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印南敦史の「毎日書評」

お金で損をしないために知っておきたい2つの知識

author 印南敦史
お金で損をしないために知っておきたい2つの知識
Photo: 印南敦史

らくがきファイナンス 人生で損しない選択をするためのお金の知識』(ティナ・ヘイ 著、川添節子 訳、翔泳社)の著者はロサンゼルス出身の起業家で、紙ナプキンに描いたイラストで金融知識を学ぶウェブサイト「Napkin Finance」の創設者/CEO。

同サイトのコンセプトにも明らかなとおり、多くの人がお金や金融の知識について自信を持てるように、わかりやすく説明する教育プラットフォームを提供している人物です。

「適切な教材やツールがあれば、誰でもお金のことについてよりよい判断ができるようになる」という信念に基づいて書かれた本書は、貯蓄、株式、起業の仕方、インフレ、ブロックチェーン、財務諸表、ゲーム理論など広範な55のトピックスを、イラストと文章によって解説した書籍。ふんだんに盛り込まれたイラストのみならず、軽妙な文体もまた魅力的です。

きょうは第11章「人に差をつける」のなかから、「72の法則」と「慈善活動」に焦点を当ててみたいと思います。

72の法則

72の法則とは、「ある金利で元本がどのくらいの期間で倍になるか」を簡単に計算する簡単な方法。

72を年利で割るだけ。

たとえば、年利7%だったとしたら、元本が2倍になるまでは 72/7=10.3年。 年利2%なら、2倍になるまで 72/2=36年かかる(長すぎる!)。

(213ページより)

72の法則を使えば、元本がどのくらいで増えるかが簡単にわかりますが、正確ではないことに注意すべき。きちんとした答えを出そうとすると、もう少し複雑な計算が必要になるのです(計算できるサイトがあるそう)。しかも現実の世界では、長期になれば利率はたいてい変動します。

分母の数を大きくすると、答えの数字は小さくなる。つまり自分のお金を早く倍にしたかったら、高い金利を探せばいいというのが基本の考え方です。

お金を増やすコツには、たとえば次のようなものがあります。

・しばらく使うあてのないお金を株式に投資しよう。10%で運用できれば、7年ごとに倍になる計算になる。

・利益を生まない口座は避けよう。利益がつかない口座の残高は必要最低限にしよう。いますぐ使わない緊急用資金もできるだけ利率の高い口座に入れよう。

・お金は放っておこう。72の法則は、複利で増えるのを前提としている。毎年増えた分を引き出して使っていたら、いつまでたっても倍にはならない。

(213ページより)

72の法則を見つけたのはアインシュタインだといわれることが多いのですが、本当はイタリアの数学者ルカ・パチョーリが1400年代後半に発見したようです。ちなみにパチョーリは、近代会計学の父ともいわれる人物。

ここがポイント ・72の法則とは、金利を使って元本が倍になるまでのおおよその期間を把握するための簡単な方法。

・元本を早く倍にするために、株式投資も含めて、できるだけ高い利回りを探そう。それから安易に引き出さないようにしよう。

(214ページより)

「72の法則を知っていれば貯金が増える。ドーナツを食べれば皮下脂肪が増える」と著者。(212ページより)

慈善活動

著者によれば、慈善活動とは恩返し。お金でもモノでも時間でも労力でも、とにかく自分が持っているものを、助けを必要としている人に贈ることです。

税務上の優遇措置を求めて行う人もいれば、そこに自分の人生にとっての意味や人とのつながりを見いだす人も。慈善活動を通じて人を助けたいなら、その方法は多種多様です。

・自分の近くにいるお金に困っている人を助ける。

・オンラインで寄付する。

・非営利団体に、お金、缶詰、品物、時間を提供する。

・自ら非営利団体を立ち上げて、誰も手をつけていない問題に取り組む。

・投資をする時に、収益を伸ばしているだけではなく、社会や地球に貢献している投資先を選ぶ。

(220ページより)

活動するときの視点としては、「人権」「教育」「環境」「健康」「貧困」など、特定の問題に取り組んでいる団体を支援することが大切。また、自分の支援をどこまで届けたいかという視点で考えることも可能。

ギビング・プレッジは、ウォーレン・バフェットとゲイツ夫妻がはじめた取り組みで、世界の富豪が財産の大半を寄付することを誓約したもの。世界中で約200人の富豪が宣誓しているそうです。

男性より女性のほうが寄付する人が多く、平均寄付額も高いのだとか。事業を通じて慈善活動を行う企業も。たとえばメガネのワービー・パーカーやシューズのトムスは、商品が1つ売れるたびに商品を1つ寄付しているといいます。

ここがポイント ・慈善活動とは、自分のお金、時間、専門知識を人に渡すこと。

・与える方法はたくさんある。対象分野や支援を届けたい範囲によって変わってくるだろう。

・寄付によって税務上の優遇措置が受けられる可能性がある。しかし、控除を受けるには決まりや制限がある。

(222ページより)

著者いわく「無料食堂でボランティアをする人の写真に「いいね」を押しても、それは慈善活動じゃないから!」。(219ページより)

「気になっていたけれど、聞くに聞けない」というようなことも含め、あらゆることがらを平易に解説した秀作。手元に置いておけば、なにかと役に立ってくれそうです。

Source: 翔泳社

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