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印南敦史の「毎日書評」

接客のプロが教える、相手が望むことを察知するコツ

author 印南敦史
接客のプロが教える、相手が望むことを察知するコツ
Photo: 印南敦史

新型コロナウイルスの影響で、接客業は変化の渦中にあると指摘するのは、『リピート率80% 心をつかむ接客術』(仲亀 彩 著、ぱる出版)の著者。

インターネット販売や、アプリを使った宅配サービスが普及して対面で接客する機会が減ったこともあり、今後も接客業の在り方は大きく変わっていくというのです。

今までと同じことを同じようにしているだけでお客様が来てくれる時代は、もう終わりを迎えています。

私は、これからの対面の接客業は、お客様に「あなたからサービスを受けたい」という気持ちをつくり出せるかどうかにかかっていると思います。

それには、今の接客で何が足りないのか、何が必要なのかを考えてみる必要があります。本書には、そのためのヒントを詰め込みました。(「はじめに」より)

著者は、15歳からアルバイトで接客業をスタートし、以後もさまざまな業種でのべ15万人に対して接客してきたという経験の持ち主。現在は外資系一流ホテルの鉄板焼きレストランでシェフを務めており、何年ものあいだ、指名・リピート率No.1を維持しているのだそうです。

と聞くと華やかそうにも思えますが、幼いころから人見知りで、いまも初めて会う人には緊張してしまうのだとか。

しかし接客業のおかげで、仕事のときは変わることができるのだといいます。それは、お客様に対してできることを考え、行動しているから。

つまり本書では実際の経験に基づき、お客様に「あなたからサービスを受けたい」と思ってもらえるために必要だと考えることを明らかにしているのです。

きょうは第2章「お客様を知って自分のレベルを上げるコツ」のなかから、「お客様の言葉を『聞くこと』に焦点をおく」を確認してみることにしましょう。

お客様のことばを「聞くこと」に焦点をおく

お客様を知るためには、そのことば・話を聞くことが重要。しかし、お客様のことばをそのまま受け取るだけではよくないといいます。

機械的に「なにがほしいか」「どうしたいか」「どうなりたいか」だけに注意して聞いていると、お客様のことばのなかにある具体的なキーワードしか聞き取れなくなるというのです。とくに、忙しいときにはそうなってしまいがち。

だとすれば、どうしたらよいのでしょうか? この問いについて著者は、お客様のことばから、お客様が本当に求めることを探る必要があると答えています。

お客様の話すことばには、たとえそれが短いことばであったとしても、情報がたくさん詰まっているというのです。

たとえば、「今日は暑いから、冷たいアイスコーヒーが飲みたい」という言葉には、

・暑いと思っている

・早くアイスコーヒーを飲みたい

という情報が詰まっています。(49ページより)

だとすればできることは、キンキンに冷えたアイスコーヒーを、できるだけ早く提供すること。そしてお客様が飲んでいるあいだに、暑くないか尋ね、必要ならクーラーを強めたり、風通しをよくしたりすること。

そのように、お客様のことばのキーワードを抽象的に捉えることによって、“自分がどんなことをすればいいか”が具体的に見えてくるということです。(48ページより)

ことばの捉え方に関する3つのケース

さらに著者は、ことばひとつひとつをどう捉えるかについて、3つの例を挙げて解説しています。

【例1】

「僕は夏までにシックスパックになりたいんです」というお客様がジムに来た場合。

このように考え、行動することができます。

・ハードな運動にも挑戦する覚悟があるかもしれないと推測する

・現場のお客様の体力レベルを測定する

・自分が考えたトレーニングメニューとプランを提示する

・夏に何があるか、それとなく聞いて、モチベーションを保つのに役立てる

(50ページより)

ことばを聞き流すだけだとしたら、「シックスパックになりたいのか」と感じるだけで終わってしまうかも。しかし、このように考えれば“できること”“すべきこと”が見えてくるわけです。

【例2】

「肌を生まれ変わらせて、彼氏が欲しいんです」というお客様がエステに来た場合。

・肌問題で、過去に恋愛のトラブルがあったかもしれないと推測する

・肌を綺麗にすることで自信を持ってもらえるようなサービスを提供する

(50ページより)

彼氏がほしいという“目的”について、一歩踏み込んで考えてみれば、望みがより明確になるということ。

【例3】

「(携帯をいじりながら)あ、ハンバーグで」と注文されるお客様がレストランに来た場合。

・誰かと連絡を取り合っている最中なのかもしれないと想像する

・店員とコミュニケーションを取りたくない人なのかもしれないと考える

・説明を最小限にして邪魔をしないようにする

(50〜51ページより)

イラッとしがちな状況でも、いろいろなことを考えることができるわけです。

お客様のことばには、喜んでもらうための接客のヒントがたくさん詰まっていると著者はいいます。だからこそ、どんなに短いことばであったとしても、そこから“お客様が喜びそうなこと”を想像して実行していくべきだとも。

たとえそれが間違っていたとしても、それはそれでいいそうです。なぜならそれは、“お客様の求める接客”を自分で考えた結果だから。

そうした経験が増えることによって、お客様が本当に求めることをどんどん見つけやすくなるということです。(49ページより)

ただ本を読むだけでなく、実際に活用し、学んだことを現場で実践することでしか人は変わらないと著者。そういう意味でも、本書に書かれていることをひとつでも取り入れてみる。そこから、道は開けていくのではないでしょうか。

Source: ぱる出版

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