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印南敦史の「毎日書評」

迷ったら恥をかけ! 経験値があがる「恥のかき方」3つのポイント

author 印南敦史
迷ったら恥をかけ! 経験値があがる「恥のかき方」3つのポイント
Photo: 印南敦史

私たちは自ら思い描く「理想の自分」と、そのとおりにならない「現実の自分」とのギャップに「恥」を感じてしまうもの。

たとえば会議など多数の人前で質問することが恥ずかしいのは、「頭のいい人」だと思われたいにもかかわらず、自分が納得できる「いい質問」が浮かばないから。打ち合わせでなかなか自分の意見を口にできないのは、「きちんと考えている人」だと思われたいにもかかわらず、自分が納得する「独自の意見」が浮かばないから。

つまり無意識のうちに「尊敬されよう」とする気持ちが、私たちを「恥をかくこと」から遠ざけてしまうということ。『いくつになっても恥をかける人になる』(中川 諒 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者はそう指摘していますが、しかし、それではよくないと考えているようです。

あなたの前に2つの分かれ道があるとしよう。一方はこれまでのやり方で乗り切れそうな、無難な道。もう一方は、「うまくいかなかったら恥ずかしい」と感じる道だ。

迷ったら、後者を選んでみよう。あなたはたったそれだけで、新しい経験を得ることができる。

そう、恥は誰でも無料でできる「投資」なのだ。(「はじめに」より)

さまざまな失敗や恥の経験を経てコピーライターになった著者は、このような考え方に基づき、恥をかくことの意義を説いているのです。

きょうは5章「今すぐ実践できる恥のかき方50」のなかから、3つのポイントをピックアップしてみたいと思います。

初対面こそプライベートに踏み込んでみる

私たちが初対面の人との会話において、自分を隠して他人行儀になってしまいがちなのは、「第一印象が大切である」とわかっているから。

つまり、「減点されない第一印象」をつくろうとしてしまうわけです。だとすれば当然ながら減点はされないでしょうが、加点もされないに違いありません。そのため、結局のところ相手に印象は残らないことになるわけです。

仕事で知り合った人とは、あくまで仕事の関係。そう割り切ってつきあうのも、たしかに間違いではないかもしれません。しかし、それでは心の距離が縮まることはないでしょう。では、どうすればいいのか?

そんなときに効果を発揮するのが、プライベートの話をすることだ。自分のプライベートを明かすことは、相手に「わたしはあなたの敵ではない」と信頼と友好を示す行動である。(167ページより)

目の前の人にも、それぞれ家族や大切な人がいるもの。だからこそ、一緒に仕事をする相手には早めにプライベートの話をしておくべきだというのです。

本当の自分を見せておけば理解がより深まり、のちのち対立や摩擦を減らすことが可能になるから。(166ページより)

知らないことは調べてしまう前に教えてもらう

「知らないことは、人に聞く前に自分で調べろ」。

新人のころ、そう教わった方も少なくないはず。たしかに教える側からしても、わからないことは先に自分で調べてもらったほうが手間が省けて楽ではあるでしょう。

しかし、わからないことがあるときは、知っている人に聞くチャンスでもあると著者はいうのです。

自分で調べれば欲しい情報は得られるが、知っている人に聞くことで、他の知識も同時に得られるかもしれない。そして何より、教わることで新しい人間関係が生まれる。

逆にあなたが知っていることを相手に教えることで、互いに教え合う関係にもなれる。

情報を知っているかどうかより、それを通じて人とつながることのほうが大事なのだ。(175ページより)

先輩に相談すべきかどうかと迷った結果、「相手の時間をもらうのが申し訳ない」と感じて相談しなかったというような経験はないでしょうか?

しかし著者によればそれは、「こんなことも知らないのか」と自分が評価されることに怯えているにすぎないのだとか。

だとすればなおさら、“質問は先輩との関係性を深めるチャンス”だと考えるべきなのかもしれません。(174ページより)

恥ずかしい経験は笑い話にしてしまう

誰しも、自分の恥ずかしい経験は人に知られたくないもの。しかしそれは、「恥ずかしいから隠している」のではなく、「隠しているから恥ずかしい」のではないか? 著者はそういいます。

恥の経験をいつまでも心のなかに綴じ込めていたとしたら、それはいつまでもトラウマのように残ってしまうことになるでしょう。しかも自分の弱さや不完全性を人に見せることを避けていると、いつまでもその恥に追いかけられることにもなります。

そのため似た出来事に遭遇すると、「また同じ結果になったらどうしよう」と恐怖を感じ、体がこわばってしまうのです。つまり過去の出来事を恥として自分のなかに閉じ込めているかぎり、その恥を克服することはできないわけです。

しかしその恥は、人に話せば笑い話になるものでもあるはず。人がしないような間違いや行動をしたことで、まわりの人から驚かれたり、笑われたりする。そしてそんな経験が、人の恥として記憶されることになる。すなわちその出来事は、他人が聞いて笑えるエピソードとなる可能性が高いということです。

そこで著者は、ひとつのアクションを提案しています。

まず、当時あった出来事をノートに書き出してみよう。

書き出すことで、当時の状況や自分の言動、そして周りの人のリアクションを客観的に見直すことができる。そしてそのエピソードを、心を許している身近な友だちに一度聞いてもらおう。きっと友だちはわらってくれるはずだ。(181ページより)

つまり人に話すことで初めて、その恥を克服し、受け入れることができるというわけです。(180ページより)

恥を敵のように恐れるか、あるいはチャンスの目印として捉えるかによって、未来は大きく変わるだろうと著者は記しています。

本書を通じて恥への「免疫」がつけられれば、もっとたくさんのことに挑戦できるようになるだろうとも。こうした考え方に基づく本書を参考にしてみれば、自身の内部に根づく恥を、より良い方向に活用できるようになるかもしれません。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

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