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印南敦史の「毎日書評」

30代からは「向いている」「成果が出る」ことを優先して働くべき理由

author 印南敦史
30代からは「向いている」「成果が出る」ことを優先して働くべき理由
Photo: 印南敦史

人生の分岐点である30代は、世の中や会社を変え、動かす世代。

しかし大きな仕事やチャンスをつかみ、自分で人生を動かす「輝くリーダー」へと変貌する人がいる一方、簡単な仕事しか与えられず、スキルも身につかず、「永遠の作業員」で40代を迎える人もいます。

その差はどこにあるのか? このことについて『できる30代は、「これ」しかやらない 会社に使われて終わらないシン・働き方の教科書』(松本利明 著、PHP研究所)の著者は、次のように主張しています。

その差は、「能力」ではありません。たった1つの「働き方」の違いです。

結論を言います。その働き方とは、「成果のコスパ」です。労力やコストに対して、どれだけの成果が得られるかを意識しなければなりません。

20代と30代以上とでは、求められる「成果のコスパ」がガラッと変わります。

「正解のある仕事を効率よくこなす」から、「正解がない仕事でも、成果を出す」へと働き方をアップデートしなければならないのです。(「はじめに」より)

だからこそ、30代は忙しいのです。しかし著者によれば、困難を極めるプロジェクトであっても、最短で正解への仮説や段取りを立てたり、知恵や知識を仕入れてショートカットする方法など、効率的に効果を上げて仕事を進める攻略法があるのだとか。

そこで本書では、“正解のない仕事でも、効率よく効果を出すためにすべきこと”を厳選して紹介しているわけです。きょうは第4章「『最短で成果を上げる仕事』にこだわろう」内の、4.1「30代では『向いていて成果も出ること』だけをやる」に焦点を当ててみたいと思います。

著者がここで訴えているのは、「緊急度」と「重要度」で仕事を整理し、To Doリストに落とし込んでサクサク仕事を進めるべきだということ。

しかし、実際にやってみるとなぜかうまくいかない人もいるはず。果たして、その理由はどこにあるのでしょうか?

30代には仕事を断る権限などない

時間術に関する本には、まず「緊急度が高く」「重要度も高い」仕事を行い、そののち「緊急度が低く」「重要度が高い」仕事を行う時間を確保すべきだと書かれていることがあります。

また、重要度は高くても緊急度が低い仕事のなかには、本当にやりたい仕事や未来への投資となる仕事が隠れているものでもあるでしょう。

しかし30代のビジネスパーソンにとって、「緊急度」と「重要度」で優先順位を決める時間術は、理想ではあっても現実的ではないのだそうです。

実際の仕事では常に、「重要度」よりも「緊急度」が優先されがち。しかも強い権限を持たない30代の場合、緊急度は相手の都合で決まるケースが大半です。

上司から「この仕事を急いでやって」といわれたり、営業先から「見積もりの修正を今日中にください」」といわれたりしたら、すぐその仕事に手をつけるしかないわけです。

また、それらを早めに片づけて時間を確保したとしても、そこに他の人の仕事までが舞い込んできたりするもの。

すなわち「緊急度」と「重要度」を決める権限を持たない30代には、よくある時間術はほぼ機能しないのです。(134ページより)

仕事では「おいしいものは最初に食べる」が鉄則

「緊急度」と「重要度」が通用しない以上、仕事を絞り込む軸を変える必要があります。

具体的には、「向いている」ことと「成果につながる」ことの2軸で整理するのです。(135ページより)

「向いている」こととは、いいかえれば自分の持ち味。意識しなくても人より速くできることであり、「書類づくりが早い」「顧客との関係づくりが得意」など、どんなものでもOK。

一方の「成果につながる」こととは、仕事として評価され、結果を出せること。どれだけ新規開拓が得意な人でも、会社が「既存顧客を重視する」という方針であるなら、既存顧客のリピート率を上げるほうが「成果につながり評価される」仕事になるわけです。

まずは、この2つの軸をもとに、自分の仕事を整理してみるべきだと著者はいいます。

整理が終わったら優先順位をつけていくことになりますが、当然ながらいちばんに優先すべきは「向いている」ことであると同時に「成果につながる」こと。新規開拓が得意で、会社も新規開拓を求めているなら、“いちばんおいしい仕事”であるそれを優先することが重要であるわけです。

とはいえ人は往々にして、そんなおいしい仕事を後回しにし、苦手な仕事や成果につながらない仕事に時間をかけてしまいがちでもあります。

食事であれば大好きなおかずを最後にとっておくのもいいでしょうが、仕事の場合は次々と“おいしくない緊急の仕事”が入ってくるもの。そのため、いつまでたってもおいしいものが食べられなくなってしまうのです。

向いている仕事=得意な仕事はスイスイと楽しみながら成果を出せます。仕事は一番速く成果を出せる人にお願いしたくなるのが心情です。

結果、自然とこうした仕事があなたの下に集まってきて、評価も評判もあがる好循環、無敵モードになります。(138ページより)

そのような状態に持っていくことができれば、やがて自分の都合で緊急度と重要度を決められるようになるわけです。(135ページより)

成果が出ないが向いている仕事は「修行」と心得る

とはいえ、「向いている」「成果が出る」仕事ばかりをやり続けるわけにもいきません。そこで重要なのが、「向いている」けれど「成果につながらない」こと。著者は、それを「未来への投資」と表現しています。

成果がすぐに出ない以上は楽しくないかもしれないけれど、新たなスキルを習得し、経験の幅を広げ、未来の選択肢を増やすためには不可欠な時間でもあるはず。

そこで、修行をするような気持ちで、「成果が出ないけど、向いている」ことにあてる時間を確保すべきだというのです。(138ページより)

著者は、“偏差値50台のあまり優秀とは言えない大学出身”でありながら、30歳で外資系企業に移り、最短の8年間でトップ5%しかいないプリンシパル(部長クラス)へと逆転したという人物。それを実現できたのは、徹底的にできる人の考え方や仕事の仕方を「完コピ」し、そのセオリーを教える側に回ったからこそ実現したからなのだそうです。

つまり本書には、著者が経験から身につけたノウハウが凝縮されているのです。30代をよりよいものにするために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Source: PHP研究所

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