前回記事「サイボウズLiveで、コミュニケーションをライブさせる方法(前篇)」ではサイボウズLiveで、どのような使い方ができるかを紹介していただきましたが、後半ではもっと具体的に使う上でのコツに迫っていきたいと思います!

サイボウズLiveの「中の人」、ソーシャルコミュニケーション部の部長・大槻幸夫さんと長山悦子さんのお話は以下から!

 

編集部:ところで、お二人がサイボウズLiveで新たなプロジェクトを管理するとき、管理人としていつもどんなことから始めていますか?

大槻:グループを作成して最初に始めるのが、プロジェクトのゴールに沿ったトピックを用意することです。今回編集部さんで実施した、3周年イベントであれば「イベントスケジュール」や「講座記事進行管理」などになるでしょうか。こうすると、メンバーにも議論すべき内容を整理して伝えられますし、進行管理もしやすくなります。

管理者の大事な役割は、議論すべきトピックの切り分けです。さきに立てたトピックの中で、議論が煮詰まってきたら、別のトピックに切り分けます。例えば「イベントスケジュール」であれば、イベント当日が近づいてくると「イベント前日までのスケジュール」と「イベント当日のスケジュール」に分けて、後者をより細かくする必要がでてきますよね。

私の場合、「連絡」「雑談」「スケジュール関連」「企画検討」「MTG日程調整」の5つを最初に立てることが多いですね

長山:逆に、私が担当するプロジェクトで話し合うテーマは「今後このプロジェクトでどんな活動をするか?」というような、ゴールが明確でない場合がけっこう多いです。そうすると、大槻のようにあらかじめ複数のトピックを立てておくのは難しいため、とりあえず本題用と雑談用の2つだけトピックを作っておきます。メンバーには雑談用のトピックでどんどん気軽にコミュニケーションしてもらって、そこからアイデアにつながるものがあれば、トピックを新たに立てるという使い方をするようにしています。グループの中に気軽に書き込みができるトピックを1つは用意しておくこと。これは、どんなプロジェクトでも大切です。

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大槻:雑談トピックの役割は、「どこに書き込むべき話題かわからない」、「こんなことを書いていいのだろうか」とメンバーが思った時に、とりあえず書き込める場所という感じでしょうか。「書き込むのは、このプロジェクトに関連することだけ!」といった堅い雰囲気にするより、ある程度何でも気軽に書ける場所や雰囲気づくりも、管理人の仕事の1つですね。そんなテクニックの1つが、「ツッコミを入れられるような隙を残しておく」こと。真面目なやりとりばかりでは息が詰まってしまいますからね。雑談トピックのなかで自分のキャラにあった「ネタ」を投稿することで人となりが伝わり、やりとりがスムーズになります。これは対面での会話と同じですね。

編集部:なるほど、トピックの立て方には大きく2つあるということですね。

大槻:自分の使い方はトップダウン的で、長山の場合はボトムアップ的といえますね。

プロジェクトのリーダーが進行役として全体を引っぱり、かつ運営のコントロールも兼ねる場合には、先ほどの使い方でいうと、私が紹介したトップダウン的な使い方が向いています。従来のプロジェクト管理ツールは、このトップダウン的な使い方を念頭に設計しているケースが多いので、他のプロジェクト管理ツールを使ったことがあるユーザーにも向いていると言えるでしょう。

一方、コラボレーションツールであるサイボウズLiveの場合はボトムアップ的な使い方もできます。むしろ、日本のワークスタイルではボトムアップ的にはじめるほうが浸透しやすいかもしれません。

編集部:ボトムアップ的な使い方ができれば、ITが苦手な上司がリーダーであっても管理進行はしなくてもいいので、現場本位で作業を進めていくことができそうですね。トップダウンタイプ=大槻式、ボトムアップタイプ=長山式と名付けてしまいましょう。

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大槻:そのあたりは、プロジェクトのスタイルやリーダーの性格なども考慮して、それぞれのやり方を選ぶといいのではないでしょうか。たとえば、ボトムアップ的な使い方でスタートして、新しいプロジェクトが生まれたら、トップダウン的なやり方に移行するというのもありだと思います。いずれの方法でも、状況に合わせて柔軟な使い方ができるのが、サイボウズLiveの特徴です。

長山:トピックを盛り上げるにはもう1つコツがあります。たくさん書き込みをしてもらおうと、誰でもいいから参加してもらうと、かえって話題が盛り上がらない場合があります。書き込みの数が増えることよりも、興味のある、コメントがつけやすい話題をどれだけ提供できるかが盛り上げる鍵になります。ですから、最初からたくさんの人を招待するのではなく、積極的に書き込んでくれそうな人や話が通じやすそうな人をまとめて招待するという方法もあります。

また、最初から関係者全員でサイボウズLiveを使うのではなく、既存のMLやSNSサービスなど、「間口が広くて敷居も低いところ」でまず話題を提供して、盛り上がってきたらプロジェクト進行の中心になりそうな人だけをサイボウズLiveの特徴に招待して、話の密度を高めてもらうのです。私の場合は実際にそういう使い方をしています。

いずれにしても、招待する目的を明確にするほうが協力してもらいやすくなりますので、サイボウズLiveではグループの目的を記載する場所がありますから、そこはしっかり書いておくほうがいいですね。

編集部:もっと具体的にサイボウズLiveを使うのに向いている業種や働き方などはありますか?

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長山:前篇でご紹介したような、多様なバックグラウンドの人たちが集まってプロジェクトを進める必要があるNPOやボランティア団体の活動などに向いていますね。

大槻:ビジネスでも、クライアントに加えて、フリーのデザイナーやライターとチームを組んでプロジェクトを進行する場合など、作業ごとに細かなやりとりを繰り返す必要があるケースでは、作業の効率をアップできて、お互いにメリットを感じてもらいやすいですね。実際に耳にした例で、Webデザイン会社とのやりとりで図版をたくさん作らなければならない場合、「添付という形ではなくコメントの中にそのまま画像をインラインで表示できるのが便利」というご意見を伺ったことがあります。

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また、ビジネス以外でも、個人的な立場で関わっているイベント運営や研究会で連絡用に使ってもらっている事例がありますが、こうした集まりでは協議するトピックが多く、WordやExcle、PowerPoint、PDFなどのファイルを共有する必要もあります。会社組織からは独立したチームの運営には、無料で使える点も含めて、特に便利だと思います。


編集部:現場が使いたくても上司がデジタルアレルギーで難しい場合に、何か説得する方法はありますでしょうか?

大槻:サイボウズLiveはメールよりも管理しやすいし、目を通したら「いいね!」をクリックするだけなので、だいたいの場合はこの手軽さを気に入ってもらい、導入していただけます。

また、コメントはこまめにしなくても大丈夫で、普段は「いいね!」ボタンをチェックの印にして、たまにコメントを入れるようにするといい、と説明すると、抵抗感も減らせます。「とにかくこのトピックだけ目を通していれば、社内の話題に乗り遅れない」という流れができれば、上司はもちろん、社内での利用率も上がってくると思います。

長山:グループウェアは動機が弱いと使い続けられなくなりますから、何よりも使う目的を明確にした上で導入することが大切です。チームとの距離が近くなる、コミュニケーションが活性化するといったメリットを実感してもらえるツールだと、使われやすくなり、使用頻度が上がるとさらに便利になるという好循環が生まれます。

編集部:サイボウズLiveはPCとスマートフォン、携帯電話からの閲覧にも専用サイトで対応していますが、スマートフォンのアプリ対応はいかがでしょうか?

大槻:iPhoneは先日、専用アプリをリリースしました。Android端末への対応も予定しています

また、APIも公開しています。このAPIを利用して、iPhoneアプリを開発されているユーザーさんもいらっしゃいます。様々な端末から快適に使えるように、といった点はニーズとして実感しており、今後も対応を強化していく予定です。機能については、最低限に抑えつつも必要なものは随時追加していきます。他にも要望があればできるだけ検討したいと考えています。

長山:まずは無料版を実際に使っていただいて、その感想をぜひ私たちにお聞かせください。どのような使い方があるかというアイデアもお寄せいただけるとうれしいですね。


使用歴1ヶ月半程度の編集部では語り尽くせないところまで、サイボウズLiveの使い方を伺えたように思いました。

「タスクを共有して、共同してこなしていく」というだけではなく、コミュニケーションの整理を共同作業化する、そして、目的を共有できる相手と一緒に使うことで、目的を達成するスピードや効率を上げる、そのためのツールがサイボウズLiveなのだと言えるでしょう。

チームでのタスク管理とコミュニケーションに行き詰まりを感じている人には、サイボウズLiveをお薦めしたいですね。

(野々下裕子)