米紙「ニューヨークタイムズ」では、いくつかの研究結果をもとに、ランニング前のストレッチの是非について、採りあげています。
米国陸上競技連盟(USA Track and Field)のある研究では、13~60歳の1,400名を対象に比較実験を実施。被験者を2グループに分け、片方のグループはストレッチなしで、残りのグループは、スタティックストレッチ(Static Stretch)で、ふくらはぎや大腿二頭筋・大腿四頭筋などを伸ばす運動をして、それぞれ3ヶ月間、ランニングをさせました。すると、ストレッチしなかったグループも、ストレッチをしたグループも、それぞれ16%が怪我をし、1週間程度、ランニングを休んだとか。この結果から、ストレッチは怪我の予防にならないが、怪我を引き起こすものでもない、という結論が導き出されたそうです。
本当に、ストレッチは害も益もないものなのでしょうか?
多くの研究結果では、運動前のスタティックストレッチは、怪我の予防につながらないのみならず、パフォーマンスを妨げる可能性がある、と指摘されています。過去のある実験では、スタティックストレッチをすると、ストレッチをしない場合に比べて、ジャンプが低くなるという結果もあるそうです。一方で、ランニングで起こりがちな、筋肉などへの酷使による怪我の防止には、多少なりとも効果がある、という報告もあります。
では、すでに運動前のストレッチを習慣にしている人は、どうすればよいのでしょう?
米国陸上競技連盟の研究によると、運動前のストレッチを習慣にしていた人が、急にストレッチを止めると、怪我する割合が高くなったとか。従来のルーチンに体が順応しているので、その流れを急に崩すと、怪我につながりやすいそうです。つまり、ストレッチ自体はやったところで大きな害はないので、これまで習慣にしてきた人は、ストレッチを継続したほうがよいようです。
このほか、怪我を防ぐランニング術としては、「歩きを挟む」とか「ハダシで走る」といったものもありますよ。自分の体とうまく付き合いながら、ランニングを無理せず楽しみましょう。
Phys Ed: Does Stretching Before Running Prevent Injuries?
[NYTimes.com]Kevin Purdy(原文/訳:松岡由希子)