2週間ほど前にChrome OSのソースコードがGoogleからリリースされたのはご存知の方も多いかと思います。仕事の速い開発者たちのおかげでコードが書けなくてもこの新しいOSを試してみることが出来るようになりました。

Google側ではソースコードからChromium OSをパソコン上にビルドしないと使えない、ということになっているのですが、簡単にインストールできるビルドを数名の開発者たちがリリースしてくれているので、今日はそれを使ってChromium OSを試してみる方法をご紹介!

 はじめに:僕の新しい自転車

作業を始める前にまず理解してもらいたいのがChrome OS(現状の開発段階ではChromium OS)には、基本的にブラウザしか含まれない、ということです。アプリケーションをインストールしたり設定をいじくり回したりは出来ません。

感覚的には、Chroumium OSはコンピュータとGoogle Chromeブラウザの間の領域がなくなった感じです。アイデアとしては斬新で面白いのですが、設定をいじくり回し、様々なアプリケーションを試してみることを生き甲斐とするソフトウェア好きには、多少物足りないかも知れません。動作状況も機能性も普通にブラウザを使っているのと大差ありません。が、スピード的にはかなーり速いです。

Chrome OSの概要についてはこちらの過去記事(日本版)あたりを一読してみて下さい。Mac愛好家ジョン・グルーバーはChrome OSは主に2台目のパソコンのOSとなるだろう、と予測しています。彼の見解によると、Googleは2台の車の代わりに、車1台と自転車1台というセットアップを想定しているのだろうとのことです。

なので、Chrome OSを使ってみる時にはメインで使う自動車、というよりはサブで使う自転車とのご対面だと思うくらいがちょうど良いのではないでしょうか。

テスト方法その1: Chromium OSをバーチャルマシンを使って起動

Chromium OSを使ってみる最も簡単で確実な方法で、パソコンの再起動も必要がないのはバーチャルマシンとして起動する方法。Macを使っている方や互換性のないPCを使っている方でChromiumがどんな感じなのかちょっと試してみたいけれど、再起動やネットの接続性、キーボードの操作性について余計な心配をしたくない方であれば、この方法が最適です。

必要なもの:

最初に必要なのがバーチャルマシンイメージを走らせるためのソフトウェア(フリー/クロスプラットフォームツール『VirtualBox』がおすすめです)それから、Chromium OSのバーチャルディスクイメージのダウンロード。

バーチャルマシンはサイトへの無料登録を行うことと引き換えに「gdgt.com」からダウンロードできます。

起動方法:

『VirtualBox』を使ったことがある方であれば、Chromium OSの起動は他のOSの場合とほとんど変わらないのですぐに分かるかと思いますが、新規イメージを作成する際には下記のようにOS Typeを「Linux/Ubuntu」に設定します。

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※クリックで拡大

それから、gdgtからダウンロードしたvmdkファイルはバーチャルブートディスクとして使用します。

091207_03chromeosvm2.jpg

この手順のスクリーンショットを見たい方はHow-To GeekのChrome OSをVirtualBoxで起動する方法の記事をご覧下さい。

この方法の短所は、バーチャルマシンから起動しているためChromium OSの売りであるスピード感がうまく体験できないことです。逆に、この方法の長所はハードウェアの種類(Googleが動作を確認しているハードウェアリストはこちら)に依存せずインターネット接続、キーボード/マウス操作が可能であるところです。

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テスト方法その2:USBドライブからChromium OSを起動

バーチャルマシンはあくまでも「バーチャル」なので現物を見ることが出来ませんが、パソコンのハードウェアがChromium OSに対応している場合、USBメモリからChromium OSを起動してみることが出来ます。

必要なもの:

Chromium OSを起動するにはChromium OS対応のネットブックまたはノートパソコンが必要です(注意:リンク先のリストは完全なリストではありません。リストにないパソコンで動く可能性もあります)。 あとは1GB以上の容量のあるUSBドライブおよび起動可能なUSBイメージです。1GのUSBドライブ用にスリム化されたChromium OSはここからダウンロードできます(これを提供してくれたHexxehに感謝!)。

このUSBメモリを使った方法はMacでは実行出来ません!また、Chromium live CDはディスクに書き込む必要があるため使用不可となっています。なので、書き込み可能なUSBメモリが最適な方法です。

起動方法:

USBビルド開発者HexxehはWindow用にUSBメモリを準備する方法についての詳細をこちらの記事で詳しく説明してくれています。

Windows用のイメージライターをダウンロードし、プログラムを抽出し、起動。イメージ(chromiumos.img)を選択し、ドロップダウンボックスからUSBメモリのドライブ名を選択。「書き込み」をクリックすると、インストールイメージがドライブへ書き込まれます。それが終わったらプログラムを終了し、USBドライブから起動。

MacユーザもUSBメモリを作成することは出来ますが、MacではUSBからのChromium OSの起動は出来ません! Linuxユーザの方USBドライブへイメージをインストールすることは可能です。やり方はこちら(英語)の記事を参照して下さい。

これでUSBからの起動の準備は整ったはずですので、パソコンを終了し、ドライブを挿入し、パソコンを起動して下さい。起動したらブートメニューキーを押し、USBドライブからパソコンを起動(ブートメニューキーおよびUSBを起動ドライブに設定する方法はパソコンごとに異なるので、それぞれのパソコンのユーザマニュアル、またはGoogle検索などで調べて下さい)。

Hexxehのビルドを使っている方は最初に起動する場合、ユーザ名とパスワードを聞いてくるかと思います。ユーザ名/パスワードともにfacepunchです。本来であればこのログイン詳細はGoogleアカウントユーザ名とパスワードとなりますが、まだインターネットに接続していない場合、facepunchと入力して下さい。

全てが上手く行っていれば、キーボード、マウス、ワイアレス/Ethernetアダプターの全てが使用可能な状態でChromium OSを立ち上げることが出来るはずです。うまく行かない場合は、このハードウェア互換性リストを今一度チェックして見て下さい。

HexxehのUSBビルド以外のオプションを探している方は、MakeUseOf.comのtorrent+インストラクションを確認してみて下さい(MakeUseOf.comのビルドの場合、ユーザ名/パスワードが異なるのでご注意)。ASUS Eee PCをお持ちの方で、方法その1のバーチャルイメージをすでにダウンロードした方は、それを使って起動可能なUSBメモリを作成することも可能です。詳しい方法はこちらを。

ノートパソコンでUbuntu Linux(Karmic Koala)を使っている方で、Chromium OSとWi-Fiカードが上手く連動しない場合、現状のドライバでUSBビルドをパッチする方法をLinuxユーザであるリー・ブリッグさんがアップしてくれていますので、そちらを参照してみて下さい。Chromium OSを起動可能なドライブからテストする最大の長所はChromium OSの最大の長所であるスピード感が体験出来ること。逆に短所はハードウェアに互換性がないとChromium OSが使用出来ないことです。

興味のある方はぜひぜひ試してみて下さい。やってみた感想等、説明の補足などコメントで教えてもらえると嬉しいです。ちなみにまだ日本語の入力はサポートされていないようです。

Gina Trapani (原文/まいるす・ゑびす)