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リーダーシップの未来を左右する4つの戦略

author Fast Company/訳:遠藤妙子/OCiETe
リーダーシップの未来を左右する4つの戦略
Image: Shutterstock

今リーダーは、「ニューノーマル」に対応するための新たな戦略を必要としています。

その1つとして、デザイン思考とアジャイル方式(より迅速で柔軟な製品開発を実現する手法)の要素を活用して「つながりのエコシステム(ビジネスの生態系)」を構築する方法があります。

この方法は、たとえば、パンデミックのさなかに、どのように、どこで、どの業務を行なうかといった複雑な問題に取り組む際にとても役立ちます。

これが有効なのは、人を中心として解決策を見いだすことに重きをおいた適応プロセスだからです。

また、すべてのメンバーに開かれた方法でもあります。

私自身、チームリーダーとしてメンバーに発言の機会を与え、メンバー間のコミュニケーションとつながりを促進することほど強力なものはないことを学びました。

チーム間のつながりを強化するためには

これを実践する方法の1つとして、レトロスペクティブ(振り返り)会議を毎週または隔週(リモートもしくは対面)で実施し、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないか、何が足りないかを確認するアジャイル方式があります。

重要なのは、全員でしっかり話し合い、出された意見を分類することです。それから、問題解決に向けてリーダーに何に重点的に取り組んでほしいかを含め、チームのタスクの優先順位と担当を決めます。

チームは力を合わせて働き、喜びや不満を共有します。

一方、リーダーはチームの優先事項を考える立場です。

これを定期的に繰り返すことで、説明責任が生まれます。リーダーが皆からのインプットをどのように行動に移したかを報告することで、開かれた姿勢が顕著となり、職場への安心感が増し、時間と共に信頼が築かれます。

この方法で、親密なコミュニケーションや柔軟性、協力関係の欠如に起因した悩みの緩和や解消に、リーダーのスキルと経験を向けることができます。それがなければ、従業員は集中できず、生産性も上がりません。

米国ギャラップ(Gallup)社のデータには以下のようにあります。

意識的にやる気のない従業員の割合は、米国で2020年の14%から2021年6月の15%とわずかに上昇しています。

意識的にやる気のない従業員の業務経験は乏しく、一般的に十分なマネージメントを受けられていません。

米国労働統計局の報告による離職率は記録的な高さとなっており、「大離職時代」がすでにはじまっています。これは労働力に影響するだけではなく、ビジネス、ひいては世界に波及します。つまり、エコシステム全体に影響を及ぼします。

リーダーが、先行きが不透明ななかで方針を示すうえで、エコシステムの構成を念頭に置いておくことが重要です。あらゆる経験や個人が、ほかの人や、場合によっては複数のグループとつながりを持てる可能性を持っています。

それをまとめるのがリーダーの役割です。たとえば、チームの定期的な振り返り会議が、組織の中の一見関係しない部署間をつなぐ役割を果たすことがあります。

また、ほかのチームや分野、部署から協力者を集めることで、プロジェクトに同様の効果がもたらされる場合があります。

あなたがチームリーダーであろうと、キャリア志向の一般社員であろうと、組織と自身の役割をエコシステムの一部としての扱うことには利点があります。

「つながりのエコシステム」を構築するために、リーダーが考慮すべき方策が4つあります。

1. 注力すべきは、ビジョンではなく多様な視点を育むこと

NVIDIA社の共同創設者であるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)がスタンフォード大学で2009年に行なった講演で、以下のように述べています。

ビジョンは重要です(中略)。ですが、私は(多様な立場からの)「視点」という言葉を使うのが好きです。それなら誰しもがもつことができるからです。

効果的なリーダーシップは、多様な視点を受け入れることで強化されます。

フアン氏が言うように、もし「ビジョン」が単一性やエリート主義を示唆するのであれば、「視点」は個性を尊重し、多様性を育む寛容な姿勢を示唆すると言えるでしょう。

重要なのは、リーダーが単にトップダウンで視点を見いだすのではなく、ボトムアップで取り込むことです。

組織全体に渡り個々の意見を聞くことが、エコシステム全体の状況の向上につながります。こうしたコンセプトは組織のどのような立場にも適用します。

仲間に目を向け、仲間の経験やニーズを理解することが、自身の学びや成長につながります。さらに重要なのが、人の助けとなる機会を得ることで、自身の活動と影響の幅が広がります。

2. 存在感を示すことの価値を認識する

会議中に、参加者がみな、メールをチェックしたり、携帯電話の画面をスクロールしたりしているといった経験はありませんか。

もし、あなたがその会議の発表者であったならば、参加者の集中していない態度に傷ついたことでしょう。

それが一対一であれば尚更、そうした態度は失礼にも感じるものです。気持ちを害することは別に、注意がそれることには実質的なマイナス面があります。マルチタスクの非効率さは科学的に十分立証されています。

しかし、これは何も新しい考え方ではなく、古くは紀元前85年にプブリリウス・シルス(Publilius Syrus)が「二兎を追う者は一兎をも得ず」と説いています。

ここに簡単な解決法があります。

まずあなた自身が、先程終わった会議や、増え続ける受信メールのことをしばし忘れるようにしてください。そして、会議の参加者にも同様にするようお願いし、それを会議の決まりとしてください。

それを形にするために、すべての会議で、議題の冒頭に集中するための時間を1分間設けてください。人は1分あれば、ギアを変え気持ちをリセットすることができます。

会議の参加者には、会議中はノートパソコンを閉じる(リモート会議の場合には、メールを閉じ、通知を切る)ことが求められることを周知してください。

1分間、ただ静かに座って過ごします。私がワークショップでマインドフルネスの指導をする際にはよく、誰しも馴染みのある、人や物事に敬意を表して行なう黙とうを例に挙げます。

ただこの場合は、参加者ひとりひとりが会議にもたらす誠意に敬意を持って黙想します。

労力も、お経も、祈りの言葉も必要としない「ミニ瞑想」だと思ってください。

今この瞬間、ただお互いのために静かにその場にいる時間を設けます。対人であろうとZoom会議であろうと(カメラのオン・オフは問わず)、誰しも個々の心配事はいったん忘れ、お互いに存在感を示すことができます。

こういった能力が、自身とそのチーム、そしてビジネスに利益をもたらします。

米国の経営学誌「ハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)」に次のように記載されています。

リーダーのマインドフルネスとチームのメンバーの満足度と業績には直接的な相関関係があることが研究で示されています。

つまり、リーダーがチームのメンバーとしっかり向き合っていればいるほど、チームのパフォーマンスが上がるのです。

エコシステムが生き物だとすれば、リーダーが存在感を示し、集中することが成長を育む水と言えるでしょう。

3. 絶え間ない変化に備える

エコステリーダーがチームのメンバーとしっかり向き合っていればいるほど、チームのパフおきます。

一見小さく思えるビジネスの一部への変化が、エコシステムのほかの部分に大きな影響(良くも悪くも)を与える可能性があります。

たとえば、リーダーシップの変更や人員削減や組織の一部への新たなテクノロジーやプロセスの適用。こうした変更に対する不安が、エコシステムの関連する別の部分に波紋のように広がる可能性があります。

「次は自分だろうか」、「そこにいるパートナーはどうなるのだろう」、「慣例やチームの規範は変わるのだろうか」、「今後はあの新しいシステムを使用することになるのだろうか」と。

変更が計画された際には、なぜそれが必要なのか、長期的に組織全体にどのような利益をもたらすか、どうやってひとりひとりがその変化を良い影響をもたらす機会にすることができるか、といった視点を共有し、説明するようにしてください。

絶え間ない変化の流れによってリーダーが成長の意識をもつ必要性が浮き彫りになっていますが、大切なのはやはり、存在感を示すことです。どのような変化が生じても、リーダーはチームの声に耳を傾け続けなければなりません。

4. 成功への道は直線ではないことを認識する

エコシステムはウェブです。そして、成功はあらゆる方向に延びる直線の連続の先に見いだされます。米国の詩人ジェーン・ハーシュフィールド(Jane Hirshfield)の句に、「あらゆるものが変化し、つながっている。それを意識する」とあります。

これはリーダーをはじめ、向上したい、より良くありたいと願うすべての人にとって重要な鍵であり、指針となり得るでしょう。

時間を直線的に進み、その時々に生じることを経験していくなかで、適応力を備え、問題を解決する核となるのが人や経験の相互の結びつきを理解することです。

そして、ただ意識する、という一見単純に思えることが、自分自身だけではなく、同僚やまわりの人にプラスの影響を持続的に与えることができます。

「つながりのエコシステム」を構築することで、不透明な変化のなかをより効率的に進み、まわりを導いていくことができるようになるでしょう。

Originally published by Fast Company [原文

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