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ジョブズにベゾス…。「カリスマ経営者」の時代は終わった

author Fast Company/訳:春野ユリ
ジョブズにベゾス…。「カリスマ経営者」の時代は終わった
Image: Shutterstock

多くの人は、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾスのような人物は唯一無二の逸材だと思っています。

それは、彼らが、類まれな先見性と高いエネルギーを兼ね備えた稀有な存在だからです。

しかし実際には、「唯一無二の天才」という概念は間違った思い込みに過ぎません。

彼らの強さは、単独の源泉から生まれたものではなく、集団的知性の力によって発展し、花開いたのです

会議で発言し、SNSを席巻し、(良くも悪くも)世界中の注目を集める著名なオピニオンリーダーたちの背後には、多くの人々が存在しています。

企業が次から次へと新たな課題に直面する今、1人のリーダーの知識や意見に頼っていては、ビジネスは立ち行かなくなっています。

個人の力には、限界がきている

Gartnerの報告書によると、今日行われているビジネス上の意思決定の65%は、2年前と比べて複雑さを増しており、より他者とのつながりや状況への依存度が高くなり、継続性も強まっています

また、回答者の半数以上(53%)が、自分が下した決定に関する説明責任がこれまで以上に期待されていると答えています。たった1人で、このような複雑な状況を克服することはできません。

ビジネス上の問題を解決するために集団の力を活用することが、企業のイノベーションと成長を促進する最も有効な方法の1つになるでしょう。

どんなに才能や創造性や個性に富んでいても、1人では何もできません。

今後、成功を収めるためには、リーダーは他者の集団的知性に頼り、データに基づいた意思決定を可能にする実用的な洞察力を強化しなければなりません

そのためには、リーダーは(考え方や人材の)多様性を受け入れ、ビジネスのプロセスを根本から見直し、ワークフローシステムをより良いものにして、さらに多くの人材を取り込む必要があります

ダイバーシティとインクルージョンは賢明な意思決定をもたらす

進化し続けるビジネスコミュニティの文化は、インクルージョンを強化する方向に向かっています

集団的知性とは、単に部屋に人を入れることではなく、組織に人を入れることであり、多くの人が今、そのことに気づいてきています。

Silicon Valley Bankの報告書によると、米国のスタートアップ企業の半数以上は、経営幹部や取締役会に女性が全くいません。

これは、こうしたスタートアップ企業が将来テクノロジーの巨大企業になると、特に問題になります。

しかし、ハイテク業界の老舗企業では、変化の兆しが見え始めています。

Adobe、Cisco Systems、Intel、Hewlett Packard Enterpriseなど、シリコンバレーの有力企業がダイバーシティとインクルージョンのためのCEOアクションという誓約書に署名しています

また、米国内の大手企業もこの活動に参加しています。

たとえば、Dell Technologiesでは、女性の採用、育成、勤続に力を入れており、全世界の社員の50%を女性が占めるようにするとともに、黒人/アフリカ系アメリカ人とヒスパニック系のチームメンバーを増員して、彼らが米国内の社員の25%、米国内の人事マネージャーの15%を占めるようにしています。

これにより、同社は集団的知性のより強固な基盤を構築し、多くの個人の考えや才能によって意思決定がなされる職場環境をつくることができるのです

ダイバーシティは、企業がより多くのことをより多くの概念、解決策、革新性を以て行なうことを可能にします。

他の企業も、既存の社員や入社が見込まれる社員を最大限に活用するために、独自の方法でダイバーシティに対して取り組んでかなければいけません。

ダイバーシティにより、1人1人がより賢く、より知的に考えることを求められます。多様な考え方を取り入れることで、集団的知性を獲得し、より賢明な意思決定を実現することができるのです

多様性に富んだチームやリーダーは顧客満足度を向上させる

ダイバーシティは、社員だけでなく、顧客や最終的な収益にも良い影響を与えます

ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、多様性のある経営陣は、多様性のない企業に比べて、9%高いEBITAマージンを達成していることがわかっています

また、国際労働機関が70カ国で約13,000社を対象に行った調査によると、半数以上(53%)の企業が、ジェンダー・ダイバーシティの取り組みがビジネスの成果を向上させることに同意しています。

ジェンダー・ダイバーシティを追跡調査している企業では、4分の3近くが20%の増益を報告しています。

これらは、ダイバーシティの力と、それによって生み出される集団的知性が、今日の厳しい環境に耐えうる柔軟な認知力を組織にもたらしていることを示しています

あらゆる形態のダイバーシティがないと、企業が達成できることは限られてしまいます。

ビジネスのスピードに対応するためには、ダイバーシティの発現を待つのではなく、積極的に多様な人材を獲得していく必要があります。

データへのアプローチの見直しとワークフローの再構築が鍵

組織の課題は、引き続き複雑化が進んでいます。

人材流出を防ぐ闘い(5月だけで360万人が退職)、人工知能(AI)の導入に追いつくという急務、予想を下回る売却益に直面して、企業は相当参っているように思えるかもしれません。

こうした障害を克服する唯一の方法は、社員の集団的知性を活用することです

集団的知性は、リアルタイムの最新情報に基づく継続的な知性により即時の行動を促す「アクティブ・インテリジェンス」の重要な促進要因の1つです。

疑問を持ち、データを活用し、社内の他の専門家の意見と組み合わせ、楽観的な一個人の思いつきに頼るのではなく効果的なプランを策定しましょう。

なぜ社員は退職したがるのでしょうか。AIをどのように活用すればいいのでしょうか。期待以上の結果を出すためにはどのようなデータが必要でしょうか。

企業は、集団的知性を活用するために、現在のデータの使い方とワークフローを見直す必要があります

改善すべき点を明らかにすることで、課題へのアプローチを再構築し、より多くの人材を参画させることができます。

しかし、それはチームの規模を拡大することではありません。

困難な決断や状況に直面した時に企業を導くことのできる多様な考えを確保することが重要なのです

集団としての力を企業の成長に活かす

これまでテック業界にはカリスマリーダーの人格崇拝が蔓延していましたが、これを払しょくしなければなりません。

組織の問題を解決するために多様な集団の力を活用することで、企業はどれほど困難な課題にも真っ向から効果的に取り組み、優れた成果を上げることができます

チームワークはデータによって強化されなければなりません。データは、誰もがより賢明な意思決定を行い、より強い組織を率いる力となります。

ダイバーシティとインクルージョンを採用して集団的知性を追求する企業は、多様性のある意見やアイデアから恩恵を受け、持続可能な成功への道を歩むことができるのです

Source: Smarter With Gartner, svb, ceoaction.com, DELL Technologies, BCG, ILO, U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS, accenture, EY

Originally published by Fast Company [原文

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