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趣味を持てない人が一番恐れていること

author Sam Blum - Lifehacker US[原文]/訳:春野ユリ
趣味を持てない人が一番恐れていること
Image: Getty Images

正確な出所はほとんど知られていませんが、文学者のアイコンである今は亡きKurt Vonnegut(カート・ヴォネガット)の逸話とされる不思議な話があります。

ほとんど検証されていないその伝説的な話をご紹介します。

自分のコンフォートゾーンから飛び出す

Vonnegutは10代の頃、ある重要なことに気づきました。

15歳のとき考古学の発掘作業をしていると、ある考古学者から、「君は化石を発掘する以外に好きなことはあるの?」と質問されました。

Vonnegutは、バイオリン、聖歌隊、演劇などの課外活動をいくつも挙げましたが、スポーツのことは言いませんでした。考古学者がそれを指摘すると、「僕はどのスポーツも得意じゃないんです」とVonnegutは答えました。

それに対してその考古学者が口にした言葉が、Vonnegutの人生に対する考え方を変えることになりました。

後年、Vonnegutはそのときのことを思い出して次のように語っています。

私はそのとき彼が言った次の言葉が忘れられません。

得意だからやるということではないと思う。上手かろうがヘタだろうが、いろいろなスキルを使って素晴らしい経験をすべきだし、そのすべてが君にいろいろなことを教えてくれて、面白味のある人間にしてくれると思うよ。

それまで私にこんなことを言った人はいなかったので、とても感動しました。

この話の真偽は別として、Vonnegutが人生の後半で同じようなことを言っていたことからも、Vonnegut的な香りがしますし、自分のコンフォートゾーンを出て何かしようとしている人に当てはまります。

何かに秀でていないことは悪いことではなく、むしろ良いことなのだという考えは、何かを追求することは達成するための手段でなければならないという考えを打ち砕く助けになります。

なぜ常に達成しなければならないと感じるのか

素朴な疑問ですが、じっくり考えてみる価値はあると思います。

すぐに思い浮かぶ答えは、個人的なことであれ、キャリアに関連したことであれ、スポーツであれ、その以外のことであれ、達成するとマスメディアで崇拝され、称賛されるからです。

LinkedInには、自分のキャリアのマイルストーンで世間を驚かせようとするユーザーがひしめき合い、スポーツ選手も著名なCEOも称賛され、雑誌の見開きページでは、未来の企業リーダーの輝かしいサクセスストーリーが紹介されています。

高度な達成に対するこのような憧れは、人々が趣味を持つ際の感覚にも影響を与えます。アメリカでは、完璧主義のようなものが蔓延しています。

つまり、素人のゴルファーは、コースに行ってのんびりプレーするだけではなく、研究とトレーニングを重ねて、自分のテクニックを完璧にして最高の状態になることを望んでいます。

作家のTim Wuは2018年にこの問題の核心に迫り、趣味を持つことを恐れる人が多いのは、学習のつまずきを失敗と見なしていることが大きな原因だとして、New York Times:に次のように書いています。

しかし、これほど多くの人が趣味を持たないのは、もっと深い理由があると私は思うようになりました。

それは、苦手意識を持つことが怖いからです。というよりも、空いた時間にすることに実際に長けていなければならないという期待に怯えているのです。この期待自体が、人目を気にするパフォーマンス主義の時代の特徴です。

しかし、そんなふうに考える必要はありません。趣味で絶対的な才能を発揮できなくてがっかりしたら、Vonnegutの言葉を思い起こせばいいですし、少なくとも彼の10代の頃のエピソードを参考にしましょう。

苦手なことがあってもいい理由

努力することには確かにメリットがあります。達成感を感じたり、努力の末に上達したり熟練するという形で報われるのは良いことです。

しかし、Vonnegutの言葉によれば熟練したいという期待を捨てれば、驚くほど自由になれます。創造のために創造すること、書くために書くこと、試すために試すことは、すべて精神的な糧となる貴重なことです。

上手かろうが、下手だろうが、何かひとつ芸術活動をすることは魂を成長させる術となる。シャワーを浴びながら歌え。

ラジオを聴きながら踊れ。物語を語れ。友人に詩を書け。たとえ下手な詩でもいい。できる限り上手にやってみよう。大きな報酬を得ることができるから。あなたは何かを創造するはずだから。

何か新しいことを始めるのに躊躇している人や、絵や編み物、ギターのペンタトニック・スケールの弾き方などをマスターできずにお手上げになっている人は、興味があることはほどほどにできればいいのだと理解することが大切です。

なぜなら、それは、楽しむことを大事にして、柔軟に自分が楽なやり方にしていいことを理解することだからです。

ですから、上達できない自分に絶望するのではなく、なぜそれをしたいと思ったのか考えてみましょう。誰にとっても、新しい趣味を求めるのは、好奇心を満たし、楽しめる可能性があるからです。

本当に楽しいと思えることなら、上手い下手は関係ありません。


Source: New York Times, Book Riot, Vox, Media Center

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