タイトルの『22歳からの国語力』は、ちょっと面白いですね。

『社会人の国語力』でもなく、『就活生の国語力』でもなく、「22歳」としています。

この「22歳」はという年齢は著者によれば

  • 就活生である
  • 大学3年生である
  • 大学4年生である
  • 新社会人である
  • 社会人である

という同じ年齢でありながら様々な立場が混在している年齢です。

そういう意味で22歳は人生の岐路と言ってもいいほど、人生の中でも大事な時期ですね。そういえば、昔「22歳の別れ」なんて歌もありましたね。

その大事にな時期に重要なのが「国語力」。上のそれぞれの立場を考えても、就活では履歴書・エントリーシート、大学生ではレポート・卒論、新社会人では日報・議事録・企画書など今まで使った事がなかったような国語力が問われる場面が多々出てきます

本書では、国語力を「読む力」「書く力」「聴く力」「話す力」「編集力」に分けて指南しています。

続きます。

 元書籍のカリスマ編集者で現在は人材教育・執筆・出版エージェントの「言葉のプロ」「日本語のプロ」である著者。そんな著者が書いた本ですから、それぞれの項目は実践的で奥深いものですが、今回は「書く力」のごく一部をご紹介。

というのも、僕も「書く力」に関しては、強く自信があるわけでもなく、ついつい筆(キーボード)も止まってしまいがちだから。

ところが、本書の中に重要なヒントがありました。

●文章は背景整理が90%

文章を書くという行為は以下のサイクルに集約されます

  1. 情報を入れる(読む)
  2. 振り返る
  3. 思考を拡大する
  4. 背景を整理する
  5. キーワードを複数出す
  6. コンセプトを一つに決める
  7. タイトルを決める
  8. 構成を決める
  9. 編集する
  10. 文章を書く

全部で10の要素に分けられますが、文章を書く以前までに9つのステップがあるのです。このステップを飛ばして「書いて」しまうから、迷い、方向が定まらないのです。

文章を書くのが、速かったり上手かったりする人は、自然にこのステップをこなしてから、キーボードを打ち始めるんだろうし、自分を省みてもスラスラと進んだときは「文章を書く」前にこれらのステップを自然に踏んでいたような気がします。

もちろん、いきなり書き始めて「結論はキーボードに聞いてくれ」でも面白い文章や、意外性のある文章が出てきて、それはそれで一つの方法かと思います。しかし、仕事関係の文章なら決められた時間で一定のクオリティのものを書かなければいけないことも多いです。その場合、上のステップを意識した方が書くということにおいて再現性が高いでしょう。

本書では、国語力の一定の基準を計る指標として「自己紹介がきちんとできるか?」が示されています。 自己紹介は仕事でも重要だし、合コン・婚活でも重要ですよね。そのときの自分の立場や相手によっても適宜必要な事は変わるわけで、確かに難しい。

「読む力」のところで紹介されいる「おすすめ本10冊」のリストは、僕も納得。

新書一冊の分量で「読む力」「書く力」「聴く力」「話す力」「編集力」まで網羅したお得な一冊です。もちろん新書なので値段もリーズナブル。

(聖幸)