「意志が弱くて...」、「根性が無くて」、「やる気が出なくて...」と、お悩みの方も多いと思います。なにを隠そう私もその一人。

自分の好きなことは、いいこと悪いこと問わず続くのですが、英会話とか禁煙とかそういうものは、もう年中行事のように、決意してはやめの繰り返しです。

「自分の意志が弱いからかなあ」なんて思ってましたが、この本を読んだら自分の意志や根性のせいじゃなくて、続く仕組みや技術を分かってないからだと気づきましたよ!

その秘密は、アメリカ発の科学的マネジメントの『行動科学』にあります。科学ですから、実現再現性と検証性があります

行動科学マネジメントには「MORSの法則」と呼ばれる「行動」の定義があります。

M (Measured) 計測できること
O (Obserable) 観察できること
R (Reliable) 信頼できること
S (Specific) 明確化されていること

この4つを備えているものを「行動」と呼ぶんですね。そして、この行動に焦点を当てることにより、続けたいものを続け、やめたいものを減らし、最終的にはやめることが可能になります

続きます。

 本書では、物事が続かない理由をたった二つとしています。

1. やり方がわからないから
2. やり方はわかるけど、「継続の仕方」がわからないから

1の「やり方」については、多くのhowto書や講座などがありますから、問題となることは少ないでしょう。問題は2番目の「継続の仕方」の方ですね。こちらの方は、ちょっとよくわからないですね。

本書では、これを「不足している行動を増やしたい」、「過剰な行動を減らしたい」の二つに分類し、それぞれ継続する方法を行動科学の観点から解説しています

印象的なのは「結果」に焦点を合わせずに、あくまで「行動」に焦点を当てていること。営業マンを例に出せば、営業の結果に焦点を合わせずに、営業の電話の数や訪問件数に焦点を当てます。

ビジネスですから、結果が全てで、売り上げなどで回りも自分も評価してしまいがちですが、相手次第で結果が出るときもあれば、そうでないときもあるでしょう。人間が相手ですから。頑張っているのに結果が出なくて腐ってしまって、投げやりになってしまっては、元も子もありません。しかし、行動に焦点を合わせてれば、一定のペースで頑張っていれば、淡々と続けることができます。

ダイエットにしても、思うように体重が減るときもあれば、そうでないときもあるでしょう。でも、思うように結果が出ないから挫折するよりは、行動に焦点を合わせて淡々と「やるべき事はやっている」と自分に言い聞かせ、長期的に取り組むと、長い目で見ると結果もついてきそうです。

あと意外だったのは、懐かしの小学生の頃にやった、ラジオ体操のスタンプのような、行動を達成したら貼るシールなどが、行動科学的には非常に有効だということ。あのスタンプにそんな高度な秘密があったとは...。人間なんて、案外その程度の単純なものなのかもしれませんね。

また、行動科学の観点から使わない方がよい言葉も載っています

・モチベーションを上げろ!
・常識で考えればわかる!
・やる気を出せ!
・真面目にやれ!
・もっと元気を出せ!

職場や学校などで、言われたことがあるような言葉ばかりですが、どれも具体的な行動を指示していません。これでは、言われた方も困惑してしまいますよね。大体「モチベーションを上げろ!」って言われて、上がる人なんかいるわけ無いだろうにと思います。

望む結果を得たり、望ましい人生を送るには、まず行動を変えることです。行動科学の手法を使ったとしても、最初は大変だと思いますが、習慣になったらしめたものですね。

派手なピンク表紙ですが、奇をてらった内容ではなく、新書のサイズで行動科学の基本がまとまった良書と思います。著者の石田淳氏は、応用編とも言える、ビジネス・育児などの各分野での著書も多いので、本書で基本理論を理解して、なるほどと思ったら、応用編に進むといいですね。

良い行動は習慣として継続したいなあ。クラウドリーディングの連載は継続されるのかなあ。僕の行動次第かなあ。

(聖幸)