正月は、ビックカメラの初売りでデジカメ購入に1時間悩んだあげく、買わずに帰ってしまったFP山崎(@yam_syun)です。機能と価格には納得がいったし、予算もあるのですが、自分にとって今本当に必要かを考え始めたら本日は保留、という結論になりました。これもまた「ムダづかいしないコツ」でしょうか。

さて、お金と人生の幸せの話です。私は「お金と幸せを考えるFP」というサブキャッチがあるのですが、こういう話をするとどうも宗教っぽくなってしまうのが困りものです。「幸せ」とつくと、どうしてもうさんくさくなってしまいます。

しかし、お金が幸せと関連するテーマであることは間違いありませんし、これを抜きにして考えることはできません。2011年最初のコラムは、「お金と幸せの関係」について少し述べてみたいと思います。

 ■「お金=幸せ」ではないことは確かだが話を混ぜないこと

お金と幸せの話をすると、よく「お金があっても幸せになるとは限らない」、「お金で幸せを買うのか」という感情論になりがちです。まあ、ちょっと落ち着いて。お金と幸せの話が次元の違う話であることは確かです。ですから、単純にイコールになる話ではありません。

まず、お金がたくさんあれば幸せが手に入る、と言い切れるほど人生が簡単ではないのは確かです。幸せには個人的な要素が強く影響します。お金をたくさんかけて幸せになることもあれば、お金をかけずに幸せになることもあるのです。

例えば、毎月10万円遊興費に使っても満足できないこともありますが、家族とただテレビを見ている日だまりの午後に、幸せを感じることもあります。5000円くらいのPSPのゲームにはまる200時間の楽しさは、時間単価でいえば25円で幸せを得ているということです(本体価格は除く)。

お金をかけた額に幸せは比例しません。「お金=幸せ」ではないのは真実だと思います。ただし、お金がたくさんあるほうが、経済的自由度は高まるという事実は認めておく必要があります。また、お金と幸せが全く無関係とはいえないはずです。

■「お金が足りない=不幸せ」とはいえる

それでは逆の角度から同じテーマを考えてみましょう。つまり、「お金が足りない=不幸せ」か? を考えてみたいと思います。何か欲しいものがあったり、お金を払う必要が生じたときに、お金が足りないことは苦痛だと思います。個人的なムダづかいであればガマンもできるでしょうし、差し替えもききそうです。しかし、「子どもの大学の入学金が払えない」というのはどうでしょう。子どもの夢を諦めさせることでもあり、辛い選択になるでしょう。あるいは「定年退職までに家一軒買えない」ということは、老後の生活に不安を残すことになり、ストレスになります

お金が足りない場合は、足りないなりに暮らしていくことが重要ですが、それでも限界はあります。自分自身が生きていくためのお金、自分自身が生きがいを感じるためのプラスアルファの予算、子育てや住宅取得、老後の資金準備などには、必ずお金を「貯め、増やし、借り、返す」といったやりくりが生じます

人生には、夢や希望を実現するために、お金が必要になることが何度かあります。そして、それは毎月の家計のやりくり以上の金額です。3000万円の住宅ローンは、総返済額でいえば4500万円の支払いですし、高校と大学の7年で約1000万円の学費を考えなければなりません。老後の生活の安定には、3000万円は準備したいところです。これは「毎月のやりくりで何とかする」レベルを超えています。

必要なお金(金額の多少はあるとしても)が必要な時に足りなければ、それは不幸せになる可能性を秘めていることは間違いないわけです。

■必要なお金を確保することが幸せの鍵になる

要するに、幸せとお金の問題を語るときのポイントは「お金の不足=不幸せ」と直結させたり、「お金が豊富=幸せ」と短絡させないこと(こういう脊髄反射的議論は思考停止と変わりがありません)。先ほど述べたとおり、「必要なお金が必要な時に不足する」と不幸せの可能性を招く、というのがポイントだと思います。

必要なお金の金額は人それぞれです。よって、金額の多少と幸せは一致しません。2000万円の家で幸せな人もいますし、1億円の家を欲しがる人もいます。どちらも同じ幸せでしょうが、金額はずいぶん違います。しかし、どちらにもいえることは、必要なときのために、必要な金額の準備をしておく必要があるということです。でないと、金額の大小にかかわらず不幸せ、ということになってしまいます。

自分が準備できる(あるいは借りても返済できる)金額をみきわめ、そこに自分の幸福感が感じられるようになれば、どんな所得でも幸せを得られる可能性があります

自分の幸せはどういうものであり、自分の幸せの確保のためにどれくらいお金がかかるかは、自分次第です(私は所得の8割くらいのところに、幸せを見いだせれば適切だろうと思いますが、それは皆さんが考えるところです)。

1月はこういったテーマをじっくり考えてもいいタイミングです。仕事の手を休めて、あるいは週末に家族と、少し考えてみてはいかがでしょうか?

(山崎俊輔)