美味しいお酒や食事、甘~いスイーツ、くだらないけど面白いテレビ番組、バーチャルな世界では、Twitter・Facebook・メールなどなど...オン・オフ問わず、現代は誘惑で溢れていますね。

わかっちゃいるけど止められない」という現実に、「オレって(私って)意思弱いよな~」と落ち込むことはありませんか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」では、このテーマについて採りあげています。

「意思が弱い」とか「我慢が足りない」と揶揄されがちな現代人ですが、この記事によると、実は、親や祖父母の世代と、自制心は何ら変わりはないそう。ただ、より多くの誘惑に晒されているのは事実。たとえばコンビニに行けば、24時間いつでも様々な品物を買えますし、必要なら、お金の引き出しさえできますよね。これは、親や祖父母の時代にはなかったことです。

 自制心は、使いすぎると尽きてしまうもの。チョコチップクッキーとラディッシュの実験からも、それはわかります。

「クッキーを食べちゃだめ」と指示され、そのとおりに誘惑を抑えた学生たちは、その後、難解な図形パズルへの挑戦を命じられるものの、すぐ解くことをあきらめてしまったそう。同様に、「笑っちゃダメ」と指示されてコメディ映画を見た後、別のタスクをやろうとすると、自由に笑うことが許されているケースに比べて、パフォーマンスが低くなることが明らかになっています。また、ストレスを強く感じる日は、エクセサイズをするよりも、テレビを観て過ごすことが多い、という研究結果もあるそうです。

もちろん、それぞれの性格によって、自制心が高い人、そうでない人はいるでしょうが、総じて、ある誘惑やタスクに自制心を使うと、他のタスクの遂行に必要な自制心を奮いたたすことは難しいようです。

とはいえ、この有限な自制心をうまく使いこなすことで、より多くの誘惑をクリアできます。最近の研究によると、仕事や義務ではなく、「楽しい」と感じると自制心が高まる傾向があるとか。一方で、単に「べき」論で自分を説得しようとしても、あまり効果はないそうです。

また、「これはダメ」とか「こうするべき」といったように、イチかゼロかを自分に課すよりも、代替となる選択肢を自分に与えることが効果的。たとえば、「デザートは一切NG」とするのではなく、「スイーツメニューを選ぶ代わりに、コーヒーをオーダーしよう」とするのです。お菓子の食べすぎが気になっていて「間食は絶対しない!」と心に誓うよりは、効果的に間食を摂る方法を採り入れるほうが、自制心の「無駄遣い防止」になりそうですね。

ライフハッカーアーカイブ記事「『なぜ自分をチェンジさせるのは難しいのか?』を心理学から分析してみた」でも触れたとおり、悪習慣からなかなか抜け出せないとか、自分をなかなか変えられないのは、意思の弱さや怠惰が原因ではなく、自分の「自制心」を効率的に使えていないからかもしれません

この記事を参考に、お金や時間と同様、自制心も「何にどれだけ充てるのか?」を戦略的に考え、実行するというアプローチも、ぜひご検討くださいね。

Pumping Up the Self-Control in the Age of Temptations [NYT]

Adam Pash(原文/訳:松岡由希子)