パソコンの何かがおかしい時、実際の問題が何なのかを、正確に突き止めるのは至難の業です。頻繁にクラッシュしたり、意味不明なエラーが繰り返し発生したりという状況は、誰でも避けて通りたいもの。ソフトウェアの問題、ということもありますが、ハードウェアの問題という場合も多くあります。今回は問題がハードウェアの場合に焦点を当て、ハードウェアのストレステストを行うことによって、ハードウェアの問題を予防する方法を、ご紹介します。

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ハードウェアが、原因のクラッシュやフリーズなどを起こさない、安定したPCが嫌いだという人は、おそらくいないかと思います。そして、パソコンを安定させることを目的としたアプリケーションは、ネット上にあふれんばかり。極限状態までのハードウェアストレステストを行うことにより、PCが問題なく、安定した状態を維持できるようになります。

今回取り上げているアプリは、長時間に渡って使用すると、より効力を発揮するアプリばかりです。数時間、または一晩単位での使用をお勧めします。グラフィックカードやCPUのテストは、数分のみ行っても、正確なデータは取れません。あいまいな問題や、負荷関連の問題を診断しようとする場合は、特にそうです。なので、空いた時間にちょっと、というのではなく、ある日の午後を全部、または一晩費やして、問題の解決を図ってみてください。

 

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まず最初に『HWMonitor』などの、ユティリティをダウンロードします。これは、全PCコンポーネントのコアや、外部の温度センサーを正確に測定してくれるツールです。『SpeedFan』、または、類似ツールと併せて使うと、温度やファンスピードなどを監視できます。システムの安定性を測定する場合には、これらの情報は重要となってきます。

■CPUストレステスト

PC 内の他のコンポーネントとは異なり、CPU問題は発見するのが難しい場合があります。メールの確認などは問題なくできるのに、少し重たい作業になると、システムがへばってしまうという状態も、よくある話です。安定したCPUは、エラーやシステムクラッシュなしで、正確な計算ができなくてはなりません

これをテストするには、通常『Prime95』というサディスティックなテストが用いられます。このアプリは、もともと計算能力を総動員して、新しい素数を発見するのを目的としており、研究者用に作成されたものです。このプログラムは、CPUとRAMを極限状態まで酷使するので、最適なテストツールとして今は使われています。今回は、まさにその目的のためにこのツールを使用します。

Prime95には、主に3つのテストオプションがあり、 それぞれマシンの異なる部位に負荷をかけていきます。スモールFFTは、基本的なRAMテストと、かなりの負荷のCPUストレスのテストです。インプレイスラージFFTは、RAMテストのスコープを増加させ、CPUの最高温度まで負荷をかけていき、パワー消費を促します。また、その二つの中間のテスト、ブレンドテストは包括的なRAMおよび、CPUテストを同時に行います。ほとんどの場合、特に一晩かけてテストする場合、インプレイスラージFFTを行うのが、最も効果的です。エラーなしでシステムが作動した場合、CPUはかなり安定していると言えます。

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しかも、以前のバージョンからアップデートされ、Prime9は全てのコアのテストに対応。ただし、Advanced Menuにある「Round off checking」を有効にするのを、忘れないでください。有効になっていない場合、計算エラーがレポートされず、問題が起きたかどうかを知る唯一の手がかりが、BSODまたはクラッシュとなってしまいます。

もうひとつの頼りになるオプションは、さらに最近の『IntelBurnTest』アプリケーション。インテル社独自のCPUテストユティリティをベースにしたこのツールは、CPU、Northbridge、その他のPCコンポーネントに、極限の負荷をかけます。しかも、かなりスピーディーにこの作業を行います。ですが、これはインテルのみのツールなので、AMDユーザはPrime95、または『OCCT』などを使ってください。

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CPU ロジックのストレステストは、Prime95もかなり優秀ですが、IntelBurnTestは別格なので、CPUはすぐにヒートアップしてしまいます。テストに使用したMacBook Proが、一瞬にして100度を超える熱さになったので、ラップトップのテストを行う方は、十分に注意してください!

■RAMテスト

問題が発生した際に、診断が難しいもうひとつのコンポーネントがRAMです。深刻な問題が起こっている場合、その問題識別には『Memtest86+』というツールを使用します。今のところ、これがメモリ診断のベストツール。ランダムな書込、データの移動などのテストを行い、RAMベースのエラーを検出します

Memtest86+は、USBスティック、またはCD-ROM、または昔懐かしいフロッピーディスクから起動させるのがベストです。WindowsやLinux内から走らせられる、Memtest86+のビルドもありますが、正確な結果が出ない場合があります。

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合計9つのテストが用意されていて、リストの下に進むほどスコープが広がります。最初のテストは、明らかな問題を見つけるのに最適で、新しいPCを組んだ場合や、新しく追加したRAMをテストする場合などに重宝します。ですが、一見分かりづらい問題、例えばレベル5のテストでは、実行時間とエラー検出のバランスをチェックします。

正確な診断結果を得るには、Memtest86+の最初のいくつかのテストを、少なくとも一度は行うことが奨励されています。開発者によると「ひどく難解なエラー以外は、これで検出されるはず」とのこと。より包括的な結果を得たい場合は、一度ではなく夜通しテストを行い、朝になった時点で、まだアプリケーションが実行されているかどうかを確認してください。

■GPUストレステスト

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他のPCコンポーネントと比較すると、グラフィック関連の問題は目に見えるので、発見しやすいかと思います。

GPUストレステストには、以前であれば『ATITool』がお勧めツールだったのですが、現在では『FurMark』というアプリがお勧めです。その名の通り、FurMarkは、かなりキメの細かい毛皮を、動いているものの上にリアルタイムで表示させ、システムのグラフィックカードに負荷をかけていきます。すぐにグラフィックカードの限界に達するので、グリッチ問題、熱問題などが起こる可能性があるかどうかを、判断できます

他にお勧めなのが、DirectXベースのツール『rthdrbil』です。FurMarkとは違い、このアプリは、複雑なHDRライト、および反射をリアルタイムでレンダリングすることによって、グラフィックカードに負荷をかけていきます。この画面を見ているだけでも、なかなか凄いですが、システムのグラフィックカードがギブアップするまで、さほど時間はかからないはずです。

またグラフィックカードのテストならば、実際にゲームをやってみるのが一番の方法。例えば『S.T.A.L.K.E.R』シリーズは、グラフィック関連の問題を常に抱えていることで有名です。ウェブサイトに、ベンチマークテストツールが提供されているので、それを使ってみるのもひとつの手ですが、やはりFurMarkやrthdrbilを、主なテストアプリとして使うのがお勧めです。

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PCコンポーネントに問題が見つかった場合は、製造者に連絡をしてみて下さい。購入したばかりのCPUやグラフィックカードであれば、問題点が確認できるので、返品・交換してくれるはずです。

今回はストレステストによく使われる、定番アプリをいくつかかいつまんで紹介してみましたが、他にもお勧めツールなどがあれば、ぜひコメントで教えてください!

How To Stress Test Your Hardware and Keep Your PC Stable [Tested]

Matt Braga (原文/訳:まいるす・ゑびす)