連載
特集
カテゴリー
タグ
メディア

印南敦史の「毎日書評」

「フロー・リーディング」で効率的に本を読む方法

author 印南敦史
「フロー・リーディング」で効率的に本を読む方法
Photo: 印南敦史

「遅読家」という切り口で本の読み方に関する書籍をダイヤモンド社から出したのは、5年半前の2016年2月のこと。予想以上に好評で、ただただ恐縮したものですが、このたび同書が文庫化されました。

遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(印南敦史 著、PHP文庫)がそれ。そこで手前味噌ながら、改めてこの本をご紹介させていただきたいと思います。

僕はいま書評家として、「ライフハッカー」を筆頭とする複数のサイトに、月60本近くの書評を寄稿しています。早いもので、この夏で9年目に突入しますが、その原点が「ライフハッカー」だったのです(だから、とても感謝しています)。

1カ月に読む本の数は約60冊以上になるので驚かれることもあるのですが、実をいうと僕も「遅読家」、すなわち本を読むのが遅い人間でした。

なのに、なぜたくさんの本を読めるようになったのか? 本書ではその秘密を明かしているわけですが、端的にいえばポイントは「発想の転換」です。

もちろん、相応のテクニックとかコツは必要なんですが、それ以前にまず「考え方」を変えれば、どんな人にも1日1冊ペースで本を読むための素地はつくれます。

なによりも、これができると読書がかなり楽になります。

「無理してがんばって読書している」という感覚がほとんどなくなるのです。(「はじめに」より)

そして、その核となっているのが、僕が提唱する「フロー・リーディング」というメソッド

音楽をどう聴いている?

みなさんは、音楽をいつ、どのように聴いているでしょうか? なかには「神経を集中させ、一音たりとも聴き逃すまい」と緊張しながら聴いているという方もいらっしゃるかもしれません。しかし多くの方はもっと自然に、その音楽を受け入れているのではないかと思います。

なぜこんな話を始めたかといえば、本書の目的は、「音楽を聴くときと同じような気持ちで本が読める」状態をつくっていくことだから。

リラックスしながら音楽を耳にしているとき、僕たちは細かいフレーズや旋律などを大量に「聴き逃して」いるはず。しかしそれでも、気になる曲は心のどこかに「引っかかる」ものです。

カフェで人と話をしているとき、BGMのことなんか気にかかっていなかったのに、ある特定の曲だけが妙に気になったりすることはありませんか?

それは自分のフックに、その曲が引っかかったからなのだと僕は考えています。別な表現を用いるなら、それは自分の気にかかる、自分にとって必要な曲だったということ。

たとえば僕はきのう、雑用をしながら映画『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』のサウンドトラック・アルバム『Fast & Furious 9: The Fast Saga』を聴きました(関係ありませんけど、ジャケットのデザインがひどい)。

この映画は(シリーズも含め)観たことがないのですが、アルバムには前から好きだったJP THE WAVYという日本のラッパーが参加しているので、ちょっと気になったのです。

つまり目的はWAVYの曲だけだったのですが、聴き流していたら他にも何曲かが気になり、思わず検索してみたりしていました。そんなことからもわかるように、「流している」つもりでも引っかかるべきものは「引っかかる」のです。

ここには重要なポイントがあります。たとえどんなに音楽を聞き流していたのだとしても、やはり「残る音」はあるはずだということ。

メロディなのかリズムなのか、はたまた歌詞なのかはわかりませんが、音楽は僕らの心になにかしらの作用を及ぼして、なにかを残していくものなのです。(44〜45ページより)

完璧に聴き取ることだけが音楽を聴く目的ではなく、なにかが「引っかかる」ことこそが大切だということ。そして、同じことは読書にもいえるわけです。それが、「フロー・リーディング」の考え方。(42ページより)

「ため込まない」フロー・リーディングとは?

では、「フロー・リーディング」とはどのようなものでしょうか?

「フロー(flow)」とは「流れる」という意味の英語です。

簡単にいえば、フロー・リーディングとは、「その本に書かれた内容が、自分の内部を“流れていく”ことに価値を見出す読書法」です。(49ページより)

つまり、読んでいる本の内容を頭のなかに「流す」という考え方です。

一般的には、本に書かれていることを頭のなかに貯蔵する「ストック」型の読書法が用いられているはずです。その内容を少しでも多く(可能であるならすべてを)、頭に収めようと考えるわけです。

しかし現実的に、読んだ本の内容の大半を記憶することなど不可能。どれだけじっくり読んだとしても、忘れることは忘れてしまうのです。そういうときには「読めない自分」「忘れてしまう自分」を責めてしまいがちでもありますが、そもそも、それが普通の状態。

それに、多くのことを忘れたとしても、忘れるべきでない大切なことはしっかり記憶に残っているもの。なぜならそれは、「自分にとって必要な部分」だから。

カフェで「気になる曲」だけが心に残るように、本のなかの気になる部分、必要な部分は、必然的に記憶に残るものなのです。

したがって、「どれだけ覚えたか」ではなく、「どれだけ読んだか」を大切にすべきだと僕は考えているわけです。

ですから、最初に時間を区切り、その時間内に味わえる価値だけに集中するほうがいいかもしれません。

「熟読の呪縛」に縛られている人はぜひ、「10日間のダラダラ読みより、60分間のパラパラ読み」を意識してみてください。読書体験のクオリティが一気に高まるはずです。(68ページより)

意外に思われるかもしれませんが、1時間ですばやく読んだほうが、本のポイントがしっかりと記憶に残っていることが多いのです。したがって本書では、「すばやく読むための方法」もご提案しています。(44ページより)

お伝えしたかったのは、「読書は決して難しいものではなく、心地よいものである」ということ。

「本は好きなのに、読むのが遅くなってしまった」「本を読みたいけれど、読む自信がない」など、読書にまつわる悩みをお持ちの方は、ぜひ手に取っていただきたいと思います。

なお文庫版には、天狼院書店店主の三浦崇典さんとの特別対談も収録されています。こちらも充実した内容ですよ。

>> Kindle Unlimited 夏のキャンペーン〜いまだけ2ヵ月99円で読み放題!

Source: PHP文庫

swiper-button-prev
swiper-button-next