純に金額を提示するにとどまっていれば、相手の頭の中が反対意見でいっぱいになることなく、妥当な金額に落ち着きやすくなりますよ。

最初に提案をする側になりたいという気持ちもわかりますが、自分の提案を正当化したいという気持ちは押さえた方がいいということを忘れないほうが良さそうですね。

Psychology Today

Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)