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ハイブリッド勤務の時代。会社と社員の「長期的な幸せ」に必要なことは?

author Fast Company/訳:春野ユリ
ハイブリッド勤務の時代。会社と社員の「長期的な幸せ」に必要なことは?
Image: Shutterstock

今年の夏秋には、少なくとも就業日の何割かは、社員をオフィスに出社させる企業がさらに増加するのではないでしょうか。

在宅と出社の両方を取り入れたハイブリッド勤務をする人は増えてきていますが、ワクチン接種率が頭打ちになっていることから、新型コロナウイルスに関する安全性については多くの議論が交わされてきました。

また、オフィスに復帰することに関してマネージャーと社員の間にある明らかな熱量の差についても同様に、さまざまな意見が噴出しました。

もちろん、こうした議論の多くの中心となるのは、生産性についてであり、多くの人が期待するようになった柔軟性を維持しつつ、社員の生産性を最大化する働き方を考案する方法についてです。

ハイブリッド勤務をするなかで浮上する問題

社員が決まった日だけ出社する場合、オフィスで行なうべきタスクや役割と、自宅で「ヘッドフォンをつけて集中して」行なうべき仕事を、どのように区別すればいいのでしょうか

同僚と一緒にいないとできないプロジェクトはどのようなプロジェクトでしょうか。社員の協調を推進するためには、オフィスをどのように改築すべきでしょうか

そして、最後になりますが、チームにリモートワークしかしないメンバーがいる場合、マネージャーはどうすれば、オフィスで働く人たちが不当に有利にならないようにすることができるでしょうか

通信ソフトウェア会社RingCentralのグローバルユーザーエクスペリエンス・デザイン・リサーチ担当副社長を務めるMichael Peacheyさんは言います。

昨年の3月には、誰もがリモートワークをしてZoomで会議をするという同じ土俵にいました

誰もが自宅にいなければならなかったので、公平でした。

しかし、このハイブリッドの空間に戻ってきた今、Zoomだけでは不十分であり、こうしたツールをどのように使用するか考える必要があります

ハイブリッド勤務を推進する際に念頭におくべきことをいくつかご紹介します。

「在宅向き」「オフィス向き」に、タスクを分類

マネージャーから平日何日かオフィスに出勤するように指示される社員は、どのタスクが在宅勤務に適しているか、どのタスクがオフィスで同僚と協力できる環境に適しているかを考えることが重要です

自分のタスクを時間をかけてよく理解した上で、自宅とオフィスという2つのスペースのどちらで行なうか、優先順位を付けるということです。

一般的に、メールのチェック、会議のスケジュール設定、今後の作業の計画などの管理タスクは自宅でできると思います

とADPのビジネス人類学者であるMartha Birdさんは言います。

一方、会議など、他者からのインプットが必須なタスクや対面の方が簡単にできるタスクは、オフィスに出勤する日にすることにすれば良いでしょう

テクノロジーや非同期通信が広く使用されているので、社員は直接会うことのメリットを理解できないかもしれません。

Birdさんは、職場に物理的に戻ることには、特に若い社員には価値があると言います。在宅勤務中は自分でやることを決めて取り組むため、仕事中に同僚との交流があまりないからです。

オフィスにいてこそ得られる五感を通した感覚的な体験をデジタルで十分に再現することはできないと思います

誰と誰が隣同士に座るか、共有スペースでどのように交流しているかなど、通常あって当然だと思っている共通ルールや普段の行動もあるでしょう

Birdさんは、チームの絆とクリエイティブな思考を促進するために有効な選択肢の1つとして年に1度開催されるサミットに、チームが集まるのを毎年見ています。

対面でチームが関わり合う際の迫力は相変わらず重要です

クリエイティブな問題解決と議論を行なう際に、みんなで同じ空間に集まれば、素晴らしくて活気に満ちた何かが生じることはおわかりでしょう。

場所ではなく「実際にこなした仕事量」を重視

社員の経験は、経営幹部にとってますます最優先事項になっています。

この数週間、ハイブリッド式の働き方について議論が交わされることが増えているなかで、企業は主に、どの社員がオフィスにいるべきか、何時間ぐらい滞在するかなどの方針を考えることに重きを置いているそうです。

しかしBirdさんは、社員の長期的な幸福度と生産性の向上のためにも、実際にこなした仕事量に重点を置くべきだと言います。

誰にでもその人固有の強みとプレッシャーがあることを意識することが本当に重要です。在宅勤務で何をすれば生産性が最も高まるかは、(その人の)家庭の状況に大いに左右されます。

社員は自分の要望にマネージャーに耳を傾けているかについて、確認する必要があります

パンデミックの最中の経験は社員によって異なり、新しい暮らし方を見つけた人もいれば、トラウマから立ち直ろうとしている人もいます。

そして、社員は仕事と個人的な要求とのバランスを取る必要もあります

Peacheyさんによると、オフィス勤務に戻る人が増えるにつれて、社員は3つのグループに分かれる可能性が高いそう。

1つ目はオフィスに戻りたくてたまらないグループ、2つ目はオフィスに戻ることを恐れるグループ、そして最後は、どちらでも構わないグループです。

個々の勤務形態を尊重する職場にするために

社員が取り残されるのを防ぐために、マネージャーは社員がどのようにして柔軟に仕事環境の変化に対応するかをはっきりと把握しておく必要があります

「最初から、そして採用の時点から、すべての社員が会社への所属意識を持つ企業文化にしてください」とBirdさんは言います。

リーダーは、柔軟性をはっきりと促進する新しいルールを強調することに加え、「各社員がオフィスにいようといなかろうと、昇進の機会は平等にあることも示さなければなりません

オフィスで勤務する社員は、リモートワークのメンバーがいるチームで働くことに適応する必要があり、その逆も同様です。

このハイブリッド形式は、オフィス、特に共同スペースを優先していたオープンオフィスの設計の見直しにつながるかもしれません。

オフィスを閉鎖的にするのではなく、コラボレーションスペースをたくさんつくるということです。

ワークステーションやワークスペースを使いたい時に予約して利用するホテリングを取り入れると、多かれ少なかれ永久にリモートワークをする社員が出てきます。

それがきっかけで、社員が集まって打ち合わせなどをする部屋とコラボレーションスペースをつくることになるかもしれません。

Peacheyさんは、もし自分がハイブリッド式勤務用の新しいオフィスを設計するなら、ヘッドフォンを使用したり、深く集中して作業するための専用エリアをつくるそうです。

さらに、社員がオフィスにますます依存しなくなりリモートワークへと進化するにつれて、企業は本社に重きを置く代わりに、サテライトオフィスのような、より分散化された構造を選択する可能性があるとBirdさんは言っています。

Originally published by Fast Company [原文

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