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「学ぶ」に勝る投資なし

「ながら聞き」で学べる音声コンテンツはこれから伸びる最強ツール

author 取材・文/田邉愛理
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「ながら聞き」で学べる音声コンテンツはこれから伸びる最強ツール
Image: Shutterstock

何よりも大切で、投資するべき資産とは何でしょうか? それは、お金でも不動産でもなく、「自分自身」ではないでしょうか。

変化の激しい現代において、常に学び、成長し続けることは必要不可欠です。しかし、一体何を、どうやって学べばいいのか。その「学び方」は学校では教えてくれません。

この「学ぶに勝る投資なし」特集では、自分自身を高める最高の投資としての「学び」について、最新の独学術やノウハウについてご紹介します。

第2回は、音声コンテンツや音声広告領域に特化して事業を展開する株式会社オトナル代表の八木太亮さんに、世界の音声コンテンツのトレンドや、「聞く学び」の3つのメリットなど、音声コンテンツを活用した独学法について伺いました。今回は前編です。

▼後編はこちら

「耳学習」習慣化の鍵はスキマ時間〜実践のための7TIPS

八木 太亮(やぎ・たいすけ)

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株式会社オトナル代表取締役。2013年ウェブメディアを運営する株式会社オトナルを創業。ウェブメディア事業を事業売却ののち、音声コンテンツと音声広告領域に特化し、アドテクノロジーを活用した広告出稿とクリエイティブ制作をトータルサポートできる”音声広告カンパニー”としてデジタル音声広告事業を展開。その他、ラジオ局や新聞社など大手パブリッシャー向けの音声コンテンツの配信支援事業とデータ運用支援を行っている。


2021年の初めにClubhouseが流行ったり、オーディブルの会員が増加傾向にあったりと、音声コンテンツへの注目度が高まっている昨今。

「自分を高める学び」において存在感を増しているのが、これらの音声コンテンツを利用した「聞く勉強法(耳学習)」です。

急成長する音声メディア。スマートスピーカーやコロナ禍が追い風に

多忙なビジネスパーソンの学びを考える上で、ながら聞きにより時間を有効活用できる「耳学習」の可能性は計り知れません。

最近では、アプリで手軽にラジオや著名人の音声コンテンツを聴けるため、通勤時や運動時に活用する人も増えている模様。今後、音声メディアはどのように伸びていくのでしょうか。

音声メディアの成長については、デジタル音声広告市場の状況を見るとわかりやすいと思います。

アメリカでは2017年から前年比20%ほどの成長率で市場が伸びています。2020年にはコロナ禍でやや鈍化しましたが、それでも前年比13%増の30億ドルへと急成長しました。

そう話す八木さんは、2013年に「株式会社オトナル」を創業、2018年に音声関連事業を開始。Spotifyやradikoといった音声メディアの音声広告の販売や、ラジオ局などその他の音声メディアに対してデジタル広告枠の開発、音声コンテンツ配信の支援を行なっています。

八木さんによると、日本の音声広告の市場は2021年に50億円となることが見込まれており、グローバルと比較すると発展途上。とはいえ2022年以降は急速な拡大が進み、2025年には420億円規模になると予想される成長市場です。

こうした世界の音声メディアの躍進を牽引している音声コンテンツのひとつが、2004年ごろに始動したインターネットラジオ「Podcast」

下記の調査によると、米国では1億1600万人相当にあたる41%が「毎月1回はポッドキャストを聞いている」と回答しています。

表1
【米国市場】増加するポッドキャストユーザー
Source: otonalおよびThe Infinite Dial 2021

一方、下記はオトナルが朝日新聞と共同で行った「Podcast国内利用実態調査」のデータ。この1年以内にPodcastを聞きはじめたという人が47%。ほぼ半数が最近Podcastユーザーとなったことがわかります。

表2
ポッドキャストを聴き始めたきっかけ_『ポッドキャスト 国内利⽤実態調査 2020 2021年1⽉』
Source: otonal

日本ではインターネットラジオ『radiko』も成長を続けており、2020年3月以降に月間ユニークユーザー数増加し1000万人に迫る勢いです。

こうした成長の背景にあるのが、2017年から国内販売がはじまったスマートスピーカーの普及と、2020年初頭から広がったコロナ禍です。

「ながら」で音声コンテンツを聞きやすい環境が整ってきたこと、リモートワークにより自宅にいる時間が増えたことで、利用者が急増したと八木さんは話します。

Clubhouseが火付け役。ライブオーディオで楽しむ「バーチャル講演」

音声コンテンツの内容としては、どのようなトレンドがあるのでしょうか。

八木さんいわく、世界的に新規参入が進んでいるのは「ライブオーディオ」。いわゆる音声SNSで、Clubhouseなどの生配信が火付け役となりました。

音声コンテンツには2つの聞き方があり、1つはオンデマンド。YouTubeのように録画されたコンテンツを、自分の好きなタイミングで聞くものです。

もう1つのライブオーディオは音声の生配信で、Clubhouseが現れたあと、Twitter、Facebook、Spotify、Amazonなど、ほかの企業も本腰を入れはじめています。

これが学習にどう関係するかですが、私はライブオーディオは、コンテンツというよりはイベントに近いと捉えています。出演者に質問するとその場で回答してくれるなど、臨場感、ライブイベント感があるんです。“バーチャル講演”がイヤホンだけで手軽に体験できるというのは、ライブオーディオの大きな魅力です

活字メディアが手がける音声コンテンツが増加中

ライブオーディオの発展に加えて、音声コンテンツの動きとして見逃せないのは、音声コンテンツを聞ける場所(チャンネル)が広がってきていること。

2020年の半ばからAmazon MusicでもPodcastが再生できるようになり、2021年には米国を皮切りに、FacebookページでもPodcastへの対応がはじまっています。

おそらく今後は、これまでニュースや学習コンテンツを手がけてきた活字メディアも、音声コンテンツを作っていくでしょう

例えばアメリカのワシントン・ポスト紙は昨年から記事を音声版でも出しています。英語圏では音声合成技術が成熟し、テキストから変換した音声がほぼ違和感なく聞けるため、こうしたサービスが手軽に提供できるようになってきました。

音声チャンネルの多様化により、耳学習の機会はさらに増えていくのではないでしょうか。

今後はライブオーディオと、活字メディアが手がける音声コンテンツの増加により、「学べる音」がどんどん充実するだろうと八木さん。

これまでラジオがその役割をほとんど担っていたことを考えると、より多様な耳学習の機会を得られる時代になったと言えそうです。

「聞く学習法」3つのメリット

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音声コンテンツを活用した「聞く学習法」には、これまでの「読書や机に向かって行う学習法」とは異なるメリットが3つあると八木さんは話します。

1.「ながら聞き」ができる

PodcastについてのイギリスBBCの調査では、94%の人が『家事、運動、移動、運転など、何か別のことをしているときに聞いている』と回答しています。

これはつまり、従来の活動時間と並行して勉強時間を拡張できるということです。radikoやSpotifyの1日の再生時間は平均で約130分。それを学習に当てられたら、1日24時間が26時間に増えることになります。スキマ時間すら学習時間に変換できるのは、耳学習の最大のメリットです。

2.音のほうが活字よりも学びやすいジャンルがある

語学学習においてネイティブの発音を確認できたり、学生時代多くの人が経験したことがあるように、単語や年号の暗記を語呂合わせで覚えたりと、活字よりも耳学習のほうが向いているジャンルはあります。

たとえば、日本教育情報学会に収録されている音声×学習の研究結果で、英単語学習時における映像、音声、文字各々が持つ効果と、それらの組み合わせの効果が調査されています。

この研究結果として、学習時の情報として音声情報が有効であること、また3つの情報を重ねて学習した場合、学習者は音声情報を有効な手がかりとして使っていることが示されています。

3.長期記憶に強い

アメリカの調査では、ブランドを認知させるとき、バナー広告よりも音声広告のほうが4.4倍高いブランド認知効果が出たというデータがあります。

実際に、2008年の岡山大学で調査された聴覚の長期記憶についての研究結果では、非常に大きな学習効果が現れることがわかっています。

これらの結果から言えることは、何かを覚える学習に関しては、聴覚の情報が非常に有効であるということ。懐かしのCMソングは歌えるけれど、画面の内容は覚えていないのと同じで、聞く学習法は長期記憶に強いと言えるのではないでしょうか。

また、逆に「聞く学習法」のデメリットがあるとすれば、グラフを提示するような視覚的な学習に向いていないことが挙げられます。視覚、聴覚の両方をカバーする方法としては動画コンテンツを利用した学習が考えられますが、動画にも一長一短があると八木さん。

動画は耳、目、座っている時間など、全部の注意をとられてしまう。その点、耳学習ならとられるのは聴覚だけなので、生活のスキマに入り込める。それは音声の強さです。


株式会社オトナルの八木太亮さんに聞く、音声コンテンツを活用した最新独学法。後編は実践編として、耳学習を習慣化する上でのポイントや、勉強や情報収集に役立つ八木さんおすすめのチャンネル・Podcastを教えていただきます。

▼後編はこちら

「耳学習」習慣化の鍵はスキマ時間〜実践のための7TIPS

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Source: otonal, Asian Profile, 国立国会図書館デジタルコレクション, J-STAGE

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