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印南敦史の「毎日書評」

「やりたいこと」を全部やりたいとき、忘れてはいけないこと

author 印南敦史
「やりたいこと」を全部やりたいとき、忘れてはいけないこと
Photo: 印南敦史

人に与えられた環境は、それこそ世界中の一人ひとりが異なります。 たとえ生まれた環境が恵まれていなくても、(わたしのように)シングルマザーになったとしても……人生の主人公は、いつだって自分です。

生きていれば、誰だって悩みの種はつきません。特にパンデミックのような予期せぬことが起きたら、不安にもなるし絶望だってします。もちろんわたしも、そのひとりです。

でも、だからといって自分の運命を呪うのではなく、やれない理由を探して言い訳するのでもなく、「やりたいこと」を全部やって、たった一度の自分の人生を後悔なくまっとうしたい。(中略) だから、いまを懸命に生きるーー。(「はじめに」より)

やりたいこと、全部やりたい。自分の人生を自分で決めるための方法』(立花佳代 著、アスコム)の著者はこう記しています。

27歳でシングルマザーとなり、貯金0の状態からお金を貯めて起業。インドの工芸伝統品の美しさに魅了されたことから、約5年の歳月をかけてハンドメイドアクセサリーブランド「MAYGLOBE by Tribaluxe」(メイグローブ バイ トライバラクス)を立ち上げたという人物。近年、同社はいちはやくSDGsに取り組んできた企業としても注目されているそうです。

そうした自身の体験を軸とした本書は、いま仕事や人生について悩む人に向けて書かれたもの。いうまでもなく、その根底に込められているのは「やりたいことを全部やる」という生き方のヒントになればという思いです。

きょうは第2章「やりたいこと、全部やるために」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみたいと思います。

自分の「好き」にはこだわらなくていい

著者はまわりの人からよく、「好きなことを仕事にできていていいですね」といわれることがあるのだそうです。

ただ、昔からファッションに興味があり、いまの仕事を大いに楽しんでいることも事実だとはいえ、はたしてそれが自分の「好きなこと」なのかというと疑問が残るのだとか。

もちろんトレンドなどはチェックするものの、毎日欠かさずファッション誌を読んでいるわけでもなければ手持ちの服やアクセサリーも、どちらかといえば少ないほうだというのです。

つまり、それほど熱烈に好きなことを仕事にしたわけではなく、実家がパンスト店だったことで、自分が商売をはじめるときにも、自然と雑貨や小物やアクセサリーが選択肢に入ってきたという感じでした。

そうして実際に仕事をやっていくうちに、「これやりたいな」「あれもやってみたいな」と楽しんできた。ただ、それだけなのです。(85ページより)

「好きなことだけやって生きる」「好きを仕事にする」というようなことが強調されすぎる傾向が、いまの世の中にはあります。あたかも、それだけがすばらしいことであるかのように。

しかしそんな経緯があるからこそ、別に自分の「好き」にはそんなにこだわらなくていいのではないかという思いが著者のなかにはあるのだそうです。

それどころか、好きなことを見つけてからなにかを始めるのではなく、「いまやっていることを好きになる」ことに全力を傾けたほうが、人生は楽しくなるものだともいいます。

「まったく無理!」という感覚でさえなければ、まずはなんでもやってみる。そして、どんどんいいところを探し、自分が好きになっていったほうが、きっとうまくいくという考え方。ここには、「好きなことだけやろう」というステレオタイプな発想を超えた本質があるのではないでしょうか?(84ページより)

わがままな人は「やりたいこと」を全部やれない

「やりたいことを全部やりたい」と聞くと、わがままな人だという印象を受けるかもしれません。が、「やりたいこと」をすべてやるためには、できるだけほかの人と一緒に、お互いに助け合いながらやることも大切。

とはいえ著者は昔、なんでも気合いだけでひとりでやってしまうタイプだったのだそうです。人に助けを求めるのは甘えているような気がしていたというのです。しかし、心から信頼できるスタッフやパートナーと仕事をするなかで、次第に考えが変わってきたのだそうです。

自分ひとりで頑張っていても、それはあくまで自分という枠のなかに収まる範囲の仕事になります。 発想やアイデアの面でも、物理的なリソースの面でも、ひとりの範囲以上にはなかなか広がっていきません。

もちろん、ひとりでコツコツやることが向いている人もいます。

ただ、もしあなたが、「やりたいことを全部やりたい!」と思うなら、時間も体力も限られるなかで、ほかの人の助けを借りながら、ともに成長できるかたちをつくっていくほうが、絶対的にやれることの幅は広がるはずです。(87ページより)

「やりたいことを全部やる」ためにこそ、自分だけでなく、まわりの人のことも一緒に幸せにしていく姿勢が問われるということ。自分の幸せを追求しつつ、同時にお互いを支え合って仕事をしていけば、自分が「やりたいこと」をやろうとしたときに、まわりの人たちはきっと応援してくれるはず。

したがって、わがままな人は誰からも応援されず、結局は「やりたいこと」を全部やれないということです。(86ページより)

「やりたいこと」が「やるべきこと」にならないよう、初心に戻る

新型コロナウイルスによるパンデミックと、それに伴うアパレル不況というピンチを迎えているなか、著者は過去のことを振り返る機会が増えたのだそうです。とはいっても後悔するのではなく、自分が仕事をやりはじめたころの原点に返ることが増えたわけです。

過去を振り返り、原点に戻ることで、やりたいことが明確になり、また新しい道が見えてきました。 日々の業務に追われていると、やるべきことで、やりたいことがいつの間にか塗りつぶされてしまっていることがあります。(105ページより)

そこで、どこかのタイミングで立ち止まって自分のやってきたことを振り返り、「そもそもなぜこの仕事をはじめたのか」という原点に戻るべき。そうすればいろいろなことが見えてきて、かつてあったはずのワクワクした気持ちも戻ってくるということです。(103ページより)

著者は55歳になったいまでも、毎日のように失敗と成功を繰り返しながら生きているのだといいます。だからこそ、本書は男女も年齢も問わず多くの人に説得力を投げかけるのでしょう。

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Source: アスコム

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