人間の自制心に限界があるということは、言われなくともみなさんご存知だと思います。相当の自制心が試されるような状態において、人間はどのようになってしまうのでしょうか?消費者行動の雑誌「The Journal of Consumer Behavior」によると、そのような状態では、ヒトは攻撃的になりやすいのだそうです。
とある実験で、何かしら抑圧した被験者の行動を、怒りと怒りではないの2つに分類しました。すると、抑圧された被験者のほとんどが怒りっぽくなったことが分かりました。
研究によって、自制のタイプは被験者のその後の行動によって分類されることが分かりました。
例えば、商品券を使わないようにしてくださいと言われている被験者は、恐怖におびえた表情よりも、怒りの表情を見たがりました。食事制限をされた人は「刑務所から脱走する犯罪者が増えたら、警察の訓練のために資金が増えないかもしれない」というような脅威をあおる公共サービスの広告を好みました。チョコの代わりにリンゴを与えられた被験者は「〜するべきだ」とか「〜しなければならない」というような、抑圧的な言葉が使われた広告を見ると、よりイライラしました。また、映画でも戦争ものや対決ものを見たがる傾向にありました。
今度ダイエットしたり、節約したり、悪い習慣をやめようとしたり、自分の行動を何かしら制限する時には、自分の不満がどれくらい溜まっているかを必ず気にするようにしてください。行動を急に改めようとすると、かなり欲求不満になりやすいです。
そのような時に怒りっぽくならないようにするには、我慢しなければならないことはできるだけ少しずつにして、それに慣れるために何か新しいものを足してみてください。このことに気付かずに、我慢しなければならないことをやり過ぎてしまうと、欲求不満が限界に達して、すぐに止めてしまいます。
欲求不満と付き合いながら自分を変えていくためには、変化が(最初は)心地良いものではないということを、頭で理解しながら続けるしかありません。急にダイエットしたり、節約したり、禁煙したり、自分が心地良くないことをするのは、ある意味そういう変化は心地良くないものだと気付くいい機会でもあります。急いで直そうと思っても、悪癖は直らないと思った方がいいです。本当に直したい悪癖があるなら、それは一生かけて直すくらいの気持ちで、気長に時間を掛けて直していきましょう。 Photo by Lara604.Self-Constraint Leads Us to Prefer Aggression | Scientific American
Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)