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印南敦史の「毎日書評」

仕事で「コミットメント力を高める」ための2つのポイント

author 印南敦史
仕事で「コミットメント力を高める」ための2つのポイント
Photo: 印南敦史

図解 コンサル一年目が学ぶこと』(大石哲之 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、2014年に刊行され10万部突破のベストセラーとなった同名書籍の図解版。簡潔な解説にビジュアル要素が加わったため、より読みやすくなったわけです。

なお基本的なコンセプトについては、著者が次のように述べています。

本書は、社会人一年目からベテランまで普遍的に役立つスキルを身につけてもらいたい、それも、一過性ではなく、何十年も生き続けるスキルを身につけてもらいたいと思って書きました。

決して、コンサルティング会社に勤める人のためだけのものではありません。(「はじめに」より)

にもかかわらず「コンサル一年目が学ぶこと」をテーマに掲げているのは、外資系コンサルティング会社の出身者が、業界や職種を問わずさまざまな場所で活躍しているから。

つまり、そういった方々がコンサルタント時代に学んだことのなかに、業種の垣根を超えて広く応用できる“普遍的な仕事力”が含まれているという考え方に基づいているわけです。

きょうは第4章「プロフェッショナル・ビジネスマインド」のなかから、「コミットメント力」についての考え方を抜き出してみたいと思います。

コミットメント力を学ぶ

「コミットメント(commitment) 」は“献身”を意味しますが、仕事の現場においては「約束したことを必ずやり遂げてくること」として用いられることが多いはず。約束した以上のものを生み出すことが信用につながり、次のチャンスを広げるということです。

そんなコミットメントについて語るにあたり、著者はとある新人研修の話を引き合いに出しています。

その研修では、とても難しく、かつ期限に間に合いそうにない大量の課題が与えられたというのです。

あるコンサルタントは、とにかく必死に努力してなんとか課題を間に合わせました。

別のコンサルタントは、自分の実力ではどうにもならない部分があったので、人に聞きました。それだけではなく、なんと、一部は他人に頼んで代理でやってもらいました。

その結果、自分では全部できなかったけれども、ちゃんと期日に、課題を完成させました。(196ページより)

このふたりの評価は「同じ」で、後者がダメだったという評価にはならなかったそうです。

重要なポイントは、約束を果たすにあたり、「当人たちが非力だった場合にはどうするのか」という点。

著者によれば、コミットメントの観点では、クライアントを起点に考えるのだそうです。

ですから、自分たちで手に負えないと判断したなら、ヘルプを呼ぶことが正解になります。

極論を言えば、代わりに誰かにやってもらってそれをそのまま提出して間に合わせてもよいのです。(196ページより)

なぜなら、責任はクライアントに対して発生しているものだから。コミットメントする対象は「がんばること」ではなく、常に「クライアントとの約束」だということです。(194ページより)

コミットメントの高め方

著者はここで、コミットメント力が高い人に共通する2つのポイントを提示しています。

(1)仕事内容に納得している

コンサルティング会社でみなコミットメント力が高いのは、誰もがコンサルティングがやりたくて入ってきているからだそう。

もともと独立する人も多いコンサルティング会社には、定年までいようとか、安定した仕事としてしがみつこうという目的で入ってくる人はおらず、基本的に自立しているというのです。

つまり、組織としてのコンサルティング会社に入りたかったからではなく、職業としてコンサルティングをやりたいから入社してきたということ。

自分が望んで、納得してやりたいと思って仕事を選んでいるからこそ、仕事が楽しくて仕方がないというわけです。

(2)コミットメントが高い組織にいる

もうひとつは、コミットメントの高い組織にいること。まわりの人のコミットメントが高い組織にいれば、自然とそれに感化され、強いコミットメントが醸成されていくわけです。

コンサルティング会社やベンチャー企業に多いケースですが、とはいえそういう会社は珍しくもあるでしょう。多くの会社では、コミットメントが高い人と低い人が混在しており、温度差があるからです。

したがってそのような環境に身を置いている場合は、コミットメントの低い人の影響をなるべく避けることが大切。なぜならコミットメントの低い人の影響を若い段階で受けてしまうと、それが染みついてしまいがちだから。

若いうちは配置を選べないという事情もあるでしょうが、そんなときは直接の上司でなくとも、この人だと思った人に頼んでメンターになってもらうという手もあります。

いずれにしても、コミットメントが高い人になるべく近づいて、影響を受けられる環境をつくることが重要だということです。(198ページより)

仕事に関するスキルをまとめた書籍は少なくありませんが、そんななかで本書が突出しているのは、多くのビジネスパーソンの体験談がもとになっていること。そのため、より実践的な内容になっているのです。

「話す技術」から「ビジネスマインド」まで、フォローされている領域も広範なので、きっと役に立つのではないかと思います。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

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