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印南敦史の「毎日書評」

「読書コンプレックス」をゲーム化して解消する方法

author 印南敦史
「読書コンプレックス」をゲーム化して解消する方法
Photo: 印南敦史

「社会に出てみて気がつけば、いつしか本を読まなくなっていた」

そんな方は、決して少なくないはず。しかも親になると、「本に興味を示さない子どもに読書をすすめたいけれど、そもそも自分が読めていない」という矛盾にぶつかってしまうことにもなります。

そこで僭越ながら、きょうは僕の新刊をご紹介しようと思います。『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』(印南敦史 著、星海社新書)がそれ。

“読めない親”と“読めない子ども”が“読める人”になれるように、読書をゲーム化してしまおうと提案している一冊です。

たしかに自分が読めていなければ、子どもに読書をすすめづらいもの。しかし、だとすれば大切なのは、「読書に肯定的になれない子どもたちと、思いを共有すること」ではないでしょうか?

「読めないものは読めないのだから」と現状を受け入れ、「では、どうすべきか」を子どもと一緒に考えてみればいいわけです。

ということで考えたのは、読書にまつわるもろもろのことをゲーム化するという手段。

読めないのは事実なのだから、まずはそれを認め、“読めないこと”をゲーム化して笑い飛ばし、“読む”という行為に結びつけようという、無理のありすぎる、しかし大きな意味もあるに違いないメソッドです。(「はじめにーー『読書が嫌い』というよりも」より)

「読めない自分」を認めることの大切さと、そうした“基本”に基づいたひとつのゲームをご紹介しましょう。

「読めない自分」を親子で認め合おう

“読める人”を目指すにあたり、最初に克服すべきは「読書コンプレックス」。そこで、まずは読書に関する僕の考え方をご紹介したいと思います。

・興味があっても読む気になれない →普通のこと

・読んでみたけど、なかなか進まない →普通のこと

・懸命に読むのに、内容が頭に入ってこない →よくあること

・読んだはしから忘れてしまう →よくあること

・人より劣っている気がする →考えすぎ

・読書の仕方が間違っている気がする →考えすぎ

・正しい読書の方法を知りたい →正解などない

(68〜69ページより)

どれもよく聞くお悩みですが、そもそも読書の仕方に正解はありません。少なくとも自分にとっては、“自分が心地よい読書法”こそがいちばん正しいのです。

しかも、実はみんな似たようなことで悩んでいるもの。読めないと自分だけが劣っていると考えがちですが、大人も子どもも多かれ少なかれ、読めなかったり、遅かったり、記憶できなかったりする自分にモヤモヤしているわけです。

だとすれば大切なのは、そんなモヤモヤを認め合い、みんなで共有すること。そうすれば気持ちが楽になり、読書のハードルもぐっと下がることになるからです。

また、「読めない自分」を親子で認め合うことも重要。大人だって完璧ではなく、「読めない」と悩んでいるのですから、「読めない自分」を親子で認め合うべきなのです。もちろん深刻にではなく、明るく、楽しみながら。(68ページより)

「読書の悪口」ゲーム

読書をつらく感じるのは、「読めない」という現実が自分を苦しめているから。いいかえれば、“読書”に嫌な思いをさせられているのです。だとすれば、そこから抜け出す必要があります。

そこでご提案したいのが、家族みんなで「“読書”の悪口」をいい合うこと。“読書”を悪者に仕立て上げ、「面倒くさい」「なかなか進まない」「つらい」など、自分を苦しめる読書の弊害、ストレスなどを吐き出し合うのです。

1:家族でテーブルを囲み、ジャンケンで順番を決める

2:ひとりずつ順番に、「“読書”の悪口」を吐き出す

3:書記を決め、記録をとっておく(録音も可)

4:最終的には、いちばんひどい悪口をいえた人が勝ち(優先的にアイスクリームを食べられるなどの“賞品”も用意)

(74ページより)

このゲームのポイントは、「読めないから困ってるんだよ。でも、読めないんだから仕方ないじゃん」というように開きなおること。そして、自分を読めない状態に追い詰めている“読書”に対する悪口を、できるだけ具体的に吐き出すわけです。

たとえば、こんな感じです。

「読む気はあるのに、いざ読もうとすると、その気にさせないんだよねー、あいつは。本当に迷惑」

「あー、わかるわかる。こっちがせっかく時間をつくってやってるのに、受け入れようとしないんだよな、あいつは」

「そうそう。だいたい、なにかというと難しい表現ばっかり使いたがって偉そうなんだよ」 (75ページより)

バカみたいですよね(笑)。でも、こうして無理にでも吐き出してしまえば、ため込んでおくべきではない無駄な思いを吐き出すことが可能。つまり、“デトックス”効果が期待できるわけです。

しかもデトックスすると、「では、これからどうするべきか」についてのヒントが見えてくるものです。上記の例で考えてみましょう。

1「読む気はあるのに、いざ読もうとすると、その気にさせないんだよねー、あいつは。本当に迷惑」

→ その気にさせない“読書”の悪意に負けたくない。そのための策を考えよう →音楽を流すとかお茶を用意するとか、読みたくなる環境を整えてみよう →家族でテーブルを囲んで読書をする時間をつくるのはどうだろう?

2「あー、わかるわかる。こっちがせっかく時間をつくってやってるのに、受け入れようとしないんだよな、あいつは」

→ せっかく時間をつくったのだから、集中できるように努力しよう

3「そうそう。だいたい、なにかというと難しい表現ばっかり使いたがって偉そうなんだよ」

→ 難しい本を読んで頓挫してしまうなら、いっそ読みやすい本からリスタートしてみよう

(76〜77ページより)

このように、(たとえそれが小さなものであったとしても)頭に浮かんだいろいろなアイデアを試してみて、それでもダメならまた考える。そんな“トライ&エラー”の精神で楽しめばいいのです。(71ページより)

これ以外も、本書では家族で気軽に楽しめる「読書ゲーム」をたくさんご紹介しています。それらは基本的に“ネタ”ですが、“ネタ”のなかに本質があるのも事実。ひいてはそれが、読書習慣につながっていく可能性もあるわけです。

だからこそ、競うことなく軽い気持ちで楽しんでいただければと思います。それは結果的に、家族のコミュニケーションをも濃密にしてくれるはずです。

Source: 星海社新書

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