ただスライドを見せ続けるのではなく、聞いている人たちの疑問に答えるプレゼンをおこなうにはどうすればよいのでしょうか? 作家のジョエイ・アッシャーさんが、聴衆の疑問に答える、効果的なプレゼンの方法を教えてくれました。
多くのプレゼンは分かりにくいプレゼンです。聞いていると「つまり言いたいことは?」「そんなこと自分に関係あるの?」「なんでこんなに複雑な話なの?」「こんなにたくさんスライドを見ないといけないの?」と思うようなプレゼンばかり...。
プレゼンは複雑である必要はありません。聴衆みんなの求めることにこたえるプレゼンを作る方法は、とてもシンプル。パワーポイントのスライドは全く必要ありません。以下の方法は、「3Qメソッド」(3つの質問メソッド)と呼ばれるものです。この方法が有効なのは、聴衆の気になるポイントの疑問に答えるプレゼンができるから。必要なのは、1つのフリップチャートだけです!
■まずは、聴衆が何を知りたいか、考えましょう

「聴衆が自分に聞きたいことはなにか?」考えてみましょう。多くのプレゼンが失敗するのは、聴衆が聞きたいことを話していないからです。3Qメソッドでは、聴衆の持つ3つの疑問について話すようにします。
次にプレゼンを作ります。コンピュータを起動させてパワーポイントを開いてはいけません。代わりに白い紙を用意し「聴衆が自分に聞くであろう3つの質問はなんだろう?」と考えます。
ここで出てきた3つの質問が、プレゼンの軸になります。
■3Qのあるプレゼンをおこないましょう
まずテーマを手短に話します。数文にとどめておきましょう。PTA会長として、学校の改築のために寄付を呼びかける場合を例にすると、以下のようになります。
「みなさん、学校の改築が必要ということには賛同していただけると思います。今日は、子どもたちにとって素晴しい学校にするために、どうやってお金を集めるかの計画について、お話します。」
テーマを話したあとに、3つの質問を紹介します。上のケースでは、下記のような質問をすると良いです。
- 1番良くする必要があるのはどこか?
- いくらお金を集める必要があるか?
- どうやってお金を集めるか?
質問を言いながらフリップチャートに書きます。こうすると、聴衆がプレゼンについていきやすくなります。
その後、3つの質問に答えていきます。
プレゼンでは、疑問に最大限、または最低限必要だと思う内容で、質問に答えてください。1つの質問が終わって次に移る時、質問をもう一度言うのを忘れずに。言い過ぎに感じるかもしれませんが、気にしないでください。重要なのは分かりやすさなのです。
質問への答え方でベストの方法は、最初に1、2文で簡単に答えを述べ、その後に、内容を広げていきます。
「では、1つ目の質問にお答えしましょう。一番良くする必要があるのはどこか? 一番必要な場所は、運動場です。あの運動場は見せるのが恥ずかしいような場所で、子どもたちが望むような運動体験のできない場所です。観覧席、新しいスコアボード、ロッカールームが必要でしょう。」
といった具合です。
最後に、聴衆から質問を受け付けましょう。ここで聴衆は、自分が一番聞きたかった細かい質問ができます。
素晴しいプレゼンのためには、たくさんスライドが必要なわけではありません。必要なのは、聴衆の質問にシンプルかつ、分かりやすく答えることです。
なお、この記事は『15 Minutes Including Q&A: A Plan to Save the World from Lousy Presentations』という本から抜粋しました。この本の中で、ジョエイ・アッシャー氏は短く、説得力のあるメッセージを聴衆に届けるプレゼンの作り方について、詳しく書いています。
Joey Asher(原文/訳:阿久津美穂)