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印南敦史の「毎日書評」

賢い人生を送るために身につけるべき「知恵」と「視点」

author 印南敦史
賢い人生を送るために身につけるべき「知恵」と「視点」
Photo: 印南敦史

私は、知恵というのは自分にとっての真実であり、考え方の土台、あるいは人生の紆余曲折を切り抜ける際に立ち戻るべき視点だと思っている。

決断をすべき場面、人生の交差点で道を選ぶべき場面において、真実は思考をクリアーにしてくれるだけでなく、次に取るべきステップを次の一呼吸と同じくらい明白なものにしてくれる。(16ページより)

どうしようもない不安を乗り越えるとんでもなく賢い人生の送り方 Wise as Fu*k』(ゲイリー・ジョン・ビショップ 著、高崎拓哉 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、こう主張しています。

以前ご紹介した『思い込みを捨てて本当の人生を取り戻そう stop doing that sh*t』などの著作を持つ、ベストセラー作家。

その最新刊である本書では、「知恵」をテーマとして掲げ、“自分自身に本当の変化をもたらす学び”とはどういうものかを解説しているのだそうです。

この本を通じて、私はあなたに、自分のこれまでの行動を振り返ってよく考えることを求めていく。

あなたが言い訳で塗り固めてきたものに疑問を突きつけ、居心地の悪いちょっとしたピンチに追い込む。

これまであまり考えてこなかった、場合によっては意図的に無視してきた過酷な現実と向き合う必要も出てくるだろう。(29〜30ページより)

だから本書を読む際には、ページをめくった先にそういう体験が待っていることを覚悟してほしいのだとか。なにやら恐ろしい気もしますが、それは自分なりの形とタイミングで成長していくべきだということのようです。

ともあれ、きょうは第6章「成功についての知恵」に焦点を当ててみたいと思います。

そもそも「成功」とはなにか?

著者は、一般的にいわれる「成功」というものに嫌気がさしているのだそうです。厳密にいえば、現代社会における成功の描かれ方に。なぜなら、成功と幸福はまったく別の現象であり、絶対に混同してはいけないものだから。

成功についてはこれまで、書籍やセミナー、哲学、スキーム、作戦を通じて何度も語られてきました。その結果、「成功を追ってなんかいない」という人でさえ、本人が気づいていないだけで、自分なりの成功を追い求めているというのです。

だけど、そもそも「成功」とはなんだろう。もっと言えば、あなたにとって成功とはなんだろうか。何をもって成功したと言うのか。

お金が手に入ったときか、ストレスが減ったときか、はたまた旅行へ行けたときか。

もちろん、人によってさまざまな部分もあるが、究極的には、成功にも一定のコンセンサスや、まわりの人、環境との関係性がある。

つまり現代社会では、何が成功で、何がそうじゃないかという、大まかな合意が形成されている。(141ページより)

誰もが目的という名の「そこ」へたどり着こうとするけれども、それは無知で傲慢な考え方だと著者はいいます。なぜなら「そこ」なんてどこにもなく、それは幻想でしかないから。

重要なポイントは、あるのは常に「ここ」だけだということ。過去も未来もなく、あるのは「いま」だけだということ。

そのことに気づけない人は、“いまいましいロボットとして永遠に眠ったような人生”を送ることになるだろうと著者は記しています。たしかに大切なのは、自分の足元を見つめることなのかもしれません。(140ページより)

成功とは、自分がいまいる場所

人生は「今」の連続で、その果てに人は死ぬ。

それ以外のことは、すべて脳の思考パターンや古くさい感情と行動でしかない。

今、幸せや満足感、充実感が得られていないなら、いったいいつ得られるというんだろう。そのうち?

そのことに気づいていない人は、今すぐその目と耳を、顔の真ん前にあるほんとに本当のリアルな現実に向けるべきだ。

さっきも言ったが、あなたは常に「ここ」にいる。だけどあなたは、今この瞬間のために本気で生きることができているだろうか。(142〜143ページより)

こうした考え方を軸とし、「少し陳腐に聞こえるかもしれないが」と前置きしたうえで、著者は「成功とはこれから向かう場所ではなく、自分がいまいる場所だ」という考え方を信じているのだと主張しています。

成功は、通りの向こうや2カ月先にあるものではなく、多くの人はすでに成功を収めているのだと。いま、この時点で、追いかけているものに“もうなっている”のだと。

つまり本当に重要なのは、「いま」という時間を使って、現在の自分を表現することだという考え方。

こう聞くと、「結果がどうなるか気になる」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんな人に対して著者は、「結果なんて、あとからついてくるものだ」と訴えています。

自分自身が本物になり、自分の心に沿った行動を常に取り、目の前にあるもののために生きられるようになって、不安や恐怖や重圧から解放されたら、必ず結果はあとからやってくるものなのだと。

そして、そのようなアプローチを続ける限り、未来は勝手にうまくいくとも断言しています。

人は自分自身であることを拒絶する唯一の生き物だ。 ――アルベール・カミュ

(148ページより)

著者は決して、目標へ手を伸ばし、成長を志すのをやめろといっているわけではありません。ただ、「やけくそになって手を伸ばすのはやめよう」と強調しているだけ。手を伸ばすのであれば、自分の人生を輝かす形でしようといっているわけです。

いまの自分に満足しつつ、同時に“すばらしいなにか”へ手を伸ばすことはできるでしょう。しかし、溺れながら、息も絶え絶えに救命具へ手を伸ばすようなことは、もうやめにするべき。

船のなかでしっかりバランスを取る、あるいは岸でしっかり大地を踏みしめる人間のように、たしかな土台と自分の居場所への自信を持ちつつ、新しいなにかに手を伸ばそうと提案しているのです。(142ページより)

本書の知恵があれば、それを土台に教訓を得て、人生という名の木を自分が伸ばしたい方向へ雄大に育てていけると著者は断言しています。

知恵は人生を成熟させ、新たな視点をもたらし、人生の泥沼をわたる道を切り開くとも。よりよい人生を送るために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

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