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集中の超プロ・井上一鷹さんが語る「夢中で働く自分」を取り戻す方法

author ライフハッカー[日本版]編集部 齊藤
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集中の超プロ・井上一鷹さんが語る「夢中で働く自分」を取り戻す方法
Photo: ライフハッカー編集部

ライフハッカー[日本版]とBOOK LAB TOKYOがコラボするトークイベント「BOOK LAB TALK」。

6月18日(金)に開催された第6回目のゲストは、『深い集中を取り戻せ――集中の超プロがたどり着いた、ハックより瞑想より大事なこと』(ダイヤモンド社)を出版された株式会社Think Lab 取締役の井上一鷹さん。

今こそ「深い集中」を

井上さんが開発運営に携わっている「Think Lab」では、集中力を測定できるメガネ型デバイス「JINS MEME」の研究成果を用い、「世界で一番集中できる場所」をコンセプトにワークスペースの開発を行なっています。

研究を通じて、現代のオフィスや働き方では集中環境を作るのは難しいことがわかってきました。

オフィスは、コミュニケーションを誘発させるように設計されていることが多く、1人きりになって集中する機会をつくるのは難しい。

また、手軽なチャットツールの導入で、スマートフォンに頻繁に通知が届き、どこにいても作業途中で集中が削がれてしまうことも、大きな課題だと井上さんは言います。

一方最近では、「集中から抜け出す方法」についての相談も増えているのだとか。

これはコロナ禍で在宅勤務の機会が増え、「衣食住+仕事」を同じ空間で行うことで、オンオフの切り替えが難しくなっていることが要因のよう。

働く人々が集中できていないという事実を目の当たりにした井上さんは、密度の高い集中を実現するためには何が必要なのかを研究していきました。

「深い集中」に大切な4つのポイント

井上さんは、「集中」を「時間の密度を上げること」だと定義し、大切なポイントを以下の4つだと分析しています。

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井上さん登壇資料より。
  1. 立ち上げ速度:準備とルーティン、嗅覚/触覚刺激
  2. 深さ:視覚/聴覚/アダプティブラーニング
  3. 持続性:姿勢/CO2濃度/体調管理/ポモドーロ
  4. 抜け出す速度:嗅覚/触覚刺激

集中を要素分解すると上記のようになります。

まずは作業前に、仕事の前にいつも行うルーティンなどをして集中の準備をします。ルーティンをきっかけに始まった集中は次第に深さを増し、持続的な集中につながっていくというわけです。

また、在宅勤務が増えている昨今は持続の先にある「抜け出す速度」も重要になってきています。

研究結果によると、集中に入るまでに必要な時間は、23分だとのこと。深い集中に入るためには、意識的に環境を整え、オンオフを切り替える必要があるのです。

切り替えに有効で、最も簡単な方法は五感を刺激することだと井上さん。

「この香りを嗅いだら○○をする」とルールを決めたり、ワークスペースの照明を白色光にするなどすると、集中に入りやすくなります。

また、集中力を持続させるためには、観葉植物を視界に入る場所に置くのもおすすめです。(井上さん)

集中に入る時と抜け出す時には、嗅覚・触覚刺激が特に効果的。

仕事をしていると目や耳から多くの情報量を受け取るため、切り替え時には視覚・聴覚以外(嗅覚・触覚刺激など)のルーティンを決めておくと、スムーズにはじめられるそうです。

「迷う時間」と「迷わず進む時間」を決める

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Photo: ライフハッカー編集部

集中する上でさらに大切なのが、「悩む時間(Why, What)」と「作業する時間(How)」をしっかり分けること

Why, Whatは直感的な要素が多く、Howはロジカル要素が多いからこそ、2つは同時に考えることが難しいのだと井上さんは言います。

以前、若手とベテランのデザイナーを対象にデータを集めたところ、両者では集中力の高さに大きな違いが見られたそう。

ベテランのデザイナーは、初めは集中力が低いのですが、その後は継続して集中しているケースが多く見られました。

話を聞くと、集中が安定していない間は、お客さんが何を求めているか、目的は何かをじっくり考える時間だったそうです。

つまり、ベテランデザイナーは、WhyとWhatを明確化し、迷いがなくなってからHowに取りかかるため、そこからの集中が持続して高くなることがわかりました。

一方で、経験が浅い若手デザイナーは、Why・What・Howを行き来して作業を進めるため、集中の波がなかなか安定しませんでした。(井上さん)

このことからもわかるように、「悩む時間(Why, What)」と「作業する時間(How)」を分ける意識を持つことが大切なのです。

また、直感的な思考を活発にさせるためには、「ゆらぎ」「ゆとり」「ゆるし」の3つも欠かせないと井上さん。

「ゆらぎ」は五感刺激、「ゆとり」は時間的な余裕。そして「ゆるし」は、心理的安全性です。

例えば、アイデア出しなど直感的思考を使う作業の場合は、成果物が見えづらいためサボっていると思われるのではないかと不安に思うこともありますが、これが集中に入りにくい原因になります。

アイデアを考えている時間をチーム間でリスペクトし合い、その間は意識的に話しかけないようにするなど、仕事環境での心理的安全性は担保したいところです。(井上さん)

まずできることとして、カレンダーで直感的な時間・論理的な時間・作業の時間をわけて確保するのもおすすめだそう。

井上さんは、金曜の夕方に、タスクリストを消化していく作業の時間をとるようにしているのだとか。そうすることで、他の時間に余計な物事を考えることが減ったと言います。

「集中」から「夢中」へ

さまざまな事象を用いて、「深い集中」について教えてくださった井上さんですが、集中だけでは限界があるとも言います。

とても集中力が高い人は、仕事をやりたくてしている、夢中な状態なんです。

そもそも「集中」というのは、多くの方が幼い頃「集中しなさい」と言われたことがあるように、受動的に使われることが多い言葉です。

仕事にやりがいを感じ、やりたいことをやっている人は能動的に集中している。夢中になっている人には、集中だけでは追いつかない限界点のようなものがあります。

集中するためのメソッドはありますが、もしかしたら、まずは自分が「夢中」になれる条件(環境・仕事内容)について考えるのが先なのかもしれません。(井上さん)

自分の「夢中」が何かを知る(=やりがいを見つける)作業が、本質的集中に繋がると井上さん。

やりがいについて深く考える上では、他人に自分の仕事についてポジティブに語ってみることも効果的です。

自分の仕事を言葉で説明することで、新たな側面に気づくこともあります。どんな仕事にもポジティブな語り口があるので、それを見つけるだけで次の日からの仕事を夢中にできると思います。(井上さん)

やりがいを言語化しておくと、自分の価値観や生きがいを見直せるだけでなく、自分の気持ちを奮い立たせる「おまもり」のような役目も果たしてくれそうです。

集中の先にある夢中を見つけること。“本物の深い集中”の極意はどうやらそこにあるようです。

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「集中とは決断を楽しむこと」と締めくくった井上さん。
Photo: ライフハッカー編集部

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