次から次へと注文を繰り返した挙句、「あー、食べすぎた~、飲みすぎた~」と反省しきりに、居酒屋を後にした経験はありませんか?こちらでは、店内で流れている音楽が、この食べすぎ飲みすぎに関係しているかもしれないというテーマを採り上げてみたいと思います。

米ウェブメディア「The Daily Beast」では、『In Pursuit of Silence: Listening for Meaning in a World of Noise』の著者George Prochnikさんが、音の大きさやテンポとヒトの食事との関係について述べています。

 1980年代半ば、米Fairfield Universityの研究チームは、「ヒトは、速いリズムのにぎやかな音楽を聴くと、噛む頻度が3分の1になる」ことを明らかにした。実際、Dick Clark's American Bandstand Grillといったレストランチェーンでは、音楽のテンポやボリュームを上げるコンピュータ音響システムが開発されているそう。

また、2008年にフランスで実施されたある研究では、72デシベルの音量だと、ヒトは1杯あたり14.51分かけて飲み、平均2.6杯を注文するが、この音量を88デシベルに上げると、1杯あたりの時間は11.47分に縮まり、平均3.5杯を消費することがわかった。この原因としては、音楽がうるさくて話づらく、バーテンダーが「お代わり、いかがですか?」と声がけしやすいという面もあるだろうし、その場全体に漂う雰囲気が、なんとなくエネルギッシュになっているという点も影響しているかもしれない。また、脳の化学反応で実際に変化が起きているとも考えられる。

Prochnikさんによると、レストランに限らず街全体が音であふれている現代社会は、音を通じて物理的な刺激を人々に与えているのだとか。音波はヒトを活発にし、ノイズによる刺激は他の行動を誘発させる効果があるようです。

飲みすぎ食べすぎで、メタボとお小遣いの浪費が気になる方は、レストラン・バー・居酒屋などのにぎやかな音楽を少し意識してみると、食や酒量を自制できるかもしれませんね。ノイズとヒトとの関係の詳細についてご興味のある方は『In Pursuit of Silence: Listening for Meaning in a World of Noise』(英語)をご一読ください。

How Restaurants Get You Drunk [The Daily Beast via Consumerist]

Adam Pash(原文/訳:松岡由希子)