メールだの企画書だの会議の資料だのと、毎日毎日文章を書いているものの、「どーも、なんていうか、伝わってこないんだよね、君の報告は」とかなんとか言われて、へこんでしまったり。だからと言って、そんな意見を真に受けて直すと、以前の指摘と正反対のことを言われたり、なんて、よく、よくありますよね。
そんな気まぐれな意見を繰り出す相手が、ぐうの音も出せないような、説得力のある文章の書き方ってあるんでしょうか? 文章って誰でも意見を挟めるから、一人の意見だけを参考にするのは、偏ってしまう可能性が高いもの。そこで「多くの人に正確に伝わる文章」を書く上で参考になるのが、数百万の利用者が閲覧する「Wikipedia」のガイドライン。
なかでも「言葉を濁さない」の項にある「曖昧な言い方の改善例」は、客観的な記述を求められる場面で、どんな風に書けばよいのかを、具体的に解説しています。
意見の持ち主を明示する以下の一文は、とある曖昧な書き方です。
- ジョージ・W・ブッシュは半文盲かもしれないと示唆する人々がいる。
次の一文は、曖昧さという点では同じです。
- 大統領に批判的な人々は、ジョージ・W・ブッシュは半文盲かもしれないと示唆している。
こういうことを言う人は誰もが、「その定義から」批判的な人なのです。これは、循環論法です。著者は、その意見の情報源を探し以下のように加えるべきです。
- 作家マイケル・ムーアは、彼の著書「アホでマヌケなアメリカ白人」の中で、ジョージ・ブッシュに対して公開質問状を書いた。その中で、彼は「ジョージよ、あなたは大人のレベルの文章を読み書きできるのか?」と質問している。
上記のように情報源を加えることにより、読者が自分自身で情報源の信頼性を検討できるようになります。
ちょっと風刺の効いた例文ではありますが、文章に説得力を持たせるわかりやすい具体例ですね。
このほか、ネタ元には「意見を具体的な事実に置き換える」例、「曖昧な言い方の典型例」もありますので、ご参考あれ。また「避けたい言葉」の一覧も役立つと思います。
(常山剛)