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印南敦史の「毎日書評」

「敏感な人」のHSP気質を強みに変える、重要な2つのポイント

author 印南敦史
「敏感な人」のHSP気質を強みに変える、重要な2つのポイント
Photo: 印南敦史

HSP(Highly Sensitive Person)、すなわち“とても感受性が強く、敏感な人”に関する書籍は、以前にもご紹介したことがあります。

きょうご紹介する『「繊細さん」の4つの才能 世界最先端のHSP研究家が教える繊細さを強みに変えるヒント』(コートニー・マルケサーニ 著、和田美樹 訳、SBクリエイティブ)も、HSPに焦点を当てた一冊。

自身がHSPであり、最先端のHSP研究者でもある著者が、ここでは敏感さを強みに変えるヒントを明らかにしているのです。

本書で紹介する、HSPという気質は、実社会での生活に大きな影響を及ぼします。

その多大なる影響のせいで離婚に至ったり、強迫性障害を発症したりするケースもあります。

それでもなお、新たな手がかりや発見があるたびに、HSPのとらえどころのない部分が、私の好奇心を引きつけてやみません。(「Prologue」より)

本書は、HSPの“感じる才能”(エンパス、インテュイティブ、ビジョナリー、エクスプレッシブ)を解説したもの。それらについて理解してもらうことにより、HSPの人たちが日々直面する現実的課題と向き合っているわけです。

そのためPART1では、この4つの才能がどのようなものであるかが深く掘り下げられています。

そしてPART2で取り上げられているのが、自分の心と身体と魂を過剰な刺激から守れるようにするための総合的なプログラム。

きょうは後者に焦点を当て、第8章「繊細さを癒す技術② サプリメント・ハーブ・食べもの」のなかから2つのポイントをクローズアップしてみたいと思います。

内面を鍛える

HSPの敏感気質をなくすことは不可能。したがって、敏感な人が生きていくためには、内面を鍛える、つまりレジリエンス(回復力)を高める必要があるのだと著者は主張しています。

充実した人生を送り、安らぎを得るためには、自分(と自分の感覚)を守るように気をつけることが必要。そのため、自分に適した毎日のセルフケアの手法を見つけるべきであるということです。

私たちは、感覚過負荷でシャットダウンや引きこもりを起こすと、ただ生き延びるためだけに、身を潜め、世界を避けてしまいます。それでは、本当に生きているとは言えません。人生を生き、社会にかかわり、参加するのと、人生を恐れて逃げるのとでは、大きな違いがあります。感覚を修復・復活させ、自分の内側を見つめて力を蓄えることで、避けたい気もち、怖い気もちに変化を起こせます。(312〜313ページより)

なお、レジリエンスを鍛え、感覚の健全性とバランスを修復できる効果的なコンビネーションとして、著者は“安眠と、「リストラティブ」(疲労した身体、ストレスにさらされた精神を回復させる)な身体活動――ヨガ、ダンス、ウォーキング、ランニングなどを挙げています。

心拍数を上げ、大きな呼吸を必要とし、筋肉の緊張をゆるめる運動が効果的だということです。(312ページより)

HSPにこそ睡眠が必要なワケ

とはいえ、忙しすぎ、運動によるストレス軽減ができないというケースも珍しくはありません。

そして、そんなとき真っ先に犠牲になるのは睡眠時間ではないでしょうか? 思うようにエネルギーを発散できず、興奮している状態のままベッドに入ることになるため、眠れなくなってしまうわけです。

耐えがたい感覚を感じたときは、たいてい寝つけません。しかし、睡眠不足はぜひとも避けたいところです。

というのは、睡眠は、心身の健康を回復させる主要な手段の1つだからです。

心身をしっかり回復させるために必要な睡眠の深さ(と時間)は、4〜5回のレム睡眠――夢を見る睡眠ステージーーの周期が現れる程度です。これは、HSPにとってとくに重要です。(313〜314ページより)

睡眠が必要なときは、脳の覚醒機能が徐々に低下していくもの。

著者がここで問題視しているのは、その機能が阻害されて寝つけなくなったとき、睡眠薬に手を伸ばす人の多さです。少なくとも著者は、その手段はHSPの人にはおすすめできないと主張しています。

睡眠薬は、あくまでも表面的な問題しか解決してくれないのです。

薬によって誘発された睡眠では、HSPの人が必要とする神経の休息は得られません。

HSPの脳には、神経伝達物質の貯蔵が、薬ではなく、自然なかたちで補給される機会が必要です。(314ページより)

ちなみに睡眠と覚醒のサイクルにかかわる神経伝達物質として、ここではアデノシン、ノルエピネフリン、セロトニン、グルタミン酸塩、オレキシン、アセチルコリン、ヒスタミンが挙げられています。

人間の身体にはもともと、ホメオスタシス(恒常性)という心身を癒やして修復するための機能が備わっているもの。しかし敏感な人たちは、自分を追い込みすぎる気質であるため、正常な覚醒と睡眠のリズムが乱れ、この機能が働きにくくなりがち

でも“がんばりすぎ”は、とくに自分がHSPであることにまだ気づいていない人にとって厄介な問題。なぜならそういう人は、自分のストレスレベルに気づいていないから。そのため、ホメオスタシスに負荷をかけすぎる傾向があるというのです。

だからこそ、自分が敏感なのかどうかをまだ探求中の方は、安眠を確保するようにし、ストレスレベルを下げてみることが大切。そうすれば、元気が回復する深い眠りの効果をすぐに実感できるはずだそうです。(313ページより)

HSPの敏感気質は、これまでも、そしてこれからもずっと、自分自身にとっての最大の強みだと著者は断言しています。

いいかえれば敏感なおかげで、逆境に直面しても、思いやりや受容性、レジリエンス(立ちなおる力)を発揮できるということ。本書を参考にしながら、そんな持ち前の力を活用してみてはいかがでしょうか?

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Source: SBクリエイティブ

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