こんにちは。家計再生コンサルタントの横山光昭です。
皆さんは10年後、どのように暮らしているでしょうか。ライフスタイルも変わり、お金の使い方も変わっているのではないかと思います。
家計を維持するために一番大切なことは、どのライフステージにいても、自分たちは今、どのようなこと、モノにいくら支出しているのかを把握すること。その上で、今何ができるのかを考えることです。大事な視点は、生命保険、住宅ローン、教育費、貯金、節約の5つです。今回は、10年後も健全かつ安定した暮らしができるために、1人暮らし、夫婦2人、子どものいる家庭の3パターンで考えてみましょう。
横山光昭(よこやま・みつあき)

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は55万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計270万部となる。また、お金の悩みが相談できる店舗を展開するmirai talk株式会社の取締役共同代表も務める。
単身者世帯の10年後に向けた備え

現在も10年後もずっと1人暮らしかなという場合、お金の使いすぎへの注意や準備などを怠らないように気を付けたいものです。
生命保険:自分に万が一のことがあっても生活費に困るような家族がいない場合、死亡保障は考えなくてもよいでしょう。その代わり、病気やけがで働けず、収入がなくなってしまうようなことがあれば死活問題。会社から傷病手当金や休業の保障など何が得られるのかを確認した上で、必要な保障を保険でまかないましょう。医療保険は医療費だけではなく、病中病後の生活費として考えることもできます。
住宅ローン:単身で暮らすと決まった場合は、終の棲家の購入を検討してもよいでしょう。ただし、ローンで生活が困窮しないよう、貯蓄も可能な返済額に設定しましょう。
教育費:自己投資をして、将来の収入をアップさせることを考えてもよいでしょう。毎月のやりくりの中から、少しずつねん出してトライしてください。毎月の収入の25%を貯蓄と自己投資に分配することが理想です。
貯金:将来に向けた貯蓄は必要です。まだ先かもしれませんが、老後も視野に入れ、コツコツ積み立てて資金をつくっておきましょう。特に出し入れが自由な資金をつくっておくと、予定外の結婚や子どもが生まれるというときの資金などに流動的に使えるので便利です。貯蓄が安定したら、さらなる将来に向け、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して、節税しながら老後資金をつくることも1つの方法です。
節約:収入は自分の好きなように使うことができますが、膨らんだ支出が習慣化しないよう気を付けましょう。支出を増やすことは簡単ですが、減らすことは大変です。年を重ねるにつれ、収入が増えていくことが多いですが、逆に減る場合もあります。どういう状況にも対応できるように備えておくことも大切です。
夫婦2人世帯の10年後に向けた備え

夫婦2人の場合、一緒に暮らす人がいる分、単身者よりも気を遣うことも増えそうです。でも、共働きが多い今、必要な保障などは1人暮らしと変わらないことが多いものです。
生命保険:配偶者が専業主婦であれば、万が一の時に備えた生活の保障が必要です。遺族年金の受給額などを検討した上で、必要保証額を考えていきましょう。共働きの場合は、お互いに収入が得られるという点から、単身者と同様に医療保障中心に検討することで十分です。
住宅ローン:終の棲家として検討されることも多いと思いますが、まずはお子さんをもうける予定かどうかを検討してからにしましょう。家族の人数が変わると、生活設計の仕方が変わります。その時に後悔するようになっては遅いものです。
また、共働きの場合はペアローンを検討する場合も予想されます。ローンを2つ借りることになるので、借入可能額は増えますが、手数料が2倍になります。一方が仕事を辞めてしまうと返済がきつくなることもあるので、計画をよく立ててから利用するようにしましょう。頭金の目安は、できれば購入価格の2割を。
教育費:将来に向けての自己投資として、予算を割り当てても良いでしょう。単身者同様、収入の25%を貯蓄と自己投資にして、夫婦がいきいきと過ごせるために使ってほしいものです。
貯金:今後の生活プランにより必要額が異なります。10年以内に子どもを産む予定であれば、子育ても見越した貯蓄が必要です。また、一生2人で暮らすとなっても、老後資金を視野に入れ、貯蓄しなくてはいけません。生活防衛資金としての貯蓄以外にも、老後資金にはiDeCo、ほかの資金はつみたてNISAなど役割を分けて利用してもよいと思います。
節約:2人暮らしだと、つい外食費を多くかけてしまったり、個人支出を多く使いがちです。10年後の暮らし方は保障されていないので、節約を心がけ、収入を得る人が1人になっても安心して暮らすことができる準備をしておきましょう。
10年後に子どもが成人する世帯の備え

子どもが独り立ちするまでは、教育費がかかって大変です。ただ、人生の一番楽しい時期であるかもしれません。楽しみにお金を使いつつ、将来に向けしっかりとお金の準備をしておけることが理想です。
生命保険:子どもの養育が必要な時は、万が一の事態に備え、残された家族の生活が補填できるように、社会保障と合わせて必要保障額を検討しましょう。また、病気やケガにかかる医療費や休業時の生活費の必要額も併せて考える必要があります。子どもの成人が近づいてきたら、少しずつ保障を下げることを検討してもよいでしょう。子どもが独り立ちすると、保障すべき家族は減るので、過剰な保障は必要なくなります。
住宅ローン:子どもの成長と住宅の購入を考える時期は重なります。生活のスタイルが固まったら、資金を考慮しつつ購入を考えてもよいでしょう。住宅を所有していると、老後の毎月の住居費負担は少なく済む可能性があります。ただ、退職金で一括返済するようなプランでローンを組んではいけません。老後の生活資金が不足してしまうことにもなりかねないからです。
教育費:子育てには必要ですが、後々お金のかけすぎを後悔しないよう、使い方はバランスを見ていきましょう。使いすぎると、老後資金不足になります。
貯金:毎月の収入の中で支出を収め、コツコツと蓄えてください。目安は月の手取り額の7.5カ月分。仕事を失ってしまったときなどの生活防衛資金です。併せて老後資金も視野に入れ、積み立てていきます。この場合は、iDeCoなどの利用がよいでしょう。貯蓄と投資を並走させると資金をつくりやすくなります。
節約:なにかとお金がかかる時期を経て、夫婦2人での暮らしになっていきます。夫婦2人でも子育て時期と同じくらいの生活費にならないように縮小していくように意識しましょう。後の年金生活に入るときに生活費が少なくなっていると、貯蓄から補填する金額が少なく暮らせるので安心です。固定費の削減を図り、まずは、いつもと同じ暮らし方で支出を下げる工夫をしましょう。水道光熱費を節約するグッズの利用や、格安スマホへの変更などもよい方法です。
以上、家族構成別に10年後に向けて備えておきたい家計のポイントをお伝えしました。将来のことは誰にもわかりません。だからこそ、きちんと備えておきたいですね。
Image: Leigh Prather , Lorelyn Medina(1 , 2) , studiolaut/Shutterstock.com